通関業務経験があっても法学部出身でなければ行政書士は諦めるべき
行政書士試験の難易度を大学の偏差値に換算すると、偏差値60〜65程度とされています。これは関東ではMARCH(明治大学・青山学院大学・立教大学・中央大学・法政大学)、関西では関関同立(関西大学・関西学院大学・同志社大学・立命館大学)レベルに相当します。
参考)行政書士の難易度とは?合格するとすごい?難易度ランキングと偏…
合格率は約10〜15%で推移しており、令和7年度(2025年度)は14.54%でした。つまり10人受験して1〜2人しか合格しません。
参考)令和7年度(2025年度)行政書士試験 合格率は14.54%…
この偏差値換算は試験の合格率から算出されたものです。上位15%の偏差値が約60、上位8%であれば約64となる計算になります。
参考)行政書士試験の難易度。偏差値でたとえると60~64の難関資格…
行政書士試験は8士業の中で難易度ランキング7位に位置します。東京大学・京都大学レベルの司法試験や、早稲田大学・慶應義塾大学レベルの司法書士・弁理士よりは難易度が低いですが、宅建士や簿記2級よりは難しい試験です。
参考)https://tsunagushigyou.com/gyoseishoshi-university-ranking-comparison/
難易度は中の下ですね。
通関業務従事者にとって気になるのが、行政書士試験と通関士試験の難易度の違いです。結論から言うと、行政書士試験の方が難易度は高めです。
合格率を比較すると、通関士試験が10〜20%程度であるのに対し、行政書士試験は10〜15%程度です。令和6年度の通関士試験は12.4%、行政書士試験は12.9%とほぼ同水準でしたが、必要な勉強時間で大きな差があります。
必要な勉強時間は通関士試験が約500時間であるのに対し、行政書士試験は600〜1000時間必要とされます。つまり、行政書士試験の方が1.2〜2倍の学習時間が必要になります。
試験内容の違いも重要です。通関士試験は関税法や貿易実務など実務寄りの内容で暗記が中心ですが、行政書士試験は民法や行政法の深い理解と論理的思考力が求められます。
通関士から行政書士へのステップアップを考えている方には、既に法律的な思考力の基礎があるため有利です。
参考)通関士とのダブルライセンスに最適な相性の良い資格7選!行政書…
「法学部出身でないと行政書士試験は難しい」という思い込みは間違いです。法学部以外の出身者でも十分合格可能です。
参考)【行政書士】法学部以外だと難しい?初心者・独学で半年合格した…
実際に法学部以外の出身で合格している人は数多く存在します。行政書士試験には受験資格がなく、年齢・国籍・学歴不問で誰でも受験できます。
参考)https://gooschool.jp/online/gyoseishoshi-dokugaku/
重要なのは「法学部出身であるかどうか」ではなく、試験に向けてどれだけ計画的に学習できるかです。法律初心者でも独学で合格している人もいます。
ただし独学の合格率は全体の10%よりさらに低く、5%以下と推定されています。通信講座の受講者の合格率が50〜60%に達する講座もあるため、初心者の場合は通信講座の利用も検討する価値があります。
参考)【2026年最新】行政書士試験は独学でも合格できる?勉強は何…
法学部以外でも問題ありません。
通関業務従事者の場合、すでに法令を扱う実務経験があるため、法律的な思考の基礎は身についています。関税法などの知識も民法や行政法の学習に活かせる部分があります。
参考)行政書士と通関士の資格、ダブルライセンスで広がるキャリアの可…
行政書士試験に合格するためには、3つの基準すべてをクリアする必要があります。この基準が試験の難易度を高めている要因です。
合格基準は以下の通りです:
1つでも基準点に達していないと不合格になります。これは「足切り」と呼ばれる制度で、得意科目で高得点を取っても苦手科目があると合格できません。
試験科目の配点は以下のようになっています:
| 科目 | 出題形式 | 問題数 | 配点 | 合計点 |
|---|---|---|---|---|
| 憲法 | 5肢択一式 | 5問 | 4点 | 28点 |
| 行政法 | 5肢択一式・多肢選択式・記述式 | 22問 | - | 112点 |
| 民法 | 5肢択一式・記述式 | 11問 | - | 76点 |
行政法が112点と最も配点が高く、次いで民法が76点です。この2科目で全体の約63%を占めるため、行政法と民法の対策が合否を分けます。
記述式問題も難関です。
記述式は行政法で1問20点、民法で2問40点の配点があります。部分点はもらえますが、法律用語を正確に使って論理的に記述する必要があります。
通関業務従事者が行政書士資格を取得すると、業務の幅が大きく広がります。特に貿易関連企業へのワンストップサービス提供が可能になる点がメリットです。
行政書士は会社設立や許認可申請など企業の法務関連業務をサポートします。通関士が輸出入の手続きを専門とするのに対し、行政書士は法人設立や契約書作成を担当できます。例えば、海外進出を目指す企業に対して、行政書士として会社設立や許認可取得を支援し、通関士として輸出入の手続きをサポートするという形です。
ダブルライセンスの具体的なメリットは以下の通りです:
実際に通関士と行政書士のダブルライセンスを持つ方は、貿易会社で法務と通関業務を担当し、輸出入に関する契約書の作成から通関手続きまで幅広く対応しています。
専門知識を活かせますね。
通関士資格は企業内でのキャリアが中心ですが、行政書士資格を加えることで独立開業という選択肢も生まれます。貿易と法務の両方に精通した専門家は市場価値が高く、顧客満足度も向上します。
ただし注意点もあります。ダブルライセンスを目指す際の最大の壁は「時間」です。通関士の仕事は繁忙期に残業が発生するため、働きながらの学習継続は簡単ではありません。学習計画を立てる際は、仕事の繁閑を考慮して無理のないスケジュールを組むことが重要です。
参考)通関士ダブルライセンスの魅力とは?行政書士や税理士との相性も…
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行政書士試験に合格するための勉強時間は600〜1000時間が目安とされています。1日2時間の学習なら約1年、1日3時間なら約8ヶ月で到達する計算です。
法律初心者の場合、1000時間程度を見込んでおくのが安全です。通関業務で法令に触れた経験がある方なら、600〜800時間で合格圏内に入る可能性があります。
効率的な時間配分のポイントは以下の通りです:
行政法と民法で全体の70%の学習時間を割くのが基本です。この2科目で188点(全体の約63%)を占めるため、ここで得点できないと合格は難しくなります。
基礎知識科目は足切りラインが40%と低いですが、油断は禁物です。一般常識・政治・経済・社会・情報通信など範囲が広いため、日頃からニュースに触れて知識を蓄えておく必要があります。
記述式対策には特に時間をかけてください。
記述式問題は配点が高い(60点)うえに、法律用語を使った正確な文章表現が求められます。択一式で基礎を固めた後、過去問や模擬試験で記述力を磨くのが効果的です。学習開始から6ヶ月目以降に本格的な記述対策を始めるのが一般的なスケジュールです。
通関業務の繁忙期を考慮して、学習開始時期を調整することも重要です。試験は毎年11月の第2日曜日に実施されるため、逆算して1年〜1年半前から準備を始めるのが理想的です。
行政書士試験の偏差値と難易度の詳細はこちら(スタディング)