書類を5年保管すれば安心と思っているなら、帳簿だけは2年余分に保管しないと法令違反になります。

輸入通関に関わる書類の保管期間は、大きく「帳簿」と「書類」の2種類に分けて理解するのが基本です。関税法第94条および同法施行令第83条により、申告納税方式で輸入を業とする者には明確な保存義務が課されています。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
帳簿の保存期間は、輸入許可の日の翌日から起算して7年間です。記載すべき事項は、品名・数量・価格・仕出人の氏名(名称)・輸入許可年月日・許可書番号の6項目です。 これは法人税法上の7年保存とも期間が一致するため、会計帳簿と同様のサイクルで管理する企業が多い現場実態があります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
一方、関係書類(輸入許可書・インボイス・運賃明細書・保険料明細書・包装明細書・価格表など)の保存期間は5年間です。 帳簿と関係書類で期間が異なる点は見落としやすいため注意が必要です。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
つまり、「帳簿7年・書類5年」が輸入者の原則です。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
また、電子取引(EDI取引・インターネット・電子メールによる取引)を行った場合の取引情報に係る電磁的記録についても、5年間の保存義務があります。 近年はメールやチャットツールで仕入書を受領するケースが増えており、これらも保存対象になる点を見落とさないようにしてください。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1117_jr.htm)
| 書類の種類 | 保管期間 | 根拠法令 |
|---|---|---|
| 帳簿(輸入) | 7年(輸入許可日の翌日起算) | 関税法第94条・同法施行令第83条 |
| 関係書類(輸入許可書・インボイス等) | 5年(輸入許可日の翌日起算) | 同上 |
| 電子取引の取引情報(電磁的記録) | 5年(輸入許可日の翌日起算) | 関税法第94条第3項 |
| 帳簿(輸出) | 5年 | 関税法施行令第83条 |
kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
輸出と輸入では帳簿の保管期間が異なることも覚えておきましょう。輸出の帳簿は5年ですが、輸入の帳簿は7年と2年長い点が特徴的です。 toishi(https://www.toishi.info/boueki/hokankikan.html)
通関業者(通関業を営む者)の保存義務は、輸入者とは別の法律である通関業法第22条および同法施行令第8条で定められています。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tokyo/sodan/4-4_leaflet.pdf)
通関業者が保存すべき書類は、大きく3種類に分類されます。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tokyo/sodan/4-4_leaflet.pdf)
- 通関業務に関し税関官署または財務大臣に提出した申告書・申請書等の写し
- 通関業務に関し依頼者から依頼を受けたことを証する書類
- 通関業務に関する料金の受領を証する書類の写し
これらの帳簿および通関関係書類の保存期間は、作成の日または閉鎖の日から3年間です。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
輸入者の7年・5年と比べると、通関業者の3年は短いと感じる方もいるかもしれません。意外ですね。ただし、通関業者が「輸入を業として行う輸入者」でもある場合は、関税法の帳簿保存義務(7年)が別途適用されます。立場が重なる場合は、より長い期間の義務に従うことが実務上の安全策です。
3年という期間は短く聞こえますが、税関による通関業者への調査は決して珍しくありません。 書類が揃っていなければ行政処分のリスクがあるため、最低限の保存義務期間であっても適切なファイリングと管理体制を整えることが重要です。 komon-lawyer(https://komon-lawyer.net/law/other/268/)
通関業法による3年が原則です。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tokyo/sodan/4-4_leaflet.pdf)
税関の公式資料でも保管期間の区分は明示されています。下記リンクでは通関業者・輸出入者・保税地域別に保存期間が一覧で確認できます。
日本関税協会:通関業者・輸出入者・保税地域別の書類保存期間一覧(PDF)
輸入許可が下りた後でも、税関は事後調査を実施する権限を持っています。これは知らない方も多い実態です。 komon-lawyer(https://komon-lawyer.net/law/other/268/)
事後調査では、関税法の規定に基づき、輸入申告の内容が正確であったかどうかを検証します。 具体的には、インボイス・価格表・製造者が作成した取引書類・保険料明細書など、課税標準の決定に必要な書類が精査の対象となります。 komon-lawyer(https://komon-lawyer.net/law/other/268/)
