トランスシップとは|通関業務の基礎と費用削減メリット

トランスシップとは貨物を途中の港で別の船に積み替える輸送方法のこと。通関業務に携わる方にとって、コスト削減や効率化の観点から理解が不可欠な知識です。直行便との違いやリスクについて、あなたは正確に説明できますか?

トランスシップとは

トランシップ港での待機時間が直行便より長くなると通関コストが急増します。


この記事の3つのポイント
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トランスシップの基本概念

貨物を途中の港で別の船に積み替える輸送方法で、大型船の効率的運航を実現する物流手法

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費用とリスクのバランス

運賃削減の可能性がある一方で、港湾利用料や遅延リスクによる追加コストが発生する場合も

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通関業務での注意点

積み替えに伴う書類管理の複雑化と、税関検査や申告手続きでのミスリスクへの対策が重要

トランスシップの定義と物流での役割


トランスシップとは、積み荷港から輸送された貨物を途中の港で別の船に積み替え、最終的な積み降ろし港まで輸送する物流手法のことです。英語では「Transship」または「Transshipment」と表記されます。


参考)トランシップ 


この手法は大型船の運航効率を高めるために活用されています。具体的には、貨物をいったんベースポート(ハブ港)に集約してから各地へ配送する方式で、海運会社にとって経済合理性の高い運航体制を構築できます。

つまり積み替えが基本です。


通関業務の観点では、トランスシップは複数の港を経由するため、書類管理や手続きが複雑化する特徴があります。貨物の動きを正確に追跡し、各港での必要な申告を漏れなく行うことが求められます。


参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/sonota/9105_jr.htm

トランスシップと直行便の違い

直行便は積み荷港から最終仕向港まで同じ船で輸送する方式です。一方、トランスシップは途中のハブ港で別の船に積み替えるため、輸送日数が長くなる傾向があります。


参考)トランシップ


輸送日数の差は、ルートや積み替え港の混雑状況によって異なります。トランスシップの場合、接続する船が遅れると1週間以上の遅延が発生することもあります。これは通関業務のスケジュール管理に大きな影響を与える要素です。


参考)海上輸送・ダイレクト船とトランシップ船どちらが良いの? - …

海上輸送運賃は、一般的にトランスシップの方が安価になる場合があります。ただし、トランシップ港での港湾利用料(THC)が別途発生するため、総コストでは必ずしも安くならないケースもあります。日本の港では、THCは3万円から5万円弱程度が一般的です。


参考)301 Moved Permanently


実際の費用は個別に確認が必要です。


貨物の損傷リスクもトランスシップの方が高くなります。積み替え作業でコンテナの上げ下ろしが増えるため、取り扱い回数が多くなることが原因です。通関業務では、この損傷リスクを考慮した保険手配や検査体制の構築が重要になります。


トランスシップのメリットと費用削減効果

トランスシップの最大のメリットは、地方港から海外へ貨物を輸送する際の選択肢が広がることです。直行便が就航していない港でも、ハブ港経由で世界中に貨物を届けられます。


運賃面では、海上輸送運賃そのものが直行便より安価になる可能性があります。特に輸送量が少ない航路や、大型船が寄港しない港からの輸送では、トランスシップを活用することでコスト削減につながる場合があります。


ただし総コストは慎重に計算すべきです。


通関業務の観点では、トランスシップを利用することで通関のタイミングを柔軟に調整できるメリットがあります。例えば、ハブ港で一時的に貨物を蔵置し、必要な書類が揃ってから最終仕向港へ輸送するといった対応が可能です。

また、近年は直行便の減少によってトランスシップの利用が増加しています。2021年頃から海運市況の変化により、特に地方港への直行便が減少し、ハブ港での積み替えが主流になってきました。この傾向を踏まえ、通関業務ではトランスシップを前提とした業務フローの構築が求められています。


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トランスシップのデメリットとリスク管理

トランスシップの主なデメリットは、輸送日数の増加と遅延リスクの高まりです。接続船のスケジュール変更、トランシップ港での滞留、港湾労働者のストライキなどが遅延の主な原因となります。


遅延が発生すると、保管費用や追加の運送費用が発生します。海上貨物の通関手続きには通常3〜5日かかりますが、遅延によってこの期間が延びると、保税地域での保管料が追加で必要になります。


