タイムスタンプ不要と思っていても、実はあなたの保存方法だと付与が必須です。
電子帳簿保存法では、電子データの信頼性を担保するためにタイムスタンプの付与が求められます。タイムスタンプとは、電子データに付与される日付・時刻の情報で、データが「改ざんされていない原本書類である」ことを証明する仕組みです。
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この仕組みは、第三者機関であるTSA(Time-Stamping Authority:時刻認証業務認定事業者)が発行します。具体的には「一般財団法人日本データ通信協会」が認定するタイムスタンプを使用する必要があります。
参考)電子帳簿保存法でタイムスタンプは不要?必要な要件についても解…
タイムスタンプが必要になるのは、電子帳簿保存法の3つの区分のうち「スキャナ保存」と「電子取引」の2つです。それぞれの区分で要件が異なるため、自社の業務にどの区分が該当するのか正確に把握することが重要です。つまり全ての電子データに必要なわけではありません。
電子データは紙と違い、改ざんやコピーが容易であるという特性があります。そのため法律では、データの原本性を証明する手段としてタイムスタンプを位置づけているのです。この要件を満たさないと、電子保存が認められない可能性があります。
2022年1月の電子帳簿保存法改正により、タイムスタンプの付与期限が大幅に緩和されました。改正前は「概ね3営業日以内」だった付与期限が、改正後は「最長2ヶ月と概ね7営業日以内」に統一されました。
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この期限は、書類を受け取った日または電子データを作成した日から起算します。例えば1月10日に請求書を受領した場合、3月17日前後(2ヶ月後+7営業日)までにタイムスタンプを付与すれば要件を満たします。概ね2ヶ月半の猶予があるということですね。
参考)タイムスタンプとは:電子帳簿保存法への対応や取得方法を解説
ただし、この期限を過ぎてからタイムスタンプを付与しても法的には認められません。期限超過は電子帳簿保存法違反となり、推計課税や追徴課税のリスクが発生します。さらに会社法第976条に基づき、100万円以下の過料が課せられる可能性もあります。
参考)電子帳簿保存法でタイムスタンプの付与期限が過ぎたらどうなる?…
期限管理を確実にするには、受領日を記録するシステムや、自動でタイムスタンプを付与できるクラウドサービスの活用が有効です。手作業での管理だと見落としのリスクが高まるため、システム化が推奨されます。
国税庁の公式PDF「電子帳簿保存法が改正されました」では、改正内容の詳細や具体的な要件が確認できます
2022年の改正で注目すべき点は、特定の条件を満たせばタイムスタンプの付与が不要になったことです。この変更により、中小企業でもコストを抑えた電子保存が可能になりました。
参考)電子帳簿保存法でタイムスタンプは必要?不要となる要件を解説 …
1つ目の条件は「訂正や削除の履歴が残るシステムを利用すること」です。具体的には、クラウドストレージやドキュメント管理システムで、いつ誰がファイルを編集・削除したかの記録が自動的に残る仕組みを指します。Google DriveやMicrosoft OneDrive、Boxなどの主要クラウドサービスは、この履歴機能を標準搭載しています。
参考)タイムスタンプが不要となる条件とは?電子帳簿保存法の改正内容…
2つ目の条件は「訂正や削除ができないシステムを利用すること」です。一度保存したら変更不可能な形式(WORM:Write Once Read Many)でデータを保管する方法が該当します。これらのシステムを使えば、改ざんの余地がないため、タイムスタンプは不要です。
両方の条件に共通するのは、入力期間内(最長2ヶ月と7営業日以内)にそのシステムへデータを保存する必要がある点です。期限内にシステムに格納することで、タイムスタンプなしでも法的要件を満たせます。結論はシステム選びが重要です。
参考)スキャナ保存のタイムスタンプは不要になった?電子帳簿保存法と…
無料で利用できるクラウドストレージを活用すれば、タイムスタンプの導入コスト(月額数千円から数万円)を削減できます。小規模事業者にとっては、大きなコストメリットになりますね。
参考)電子帳簿保存法・タイムスタンプの無料対応と知っておくべき注意…