調査時に書類が欠損していると、輸入時の申告内容が適正であることを立証できません。そうなると追徴課税(関税の追加徴収)が発生するリスクがあります。 仮に輸入許可から3年が経過していても、保管義務期間(帳簿なら7年)が残っている間は廃棄できません。 komon-lawyer(https://komon-lawyer.net/law/other/268/)
「もう輸入許可が下りたから書類は片付けていい」という判断は危険です。 komon-lawyer(https://komon-lawyer.net/law/other/268/)
弁護士・通関士による事後調査対応に関する専門情報については、下記の参考リンクが実務的な視点で詳しく解説しています。
弁護士兼通関士による税関事後調査の対応と注意点(書類保存義務・追徴リスクの解説)
事後調査は突然来ます。これが現実です。書類ごとに保存期間の終了日を管理台帳に記録し、廃棄可能日を明記しておくことで、誤廃棄リスクを大幅に減らせます。Excelや書類管理システムを使って「廃棄予定日」を可視化する運用が、現場では最も実践しやすい対策の一つです。
近年、関税法の改正により、輸入通関に関わる書類を電子データ(電磁的記録)で保存する制度が整備されています。 bbs.co(https://www.bbs.co.jp/column/column017-19/)
電子保存が認められるのは、一定の要件を満たす場合に限られます。 単に紙をスキャンしてPDFにするだけでは要件を満たさないケースがあるため注意が必要です。関税法の電子帳簿等保存制度は、電子帳簿保存法と似ているが別の制度であり、適用要件も異なります。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tsukan/chobohozonQA.pdf)
電子保存が認められる主な条件としては、以下が挙げられます。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tsukan/chobohozonQA.pdf)
- 電子計算機処理システムの概要書・システム説明書の備え付け
- 見読可能性の確保(ディスプレイや印刷で内容を確認できる環境)
- 検索機能の確保(日付・品名・金額等で検索できること)
電子保存の要件は厳密です。 customs.go(https://www.customs.go.jp/tsukan/chobohozonQA.pdf)
電子保存を適切に活用すれば、物理的な紙書類の保管スペースを大幅に削減でき、特に取扱件数の多い通関業者や大量インポーターにとってはコスト削減効果が大きいです。逆に要件を満たさない電子保存は「保存なし」とみなされるリスクがあるため、導入前に税関への事前確認や専門家への相談が推奨されます。
電子保存の制度詳細は税関の公式Q&Aで確認できます。
税関:輸入者に対する帳簿書類の保存義務について(関税法第94条の公式解説)
BBS:貿易関係の帳簿や書類の電子保存(電子帳簿保存法との違いと関税法の電子保存制度の解説)
輸入者・通関業者に加え、保税地域の倉主等(指定保税地域・保税蔵置場)にも別途の書類保存義務が存在します。 これは通関実務に携わる方でも見落としやすい盲点です。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
保税台帳(または電磁的記録としてNACCS管理資料)の保存期間は、2年間、または税関による保税地域の検査を受けた日までのいずれか長い方です。 搬出関係書類(輸出入許可書・承認書・届出等)は6か月、または税関検査を受けた日までとされています。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
「税関検査を受けた日まで」という条件がポイントです。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
これはつまり、保存期間の終了が「検査の実施有無」という外部要因に依存することを意味します。検査が来なければ2年または6か月で廃棄できますが、検査が予告なく行われた場合は、それ以降も書類を持ち続ける義務が生じるわけです。
届出蔵置場にあっては保税台帳の保存期間が1年と短縮されますが、検査後廃棄という原則は同様に適用されます。 保税地域を管理する立場の方は、輸出入者・通関業者とはまた別の管理表を用意し、検査履歴と照らし合わせた廃棄管理を行うことが重要です。 kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
| 立場 | 対象書類 | 保管期間 |
|---|---|---|
| 輸入者 | 帳簿 | 7年 |
| 輸入者 | 関係書類・電子取引情報 | 5年 |
| 通関業者 | 帳簿・通関関係書類 | 3年 |
| 保税地域(倉主等) | 保税台帳・NACCS管理資料 | 2年または税関検査日まで |
| 保税地域(倉主等) | 搬出関係書類 | 6か月または税関検査日まで |
| 届出蔵置場 | 保税台帳 | 1年 |
kanzei.or(https://www.kanzei.or.jp/moji/moji_files/pdfs/cus_info/220324ho-news7.pdf)
保管義務の全体像を把握したい場合は、日本関税協会が発行している実務向け資料が体系的にまとまっており、現場での確認に役立ちます。
税関:帳簿書類の保存義務と電子帳簿等保存制度(公式ポータルページ)