非該当証明書フォーマットの書き方と判定書の違い

非該当証明書のフォーマットに決まった書式はないと知っていましたか?作り方・記載項目・該非判定書との違いを通関実務の視点で解説。16項の落とし穴も見逃していませんか?

非該当証明書のフォーマットと判定書・記載項目の基礎知識

「非該当証明書は法律上、提出義務がなく、書式も法令で定められていません。」


📋 この記事の3つのポイント
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フォーマットに「正式書式」は存在しない

非該当証明書のフォーマットは法令で定められておらず、経済産業省が公開する「参考様式」はあくまで任意。必要事項が揃っていれば自社書式でも通関に使用できます。

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該非判定書・非該当証明書・パラメータシートの違い

「非該当証明書」「該非判定書」「パラメータシート」は似た言葉ですが、用途・発行者・根拠が異なります。混同すると税関でのやり取りが複雑になります。

⚠️
16項「キャッチオール規制」の記載を忘れると危険

食料品・木材以外のほぼ全貨物は輸出令別表第1の16項に該当します。この記載を省略すると税関から追加説明を求められ、出荷が遅延するリスクがあります。


非該当証明書フォーマットの基本と経済産業省の参考様式

通関実務に携わっていると、「非該当証明書のフォーマットはどれを使えばいいのか?」という疑問にぶつかることがあります。結論からいうと、非該当証明書のフォーマットは法令で定められていません。輸出貿易管理令にも外国為替令にも、特定の書式を義務付ける条文は存在しないのです。


つまり原則です。必要事項が記載されていれば、自社書式でも問題ありません。


ただし、「自由に作ってよい」といっても、何を書いても良いわけではありません。経済産業省は公式サイトの申請書類ページにて「非該当証明書の参考様式」と「非該当証明書の発行における要点」を公開しており、実務上はこれをベースに作成することが推奨されています。


参考様式はPDF形式でダウンロードでき、記載のひな型として活用できます。税関職員が見慣れた形式であるため、スムーズな確認につながりやすいというメリットがあります。これは使えそうです。


経済産業省が公式に公開している申請書類のページです。非該当証明書の参考様式と発行要点が掲載されており、実務上の正式なよりどころになります。


申請書類ページ|経済産業省 安全保障貿易管理(非該当証明書の参考様式・発行要点が掲載)


また、田中行政書士事務所のサイトでは、「非該当」と「対象外」の違いや、フォーマット選択の実務的な考え方が体系的に整理されています。


非該当証明書の記載事項と非該当・対象外の区分の解説|田中行政書士事務所


非該当証明書フォーマットの必須8項目と記載のコツ

フォーマットの自由度は高いものの、記載すべき項目は実務上ほぼ固まっています。最低限、以下の8項目を網羅することが必要です。


No. 記載項目 補足
1 作成年月日 政省令改正後の判定であることを示す
2 会社名 発行元の法人名
3 所属・役職 責任者の部署と肩書き
4 責任者氏名 署名または記名
5 連絡先電話番号 税関から確認連絡が入る場合がある
6 貨物名 商品名・製品名を正確に
7 型番・型式 同じ貨物名でも型番で規制が変わる場合あり
8 判定結果の記載文言 後述する「16項」への言及が重要


記載文言の典型例は以下のとおりです。


「当該製品は輸出貿易管理令別表第1の1項から15項に係る該当貨物ではありません。なお、輸出貿易管理令別表第1の16項には該当しております。」


「16項には該当しております」という一文が気になる方も多いと思います。これについては後のセクションで詳しく解説します。


税関の係官は貨物の専門家ではありません。「1~15項に非該当」と一言書くだけでは不十分な場合があります。記述が簡素すぎると、税関から追加説明を求められて通関日程がずれ込むケースも実際に起きています。判定根拠をひとこと添えるのが原則です。


具体的には、「○○令△△号の仕様規定(周波数○GHz以下・出力○W未満など)を満たさないため非該当」などと書くと、税関側が内容を確認しやすくなります。一読して状況が把握できる文章を心がけましょう。


非該当証明書と該非判定書・パラメータシートの違い

実務上、この3つの書類の呼称が混同されることは珍しくありません。現場では「一筆書いてください」「パラメータを出してください」「判定書を提出してください」と言われ方も様々で、その都度どの書類が求められているかを判断する必要があります。


以下に整理します。


書類名 主な発行者 内容の特徴 主な用途
非該当証明書 輸出者 輸出令1~15項に非該当の旨を一筆書いた証明書。対象外貨物に多く使われる。 通関時の税関提出
該非判定書 メーカー/輸出者 規制項番に照らして貨物スペックを確認した記録書面。非該当・該当いずれも記載。 許可申請・社内管理
パラメータシート メーカー CISTECが提供するチェックシート形式の書類。スペックの数値を埋めて判定する。 スペック確認・判定根拠


つまり、「非該当判定の結果を示す書面」という意味では3つとも目的が重なります。しかし発行者・詳細度・フォーマットがそれぞれ異なります。


「非該当証明書」は最も簡易な書面で、輸出者自らが作成するものです。一方「パラメータシート」はメーカーが作成するスペック照合書類であり、リスト規制(1~15項)に照らして「数値的に非該当」と証明するものです。この違いは重要です。


