種の保存法リストで知る輸入規制と罰則の全貌

種の保存法のリストに載る458種とは何か?関税・輸入手続きとの関係、レッドリストとの違い、罰則まで徹底解説。あなたが知らないと損する法律の落とし穴とは?

種の保存法のリストと輸入規制・罰則を徹底解説

レッドリストに載っていない種でも、輸入すると500万円の罰金対象になる場合があります。


この記事の3つのポイント
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種の保存法のリストとは何か?

令和7年2月時点で国内希少野生動植物種は458種。哺乳類15種・鳥類45種・植物210種など分類群ごとにリストが公開されており、輸入時の通関手続きに直結しています。

⚖️
レッドリストと法律の関係

レッドリストは科学的評価であり法的拘束力はありません。種の保存法の指定を受けた種のみが法規制の対象。全絶滅危惧種のうち指定率はわずか約12%です。

🚨
違反した場合の罰則

違法な譲渡・捕獲・輸出入は個人で5年以下の懲役または500万円以下の罰金、法人で1億円以下の罰金。関税法とも連動するため、通関時の確認が欠かせません。


種の保存法のリストとは?指定される種の基準を理解する


種の保存法(正式名称:絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律)は、1992年に制定され1993年4月に施行されました。この法律に基づいて指定されたのが「国内希少野生動植物種リスト」と「国際希少野生動植物種リスト」です。


令和7年(2025年)2月時点で、国内希少野生動植物種は合計458種に上ります。これは環境省のウェブページで公開されており、哺乳類・鳥類・爬虫類・両生類・魚類・昆虫類・植物など幅広い分類群が含まれます。


指定の対象は「種」だけではありません。分類学上の「亜種」や「変種」も保全上の必要性が認められれば指定対象となります。たとえばイリオモテヤマネコは、ベンガルヤマネコの亜種でありながら、西表島だけに生息するという極めて限られた分布域を持つため指定されています。つまり亜種レベルで規制がかかるということですね。


指定される基準は大きく3点です。まず環境省レッドリストの絶滅危惧ⅠA類・ⅠB類・Ⅱ類に相当する種であること、次に人為的影響により生息・生育状況に支障が生じていること、そして分布域の狭小性・個体数の減少・生息環境の特殊性などが総合的に判断されます。機械的にレッドリストの区分だけで決まるわけではなく、保護の緊急性や実効性、社会的影響も考慮されます。


関税に興味のある方にとって重要なのは、この「指定されている種かどうか」が輸入手続きの必要書類を左右する点です。指定種に該当すれば、関税法第67条に基づく輸入許可の際に、別途書類を税関に提出する義務が生じます。リストの確認は必須です。


参考:国内希少野生動植物種一覧(環境省・令和7年2月更新)
https://www.env.go.jp/nature/kisho/domestic/list.html


種の保存法リストの分類群別内訳:458種の全体像

458種という数字は、どのような生き物の集まりなのでしょうか?分類群ごとに見ると、その実態がよく分かります。


最も多いのは維管束植物の210種です。これはラン科を中心に、アツモリソウ類・エビネ類・シュスラン類など観賞価値の高い種が多数含まれています。植物が全体の約46%を占めるという事実。意外ですね。


昆虫類は64種が指定されています。ゲンゴロウ類・クワガタムシ類・チョウ類など、かつては水辺や草地で普通に見られた種も含まれています。農業用水路のコンクリート化や農薬の普及が、これらの種の減少に大きく影響してきました。


両生類は41種で、そのほとんどをサンショウウオ類が占めます。DNA分析の進展により、かつて「1種」とされていたものが複数の別種に分割されるケースが相次いでおり、指定種数は近年急増しています。令和4年1月だけで28種のサンショウウオ類が一斉に指定されたほどです。


鳥類は45種で、コウノトリ・トキ・シマフクロウ・ヤンバルクイナといった知名度の高い種が含まれます。哺乳類は15種で、ツシマヤマネコ・イリオモテヤマネコ・ケナガネズミなど離島固有の種が中心です。爬虫類は12種、魚類も12種です。


🔍 分類群別内訳(令和7年2月現在)


| 分類群 | 指定種数 |
|---|---|
| 維管束植物 | 210種 |
| 昆虫類 | 64種 |
| 両生類 | 41種 |
| 鳥類 | 45種 |
| 哺乳類 | 15種 |
| 爬虫類 | 12種 |
| 魚類 | 12種 |
| その他(貝類・甲殻類等) | 59種 |
| 合計 | 458種 |