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トランシップ港での混雑による「Shut Out」(積み残し)も深刻なリスクです。本船の遅延、ハブ港での混雑、通関書類の不備、天候悪化など複数の要因が重なると、貨物が予定していた船に積めない事態が発生します。


参考)トランシップ港での“Shut Out”防止策と代替積替え判断…

損傷リスクは要注意です。


貨物の損傷リスクも見逃せません。コンテナの上げ下ろし作業が増えることで、取り扱い時のダメージ発生可能性が高まります。通関業務では、到着時の貨物検査を入念に行い、損傷が確認された場合の対応フローを事前に整えておくことが重要です。


書類管理の複雑化もデメリットの一つです。積み替えが発生すると、船荷証券(B/L)や原産地証明書などの書類で、トランシップ港の情報を正確に記載する必要があります。書類の不備は通関遅延の原因となり、その結果として遅延利息や保管料などの追加コストが発生するリスクがあります。


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トランスシップ時の通関書類と手続きの注意点

トランスシップを伴う通関業務では、書類の正確性がより一層重要になります。船荷証券(B/L)には、トランシップ港を経由する旨が明記されている必要があります。


参考)四日市商工会議所 » 原産地証明書

原産地証明書の取り扱いにも注意が必要です。再輸出の場合、海外公的機関が発行した原産地証明書、原産国表記のある輸入許可通知書、輸入時のインボイスなどが典拠書類として求められます。トランスシップ港で積み替えを行う場合でも、最初の積み荷港からの一連の輸送ルートを証明できる書類を揃えることが求められます。

書類の転記ミスや記載漏れは、通関遅延や追加費用の発生につながります。特にインボイスと申告書の内容が一致しているか、HSコード(統計品目番号)が正確か、貿易管理令や他法令の該当・非該当が適切に判断されているかを、複数回チェックすることが重要です。


参考)貿易業務のミスを削減!書類作成や事務管理を効率化する方法とは…


典拠書類は事前に確認が必須です。


通関手続きの不備や虚偽の申告は「密輸」として扱われ、関税法109条の法令で罰則を受けます。トランスシップのような複雑な輸送形態では、特に慎重な書類管理が求められます。


参考)通関作業とは?|輸出通関・輸出通関それぞれの流れや必要な書類…

通関業務の範囲については、輸出・輸入の申告から許可を得るまでの手続き、特例輸入者特定輸出者の承認申請、保税地域での貨物の蔵置や作業の承認申請などが含まれます。トランスシップ時には、これらの手続きを各港で適切に実行する必要があります。

トランスシップ利用時のコスト計算と選択基準

トランスシップを利用するかどうかの判断では、総コストを正確に把握することが重要です。海上輸送運賃だけでなく、トランシップ港でのTHC(ターミナル・ハンドリング・チャージ)、保管料、保険料などを含めた試算が必要です。

THCはターミナル内で発生するコンテナの取り扱い費用についての追加料金で、コンテナ・ハンドリング・チャージ(CHC)とも呼ばれます。日本の港では3万円から5万円弱程度ですが、トランシップ港でも同様の費用が発生するため、直行便と比較して必ずしも割安にならない場合があります。


CIF契約の場合、積み地でのTHCは売主の負担となりますが、揚げ地でのTHCは運送契約に含まれている場合に限り売主の負担となります。契約条件によって費用負担が変わるため、見積もり段階で明確にしておくことが重要です。

契約時に費用分担を明記が基本です。


輸送日数の許容範囲も選択の重要な基準です。直行便であれば通常の輸送期間で済むところ、トランスシップでは積み替え待ち時間が加わります。さらに接続船の遅延リスクを考慮すると、余裕を持ったスケジュール設定が必要です。

貨物の性質も判断材料になります。損傷リスクに敏感な貨物、温度管理が必要な貨物、高額な貨物などは、積み替え回数が少ない直行便の方が適している場合があります。一方、損傷リスクが低く、輸送日数に余裕がある貨物であれば、トランスシップによるコスト削減効果を享受しやすくなります。


通関業務の観点では、自社の書類管理体制や人的リソースも考慮すべきです。トランスシップは書類管理が複雑になるため、十分な体制が整っていない場合は、ミスによる追加コストが発生するリスクが高まります。




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