保税工場は外国貨物のまま加工や組立ができる場所です。
財務省税関の公式サイトで保税工場の全国一覧がエクセル形式で公開されています。令和8年1月1日時点のデータとして、全国版と各税関管内版の両方が入手可能です。
税関は全国9箇所に設置されており、函館・東京・横浜・名古屋・大阪・神戸・門司・長崎・沖縄地区の各税関がそれぞれ管轄エリアの保税工場一覧を管理しています。東京税関の場合、管内の保税工場一覧はPDF形式で71KBのファイルとして提供されています。
これらの一覧には、保税工場の名称、所在地、許可番号、許可年月日などの基本情報が記載されており、通関業務従事者が取引先の保税工場を確認する際の公式資料となります。定期的に更新されるため、最新情報は税関の公式サイトで確認する必要があります。
保税工場の許可を得るには、関税法に基づく4つの要件をすべて満たす必要があります。
これらの要件は厳格に審査されます。
参考)https://www.kanzei.or.jp/osaka/osaka_files/pdfs/cus_info/hozeikoujyo1.pdf
第一に人的要件として、申請者は保税工場の業務を行う上で必要な法令知識、記帳能力、管理能力を十分に有していることが求められます。
これは単なる形式的な審査ではありません。
参考)http://www.ms-ofc.co.jp/hozei.htm
第二に場所的要件、第三に施設的要件があり、保税工場として適切な立地と設備を備えている必要があります。第四に量的要件として、取扱貨物の数量に応じた適切な施設規模が求められます。
申請は法人の場合、法人代表者名で「保税工場許可申請書」(C-3200)を提出し、工場の配置図や求積図、登記事項証明書などの添付書類が必要です。許可期限は原則6年間で、更新申請が必要になります。
参考)https://www.customs.go.jp/kaisei/zeikantsutatsu/kihon/TU-S47k0100-s04-04~06.pdf
保税工場では外国貨物を関税・消費税の支払いなしに加工・製造できます。この「保税作業」には、製造、加工、改装、仕分などが含まれ、造船所、製鉄所、製油所などが代表的な保税工場です。
石油精製の保税作業により製造された製品のうち外国に積み戻されるものは、数量や税関との距離に関わらず原則として保税工場の許可が行われます。一方、製品の積戻しが行われない工場については、製品の用途や作業の性質などが審査対象となります。
加工貿易を行う企業にとって、海外から仕入れた複数の資材を保税工場で組み立てれば、それぞれの資材に関税や消費税を支払うことなく製品化できるため、大きなコスト削減効果があります。原則として3ヶ月、承認を得れば最長2年まで貨物を保管しながら加工・製造が可能です。
参考)加工貿易のために設けられた「保税工場」って?役割やメリットを…
記帳漏れで輸出許可貨物3件が未記帳なら許可取消もあり得ます。
保税工場の一覧を業種別に見ると、加工貿易を行うメーカーや商社が多くを占めています。これらの企業は、港の近くに保税工場を設置するケースが大半です。
具体的には、石油精製工場、造船所、製鉄所などの大規模製造業が目立ちます。これらの業種では、海外から原料を輸入し、加工後に再輸出する形態が多いため、保税工場の許可を取得するメリットが大きいのです。
かつて日本は加工貿易国として保税工場を積極的に活用していましたが、現在は逆加工貿易国へと変化しており、国内の保税工場の活躍の場は以前より小さくなっています。それでも、特定の業種では依然として重要な役割を果たしています。
業種によって保税作業の内容や規模が大きく異なるため、税関は業種ごとの特性を考慮した許可基準を設定しています。
保税工場と承認工場は別の制度です。税関の一覧でも両者は明確に区別されており、「保税工場」と「承認工場(関税定率法第13条)」「承認工場(関税暫定法第9条の2)」が別のファイルで提供されています。
保税工場は関税法第56条に基づき、外国貨物の加工・製造を行う場所として税関長の許可を受けた施設です。一方、承認工場は関税定率法や関税暫定法に基づく特定の減税措置を受けるための施設で、目的が異なります。
保税工場では外国貨物のまま加工し、そのまま輸出する場合に関税・消費税を支払わずに済みます。承認工場では特定の製造工程で使用する原材料に対する関税の減免措置を受けられます。
実務では、両方の許可・承認を併せ持つ企業も存在しますが、それぞれ申請手続きや管理要件が異なるため、事業内容に応じた使い分けが必要です。通関業務従事者は、取引先がどの制度を利用しているかを正確に把握することが重要です。
保税工場の許可を受けた事業者が関税法に違反すると、貨物の搬入停止、保税作業停止、さらには許可取消しという段階的な行政処分を受ける可能性があります。
許可取消しになれば業務継続が不可能です。
参考)https://www.kanzei.or.jp/osaka/osaka_files/pdfs/cus_info/hozei6_201605191.pdf
神戸税関の非違事例では、NACCS民間管理資料の取得漏れにより輸出許可貨物3件について記帳がされていなかったケースが報告されています。このような記帳漏れは、管理能力不足として厳しく指摘されます。
参考)https://www.customs.go.jp/kobe/hozei/pdf/20200303_jirei.pdf
財務省関税局は2025年に保税業者に対する「業務改善命令」制度を新たに創設しました。これにより、違反があった場合でもいきなり許可取消しではなく、まず改善の機会が与えられる仕組みが整いました。
参考)財務省関税局 保税業者に対する「業務改善命令」を創設
ただし、指導を行っても改善が見込まれない場合は、関税法第43条第8号「保税工場の業務を遂行するのに十分な能力がない」という欠格条項に該当し、許可取消しとなります。不良品が判明した場合でも、保税倉庫なら関税や消費税を負担せずに返品できるため、適切な管理体制の維持が損失回避につながります。
参考)保税倉庫を使うメリットとは?輸入や通関する際の注意点をチェッ…
財務省税関「保税地域一覧表・承認工場一覧表」で全国の保税工場の最新リストと各税関管内の詳細データを確認できます
日本関税協会「保税制度における基礎知識」で許可取消しの要件と違反事例の詳細が解説されています