それぞれの種に、特定第一種・特定第二種という規制レベルの区分が設けられています。特定第一種国内希少野生動植物種は、商業目的での譲渡し等が全面禁止となる最も厳しい指定です。特定第二種は、「販売・頒布目的での捕獲・譲渡」に絞って規制をかける制度で、乱獲を防ぎつつも学術利用や保護活動への影響を最小限に抑える設計です。これが基本です。


どちらの区分に入っているかによって、輸入後の取り扱いや必要な届出が変わります。通関時にリストを確認するだけでなく、指定の「種別」まで把握することが実務上のポイントになります。


参考:種の保存法の概要・個体等の取扱規制(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/kisho/kisei/species/


レッドリストと種の保存法リストの違いを正しく理解する

「レッドリストに載っている種を輸入したら違法」と思っている人は少なくありません。しかし、これは正確ではありません。


レッドリストとは、専門家が生物学的観点から絶滅の危険度を評価してまとめた「科学的なリスト」です。IUCN(国際自然保護連合)が世界版を作成し、日本では環境省が独自のリストを公表しています。重要なのは、レッドリスト自体に法的拘束力はないという点です。掲載されているだけでは採取・捕獲・販売が法的に禁止されるわけではありません。


法的な規制が生じるのは、種の保存法によって「国内希少野生動植物種」や「国際希少野生動植物種」に指定された場合に限られます。つまりレッドリストは「科学的評価」、種の保存法の指定は「法的規制」という違いです。


では、レッドリストに掲載されている絶滅危惧種のうち、何%が種の保存法の指定を受けているかご存知でしょうか。生物多様性国家戦略2023-2030のデータによると、その割合は約12%にとどまっています(2020年度時点)。東京ドーム1個分の広さで例えるなら、88個分は法的保護の圏外にあるようなイメージです。


この「空白」の理由は、指定には科学的評価だけでなく、保護の実効性・社会的影響・法整備の準備状況なども考慮されるためです。淡水魚類については危機的な状況にある一方で、指定率が特に低いことが専門家から指摘されています。


関税の文脈では、輸入しようとしている種がレッドリストに掲載されていても、種の保存法の指定を受けていない可能性があります。逆に、指定を受けていても広く知られていない種も多い。リストを直接確認する習慣が重要です。


参考:レッドリスト・レッドデータブック(環境省)
https://www.env.go.jp/nature/kisho/hozen/redlist/index.html


種の保存法リストと関税・輸入手続きの実務的な関係

輸入の現場では、種の保存法と関税法が深く連動しています。ここを理解しておかないと、通関でトラブルが発生します。


種の保存法に規定する貨物を輸入する場合、関税法第67条に基づく輸入許可を受ける際に、必要な書類を税関に提出しなければなりません(通関時確認制度)。国際希少野生動植物種については、ワシントン条約に基づく輸出国の許可書または証明書が必要となります。


具体的に必要となる書類は、取引する種の種別・国籍・用途によって異なります。


- 附属書Ⅰ掲載種(国際希少野生動植物種):輸出国と輸入国双方の許可書が必要。商業目的の取引は原則禁止。


- 附属書Ⅱ掲載種:輸出国が発行する輸出許可書が必要。商業目的の取引は可能。


- 附属書Ⅲ掲載種:輸出国の輸出許可書または原産地証明書が必要。


国際希少野生動植物種については、ワシントン条約附属書Ⅰに掲載された種が対象となります。現時点でアフリカゾウ・トラ・チンパンジー・クモノスガメ・アジアアロワナなどが典型例として挙げられます。輸入後に国内で取引・販売する場合は、さらに「登録票」の取得が義務づけられます。


🖊️ 登録票が必要な条件(国際希少野生動植物種)


- ① 国内で繁殖させた個体
- ② 規制効力発生前に国内で取得した個体
- ③ 関税法の許可を受けて輸入された個体


登録申請は、環境大臣が認定した一般財団法人 自然環境研究センター(電話:03-6659-6018)が窓口です。登録が完了した個体には「登録票」が交付され、これがなければ販売・譲渡は行えません。登録票は必須です。


