戻し税 税関の手続きと違約品再輸出の要件

輸入後に契約不適合が判明した場合、関税の戻し税制度で納付済み関税を回収できます。しかし手続きには期限があり、保税地域搬入や税関への届出を怠ると還付を受けられません。通関業務従事者が知っておくべき違約品の戻し税手続きや注意点を解説します。あなたの現場で損失を防げていますか?

戻し税 税関の制度と手続き

違約品を再輸出しても保税搬入が7ヶ月目だと戻し税は受けられません。


この記事のポイント
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戻し税制度の基本

契約不適合品の再輸出・廃棄時に納付済み関税を払い戻せる制度

期限の厳守

輸入許可日から原則6か月以内に保税地域へ搬入が必須条件

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事前手続きの重要性

再輸出・廃棄の前に税関への届出を行わないと還付不可

戻し税制度の基本概要と対象貨物


関税の戻し税制度とは、関税を納付して輸入した貨物について、一定の条件を満たす場合に納付済み関税を払い戻す制度です。通関業務従事者にとって、この制度は輸入者の損失を最小限に抑えるための重要な救済手段となります。


参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1604_jr.htm

対象となる貨物は3つのカテゴリに分類されます。第一に、品質や数量が契約内容と相違し返送・廃棄がやむを得ない貨物、第二に、個人使用目的で通信販売により購入したものの品質が予期しなかった貨物、第三に、輸入後に法令により販売・使用が禁止された貨物です。つまり輸入者の責任ではない理由で使用できなくなった貨物が該当します。

この制度を適用するには、貨物が輸入時の性質・形状を保っている必要があります。


加工や改造を加えた貨物は対象外です。


戻し税の6か月期限と保税地域搬入の要件

戻し税の最も重要な要件は、輸入許可日から原則6か月以内に保税地域へ貨物を搬入することです。この期限を1日でも過ぎると、たとえ明らかな違約品であっても関税の払い戻しは一切受けられません。


参考)輸入税還付について。 - 通関士ブログ


例えば1月10日に輸入許可を受けた貨物なら、7月10日までに保税地域へ搬入しなければなりません。


搬入期限が6か月ということですね。


この要件が厳格なのは、税関が貨物の現物確認を行うためです。保税地域は税関の監督下にある場所であり、そこに搬入することで貨物が本当に輸入時の状態を保っているか、違約品として認められるかを税関職員が確認できます。この確認なしに再輸出や廃棄を行ってしまうと、不正な還付請求を防止できなくなるため、事前搬入が絶対条件とされています。


通関業務従事者は、荷主から品質不良の連絡を受けた時点で、輸入許可日を即座に確認し、6か月の期限までの残り日数を計算する習慣をつけておくべきです。期限管理の遅れが数十万円から数百万円の損失につながるケースもあります。


違約品等保税地域搬入届の提出手続き

戻し税を受けるための最初の手続きは、「違約品等保税地域搬入届」(税関様式T第1630号)の提出です。この届出は、貨物を保税地域に搬入する際に、その保税地域を管轄する税関に提出します。

搬入届には、輸入許可書の情報、貨物の品名・数量、違約の理由などを記載します。税関が内容を確認し搬入を認めると、「違約品等保税地域搬入届受領書」が交付されます。この受領書は次のステップで必須の書類となるため、確実に保管しておく必要があります。

搬入届の提出時には、違約品であることを証する書類も準備しておくとスムーズです。具体的には、契約書と実際の貨物の仕様が異なることを示す検査報告書、取引先とのメールのやり取り、返品承諾書などが該当します。


これらの書類は後の輸出申告でも使用します。


保税地域への搬入は、搬入届を提出してから行うのが原則です。


再輸出による戻し税の申請方法

違約品を再輸出する場合、通常の輸出申告に加えて「違約品等の輸出に係る関税払戻し(減額・控除)申請書」(税関様式T第1640号)を2通提出します。この申請書には、以下の書類を添付する必要があります。

第一に、違約品であることを証する書類です。契約書と異なる仕様を示す検査結果、サプライヤーからの品質不良の認定書、返品承諾書などが該当します。第二に、輸入許可書またはこれに代わる税関の証明書です。第三に、先に交付を受けた違約品等保税地域搬入届受領書です。

税関では、提出された書類の審査と保税地域に搬入されている実際の貨物との照合(対査)を行います。この対査により、本当に輸入時の状態を保っているか、書類に記載された違約の内容が事実かを確認します。


厳しいところですね。



審査が通れば輸出許可が出され、貨物を輸出できます。その後、納付した関税額が指定口座に振り込まれる形で還付されます。還付までには通常1〜2か月程度かかるため、資金繰りへの影響も考慮しておく必要があります。


参考)https://www.customs.go.jp/tokyo/zei/i_sodan1_9.htm

廃棄による戻し税の手続きと注意点

違約品を再輸出ではなく廃棄する場合の手続きは、再輸出よりも複雑です。まず保税地域への搬入と搬入届の提出は再輸出の場合と同じです。

次に、「滅却(廃棄)承認申請書」(税関様式C第3170号)を2通、違約品であることを証する書類、輸入許可書、違約品等保税地域搬入届受領書、廃棄がやむを得ないことを証する書類を添付して提出します。廃棄がやむを得ない理由としては、再輸出の運賃が貨物価値を上回る、食品の賞味期限切れで衛生上の問題がある、などが認められます。


参考)https://school-kizu.jp/tei20.html


税関の承認を受けた後、税関職員の立ち会いのもとで実際に廃棄を行い、廃棄の確認を受けます。この確認を受けた滅却(廃棄)承認書を添付して、「違約品等の廃棄に係る関税払戻し(減額・控除)申請書」(税関様式T第1660号)を1通提出します。


廃棄が条件です。



廃棄費用は輸入者負担となるため、再輸出と廃棄のどちらが経済的かを事前に比較検討することが重要です。再輸出の運賃が5万円、廃棄費用が2万円、戻ってくる関税が15万円なら、どちらを選んでも輸入者は損失を抑えられますが、総コストは異なります。


通関業務従事者が押さえるべき実務上のポイント

戻し税の手続きは時間を要するため、荷主から違約品の申し出を受けたら即座に動く必要があります。特に6か月の期限が迫っている場合、書類準備と税関への相談を同時並行で進める必要があります。

実務でよくある失敗は、輸入許可日の確認遅れです。輸入許可書を探すのに数日かかり、気づいたら期限まで1週間しかなかったというケースが実際にあります。通関業者は、輸入許可書のコピーや輸入許可日の記録を顧客ごとに整理して保管しておくべきです。


また、違約品であることを証明する書類の質も重要です。「品質が悪い」という漠然とした申し立てでは税関は認めません。具体的な数値データ(寸法誤差、成分分析結果など)、写真、第三者検査機関の報告書など、客観的な証拠を揃えることで審査がスムーズになります。


これは使えそうです。


税関のカスタムスアンサー1604番には、違約品の戻し税手続きの詳細が掲載されています。事前相談の重要性も明記されているため、手続き前に必ず確認しておくべき公式資料です。
税関への事前相談は、手続きをスムーズに進めるための鍵です。どの書類が必要か、どのような証明が求められるかは、貨物の種類や違約の内容によって異なります。事前に税関に問い合わせて、必要書類リストと手続きの流れを確認しておくことで、期限内に確実に手続きを完了できます。




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