安全保障貿易情報センター(CISTEC)は、パラメータシートや項目別対比表を提供しており、実務上のよりどころになっています。


該非判定手続の基礎講座|安全保障貿易情報センター(CISTEC)(パラメータシートの基礎が解説されています)


非該当証明書フォーマットに必ず記載すべき「16項」の意味

非該当証明書を初めて作成した担当者が最も戸惑うポイントが、「16項には該当します」という一文の意味です。「非該当と言っているのに、なぜ16項に該当する?」と感じるのは当然の反応です。


ここは混乱しやすいところですね。


輸出貿易管理令別表第1の規制は、大きく2層構造になっています。


  • 1項~15項(リスト規制):武器・核・ミサイル・化学兵器など特定品目を細かく規定。スペックが規定値以上なら経済産業大臣の輸出許可が必要。
  • 16項(キャッチオール規制:食料品・木材以外のほぼすべての貨物が対象。ただし原則として輸出許可は不要。例外的に大量破壊兵器や通常兵器への転用おそれがある場合のみ許可申請が必要になる。


つまり工業製品の場合、1~15項に非該当であっても、16項には「原則該当する」ことになります。「16項には該当します」と明記することで、輸出者がキャッチオール規制を認識したうえで対応していることを示す意味があるのです。


この記載を省略すると、税関から「キャッチオール規制の確認はできていますか?」と問い合わせが来る可能性があります。痛いですね。


2025年10月9日には補完的輸出規制(キャッチオール規制)の見直し改正が施行されました。半導体や工作機械の一部が新たに規制項目に加わるなど、従来の非該当証明書の内容が実態と合わなくなるケースも出てきています。法改正後に古いフォーマットをそのまま使い回すことには注意が必要です。


補完的輸出規制(キャッチオール規制)の最新情報|経済産業省(2025年10月改正の詳細が確認できます)


非該当証明書フォーマット作成で見落としやすい「発行者責任」と更新タイミング

非該当証明書の作成で意外と見落とされているのが、「誰が発行すべきか」「いつ更新すべきか」という2点です。


まず発行者について。非該当証明書は輸出者が作成する書類ですが、実際の判定作業(特に技術的なスペック確認)はメーカーでなければ困難なことが多く、通常はメーカーが発行した該非判定書・パラメータシートを根拠として、輸出者が非該当証明書を作成するという流れになります。


経済産業省は「該非判定は輸出者が責任をもって行うこと」と明示しています。メーカーが判定書を出せない場合でも、輸出者としての法的責任は消えません。メーカーが書類を出せないからといって輸出を進めると、規制違反のリスクを丸ごと輸出者が負うことになります。これが条件です。


次に更新タイミングについて。非該当証明書には法律上の有効期限はありません。しかし、政省令(輸出貿易管理令・外国為替令・貨物等省令)は年に1回程度のペースで改正されます。


改正があった場合、過去に「非該当」と判断していた貨物が改正後に「該当」に変わるケースがあります。そのため、定期的に判定内容を見直し、必要であれば非該当証明書を作り直すことが実務上求められています。


実務では、政省令改正のたびに作成年月日だけ書き換えて発行し直す対応が一般的です。ただし改正内容を必ず確認したうえで、引き続き非該当かどうかを再判定することが前提になります。改正情報のチェックにはCISTECの情報を活用すると便利です。


政省令改正の最新情報|安全保障貿易情報センター(CISTEC)(改正のたびに確認すべきページです)


非該当証明書の作成代行や判定支援は、安全保障貿易管理を専門とする行政書士事務所でも対応しています。田中行政書士事務所の報酬額表によると、非該当証明書・該非判定書の作成支援は22,000円~77,000円が目安とされています。自社で判定が難しい高度な貨物や、法改正直後の判定に不安がある場合は、専門家へ相談することも選択肢のひとつです。


通関実務者だけが知る非該当証明書の独自視点:「一筆」の重みと責任の所在

ここまでフォーマットや記載項目を解説してきましたが、実務経験者の間でしばしば語られる視点があります。非該当証明書は「一筆書いた紙」に過ぎないように見えて、実はその発行行為そのものが輸出者の責任を明確にする行為だということです。


非該当証明書を提出するということは、「この貨物は輸出規制に該当しない」と輸出者が判断し、その判断について法的な責任を自ら引き受けることを意味します。税関に提出して「OK」をもらった時点で、単なる書類確認ではなく、輸出者としての意思表明が完了するわけです。


「一筆でいい」という言葉の背後には、「その一筆が正確でなければ輸出者が違反責任を問われる」という現実があります。厳しいところですね。


外国為替及び外国貿易法外為法)違反となった場合のペナルティは重大です。故意の違反であれば5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金(法人の場合は5億円以下の罰金)が科される可能性があります。「よく分からなかったから」「メーカーに任せていた」という言い訳は通じません。


このため、非該当証明書のフォーマットをどれだけ整備しても、証明書に記載された判定根拠が実態と一致していなければ意味がありません。「書類の体裁を整える」ことと「正しく判定する」ことは別の作業です。この2つは必ずセットで考えることが原則です。


一連の判定手続きと文書管理の流れを社内で標準化しておくと、法改正への対応やスタッフの入れ替わり時にも安定した運用ができます。チェックリストや内部マニュアルの整備も、通関実務の品質向上につながる一歩です。


企業間における該非判定の依頼と回答について|CISTEC(他社製品を輸出する際の判定依頼の手順が確認できます)