また、生きている国際希少野生動植物種の登録の有効期間は登録日より5年間である点にも注意が必要です。有効期間満了の6か月前から更新申請が可能となります。うっかり期限を過ぎると、登録票のない個体となり売買が一切できなくなります。


参考:希少な野生生物を守る「種の保存法」(政府広報オンライン)


種の保存法リスト違反の罰則と実際の逮捕事例

種の保存法の罰則は、2013年(平成25年)7月の法改正で大幅に強化されました。厳しいですね。


現行の罰則は以下の通りです。


⚠️ 違法な譲渡・捕獲・輸出入


- 個人:5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(またはその両方)
- 法人:1億円以下の罰金


⚠️ 違法な陳列・広告(インターネット掲載を含む)


- 個人:1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金
- 法人:2,000万円以下の罰金


注意すべきは、「広告」の範囲です。実物を伴わない写真の掲載であっても、インターネットや紙媒体への掲載が「販売・頒布目的の広告」に該当すれば規制対象となります。SNSへの投稿も対象になり得ます。


実際の逮捕事例を見ると、爬虫類を中心とした違法取引が目立ちます。2025年1月には、都内の有名水族館の元職員が種の保存法違反容疑で逮捕されたほか(WWFジャパン報告)、ペットショップ経営者が希少なカメを販売したとして逮捕されたケースも複数あります。また、2018年にはリュウキュウヤマガメ60匹を手荷物に入れて密輸した日本人男性が香港で実刑判決を受けました。


さらに見落とされがちなのが、「所持しているだけ」で問題になるケースです。ワシントン条約の附属書Ⅰ掲載種に関しては、合法的に入手したことを証明できない場合、所持自体がリスクになります。つまり「知らずに購入した」という主張が通りにくい場合もあります。


関税に関わる業務では、通関前の事前確認が最大のリスク回避策です。環境省の「種の保存法における規制対象種一覧」(Excelファイル)は随時更新されており、これを定期的にチェックする運用フローを整えることが実務上の対策になります。


参考:種の保存法における各種義務違反に係る罰則等一覧(環境省)
https://www.env.go.jp/content/000259444.pdf


関税業務から見た種の保存法リスト:見落としやすい独自の盲点

通関の実務に携わっている方でも、以下の点は意外と見落とされています。


まず、加工品や部位も規制対象に含まれる点です。生きた個体だけでなく、剥製・標本・器官(羽・毛・皮・牙)・加工品(毛皮の敷物、皮革製品、漢方薬)も規制対象となります。たとえば象牙は「全形牙」の場合、登録票のない状態では一切売買できません。無登録の象牙売買で実際に逮捕されたケースも環境省の記録に残っています。これは痛いですね。


次に、卵・種子も対象になる種がある点です。種の保存法第6条第2項第4号に基づき、一部の種については「卵及び種子(政令で定めるもの)」も規制対象として指定されています。植物の種子や鳥類・爬虫類の卵を輸入する際にも確認が必要です。


また、分類学上の変更があった種も引き続き規制対象となる点も見逃せません。指定後に新種として報告されて別の学名になった種でも、もとの種として指定されているものは規制が継続されます。たとえばヤンバルトカゲモドキは指定後に新種として報告されましたが、クロイワトカゲモドキの指定に含まれる形で規制対象が維持されています。学名の変更だけで「規制外になった」と判断するのは誤りです。


さらに、植物の輸入に関しては、種の保存法に加えて植物防疫法も連動します。多肉植物やランの輸入では、CITES輸出許可書等に加えて植物検疫証明書も求められるケースが多く、複数の法律を横断的に確認する姿勢が必要です。


輸入しようとする生物・植物・その加工品について確認すべき法律を整理しておくと、実務上の安全性が高まります。


✅ 輸入時にチェックすべき主な法律・制度


- 種の保存法:国内外の希少野生動植物の取引規制
- 外国為替及び外国貿易法外為法):ワシントン条約附属書掲載種の輸出入規制
- 関税法:通関許可・輸入申告の手続き
- 植物防疫法:病害虫の持込み防止
- 感染症法:指定動物の届出義務


関税実務においては、これら複数の法律が重なり合って適用される点を念頭に置くことが、リスク管理の第一歩となります。法律ひとつだけで判断しないのが原則です。


参考:「種の保存法」における「国際希少野生動植物種」の登録制度の課題(WWFジャパン)
https://www.wwf.or.jp/activities/opinion/4168.html




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