通関業務に従事する方は、国税庁が管轄する電子帳簿保存法だけでなく、税関が管轄する関税法の電子帳簿等保存制度にも対応する必要があります。令和3年度税制改正により、関税法が改正され、独自の保存制度が設けられました。
関税法では、申告納税方式が適用される貨物を業として輸入する者に、関税関係帳簿書類等の保存が義務づけられています(関税法第94条)。対象となるのは、輸入申告書、仕入書、運賃明細書、保険料明細書などの貿易書類です。
電子帳簿保存法との大きな違いは、電子取引の取引情報の扱い方です。電子帳簿保存法では電子取引情報は電磁的記録でのみ保存することが原則ですが、関税法では一定の条件下で書面保存も認められています。この点は業務上重要な違いですね。
タイムスタンプの要件については、基本的に電子帳簿保存法を準用していますが、認定機関が異なります。令和5年7月29日までは「一般財団法人日本データ通信協会」の認定に加え、特定の認定業務も認められていました。
参考)https://www.customs.go.jp/shiryo/chobo.htm
通関業務では、税関職員による電磁的記録の提示・提出要求に対応できる体制が必要です。対応可能な場合は、一部の検索要件が不要になるという緩和措置もあります。これが原則です。
参考)https://www.customs.go.jp/tsukan/chobohozongaiyou.pdf
税関の公式サイト「帳簿書類の保存義務と電子帳簿等保存制度」では、関税法における具体的な要件が詳しく解説されています
有料の認定タイムスタンプサービスでは、月額数千円から数万円のコストがかかるのが一般的です。取引量が多い企業では、年間で数十万円の費用負担になることもあります。初期費用や契約手続き、専用ソフトのインストールも必要になるケースがあります。
無料で対応する方法として、訂正削除履歴が残るクラウドストレージの活用があります。Google Workspace、Microsoft 365、Dropbox Businessなどの法人向けプランでは、詳細な操作履歴が自動記録されます。既に導入済みの企業なら、追加コストなしで要件を満たせる可能性があります。
一部のクラウド会計ソフトでは、電子帳簿保存法対応機能を無料プランに含めているものもあります。マネーフォワードクラウドBox、freee会計、弥生会計などが該当します。ただしJIIMA認定を受けていないため、法的証拠力の観点では限界があることに注意が必要です。
無料対応のデメリットとして、大量データ処理時の動作安定性や、将来的な機能拡張の制限があります。また技術的なトラブル発生時のサポート体制が、有料サービスと比べて手薄になる傾向があります。自社の取引規模やリスク許容度を考慮して選択することが重要です。
コスト削減と法令遵守のバランスを取るなら、まず無料のクラウドストレージで小規模運用を始め、業務量の増加に応じて有料の認定サービスへ移行する段階的アプローチが現実的です。いきなり高額なシステムを導入する必要はありません。
電子帳簿保存法に違反した場合、3つの主要な罰則が存在します。1つ目は「推計課税」で、帳簿書類に不備や誤記が多い場合、税務署が税額を推計して課税する制度です。実際の取引額より高い税額を算定されるリスクがあります。
2つ目は「青色申告の承認取り消し」です。青色申告には65万円の特別控除などの税制優遇がありますが、これらが利用できなくなります。中小企業にとって年間数十万円の税負担増につながる可能性があります。厳しいところですね。
3つ目は「会社法に基づく過料」で、会社法第976条の「帳簿や書類の記録・保存に関する規定」違反として、100万円以下の過料が課せられる可能性があります。電子帳簿保存法違反は、同時に会社法違反にもなり得るのです。
さらに重大なのは、意図的な改ざんや隠蔽が認められた場合です。この場合は重加算税(35%〜40%)が課されるだけでなく、刑事罰の対象になる可能性もあります。法人代表者個人の責任が問われるケースもあるため、組織全体での適切な管理体制構築が必須です。
違反を回避するには、定期的な内部監査と、電子帳簿保存法対応のチェックリストの作成が有効です。タイムスタンプ付与期限の管理表を作成し、週次でチェックする運用ルールを設けることで、見落としリスクを最小化できます。責任者を明確にすることも重要です。
「電子帳簿保存法でタイムスタンプの付与期限が過ぎたら」の記事では、違反時の具体的な罰則内容と対処法が詳しく解説されています