日本の通関業務では輸入関税計算が主に従量税と思い込んでいるケースが散見される。
ad valoremはラテン語由来の専門用語です。ad(~に対して)とvalorem(価値)という2つの単語から構成されており、直訳すると「価値に従って」という意味になります。
通関業務の文脈では、従価税(Ad Valorem Duty)を意味します。輸入品のCIF価格(運賃・保険料込価格)を標準として、一定の税率パーセンテージで関税を課す方式のことです。
参考)https://www.customs.go.jp/kyotsu/yogosyu.htm
つまり従価税が基本です。
たとえば10%の従価税率であれば、100万円の商品には10万円、500万円の商品には50万円の関税が課されます。商品価格に比例して関税負担が増える仕組みになっています。
参考)従価税・従量税の違いと輸入関税の計算方法、関税制度の基本を徹…
国際貿易の現場では「Ad Valorem Rate」として運賃体系にも使われることがあります。高価な貨物に対して、通常FOB価格の2~5%を運賃として設定する定期船独特の運賃方式です。
参考)物流用語集「し」
関税計算には従価税(ad valorem)と従量税(Specific Duty)の2種類があります。課税標準が根本的に異なるため、通関業務従事者は両方の違いを正確に理解する必要があります。
従価税は輸入貨物の価格(CIF価格)を基準に、パーセンテージで関税を計算します。実行関税率表では「10%」のような形で表記されます。たとえば衣類100万円分を輸入する場合、関税率10%なら関税額は10万円です。
参考)https://abeoffice.or.jp/blog/cif
従量税は個数、重量、容積など数量を基準に課税します。実行関税率表では「300円/kg」や「800円/L」のように表記されます。コーヒー豆10kgを輸入する際、1kgあたり300円の関税なら総額3,000円となります。
参考)https://www.customs.go.jp/kaigairyoko/zeigaku.htm
計算が容易です。
肉類、魚類、酒類など、品目ごとに異なる基準が設定されています。ウイスキー700mlなら容量あたり、ブランデー1本なら本数あたりで計算されます。
混合税も存在します。「10%または300円/kgのうち高い方」という選択式や、「5%+200円/kg」という加算式があります。課税価格10,000円で重量30kgの場合、従価税1,000円より従量税9,000円が高額なため、従量税9,000円が適用されます。
従価税の課税標準はCIF価格(Cost, Insurance and Freight)です。この価格は貨物代金、運賃、保険料の合計を意味し、輸入港までの全費用を含みます。
計算例を見てみましょう。商品価格100万円、運賃10万円、保険料1万円の場合、CIF価格は111万円になります。関税率5%なら関税額は55,500円、さらに消費税10%として116,050円が課されます。
CIF価格が高いほど納付額も増加します。
FOB条件(Free On Board)との違いに注意が必要です。FOBは貨物価格のみで計算するため、同じ商品でも関税額が異なります。品目価格100ドル、運送費25ドルの場合、CIF基準なら12.50ドル、FOB基準なら10ドルの関税です。
参考)https://zonos.com/ko/docs/guides/duty-calculation-methods
運賃等の加算要素には、売手が買手から受け取った原材料の無償提供、ロイヤルティ、容器・包装費用なども含まれます。これらを漏らすと過少申告となり、後で修正申告が必要になります。
参考)輸入税額の計算方法:日本
特殊な事情で運賃が著しく高額になった場合、実際の運賃ではなく通常必要とされる運賃額を加算します。この判断を誤ると評価が不適切になるため、税関との事前相談が推奨されます。
参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/yougoshu.htm
すべての品目が従価税で課税されるわけではありません。
肉類、魚類、酒類は従量税が基本です。
また、米や米調製品、一部水産品(さばなど)、砂糖、一部皮革製品は特恵関税の例外品目として指定されています。
参考)https://www.mipro.or.jp/Document/hti0re0000000vi2-att/pdf_publications_0082.pdf
特恵関税制度にも例外があります。LDC(後発開発途上国)特恵では47品目が例外となり、一般特恵では996品目が対象外です。原則無税・無枠ですが、固定有税品目として4,252品目が設定されています。
注意が必要ですね。
簡易税率が適用されない品目もあります。穀物とその調製品、ミルク、クリーム、食肉調製品(ハムや牛肉缶詰)、たばこ、精製塩、旅行用具、ハンドバッグなどの革製品、ニット製衣類、履物、身辺用模造細貨類(卑金属製除く)は一般税率が適用されます。
参考)輸入関税の計算方法は?関税の目的や種類も解説
米国では従価課税、従量課税、併用課税の3種類が品目によって使い分けられています。FOB価格がドル以外の外国通貨建ての場合、為替換算も必要になります。
参考)関税制度
旅行者の携帯品では、酒類3本(760ml基準)、紙巻たばこ200本または加熱式たばこ個装等10個が免税範囲です。範囲を超えた部分には従量税(酒類800円/L、たばこ15円/本または50円/個)が課されます。
納税申告に誤りがあった場合、過少申告なら修正申告、過大申告なら更正の請求という手続きが必要です。修正申告は義務の履行、更正の請求は権利の行使という性質があります。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1305_jr.htm
過少申告の場合、税関から調査通知を受けた日の翌日以後に修正申告すると、増加税額の5%の過少申告加算税が課されます。
更正予知の後だとさらに重くなります。
5%は痛いですね。
過大申告の場合、納税申告を行った税関官署に関税更正請求書(税関様式C-1030)を提出します。誤った申告内容と正しい申告内容の両方を記載する必要があります。
更正の請求には期限があります。原則として法定申告期限から5年以内ですが、判決などの後発的理由がある場合は、理由が生じた翌日から2ヶ月以内であれば5年経過後でも請求可能です。
参考)【関税法等】頻出論点マスターシリーズ(第7回:修正申告と更正…
否認された場合は不服申立制度を利用できます。税関長への再調査請求、国税不服審判所への審査請求、裁判所への訴訟という3段階の手続きがあります。
韓国では事前関税評価制度(ACVA)があり、関連会社間取引の課税価格決定方法を税関と事前合意できます。この制度により事後調査が延期または免除されるため、予測可能性が高まります。日本でも税関との事前相談を活用すれば、申告ミスのリスクを減らせます。
参考)https://worldcustomsjournal.scholasticahq.com/article/115487.pdf
税関の関税評価用語等解説
関税評価の詳細な用語解説と計算方法が掲載されており、CIF価格や課税価格の算出方法を確認できます。
税関の修正申告・更正の請求ページ
納税申告に誤りがあった場合の具体的な手続き方法と、過少申告加算税の計算方法が記載されています。