輸入申告後4年以内なら特恵関税を遡って適用できます。
環太平洋パートナーシップ(TPP:Trans-Pacific Partnership)協定は、アジア太平洋地域の経済統合を目指す広域経済連携協定です。2018年12月30日に発効したCPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)は、日本、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ベトナムの11カ国が参加しています。米国は当初参加していましたが、2017年に離脱しました。
参考)https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/tpp/
この協定は、単なる関税撤廃にとどまらず、サービス、投資、知的財産、電子商取引、国有企業の規律など幅広い分野で21世紀型のルールを構築する意欲的な内容となっています。つまり包括的な経済連携です。
参考)https://www.kantei.go.jp/jp/headline/tpp2015.html
通関業務従事者にとって、TPPは日常業務に直結する重要な協定といえます。関税削減による貿易コスト低減や、原産地証明手続の簡素化により、輸出入手続きの効率化が実現できるからです。
参考)TPP特恵で関税を引き下げるための実務とは(1)(ニュージー…
TPP協定では、参加国間の関税撤廃が基本原則となっています。日本の農産物については約2割で関税撤廃の例外を確保しましたが、それ以外の多くの品目で関税が段階的に削減または即時撤廃されます。
参考)https://www.cas.go.jp/jp/tpp/tppinfo/2015/pdf/151105_tpp_zensyougaiyou.pdf
関税削減の恩恵を受けるには、産品がTPP原産品であることを証明する必要があります。原産品とは、①完全生産品、②原産材料のみから生産される産品、③品目別規則(PSR)を満たす産品のいずれかに該当するものです。品目別規則では、関税分類変更基準や付加価値基準などが産品ごとに設定されています。
参考)https://www.customs.go.jp/roo/text/tpp_roo.pdf
特恵税率の適用範囲を定める原産地規則では、域内累積が採用されており、TPP参加国内の部品や素材を使った製品は特恵対象となります。この仕組みが域内サプライチェーンを深化させます。
参考)TPPをめぐるこれまでの経緯とこれからの課題 –…
関税の撤廃時期については、締約国の要請があれば繰り上げ協議が義務付けられており、段階的撤廃品目でも将来的に早期撤廃の圧力がかかる可能性があります。これは使えそうです。
参考)https://parc-jp.org/parccms/wp-content/uploads/2023/09/TPPtextanalysis_ver.3.pdf
TPPでは、従来の第三者証明制度ではなく自己申告制度が採用されています。これは輸出者、生産者、または輸入者が自ら産品の原産性を確認し、原産地証明書を作成する方式です。
参考)https://www.customs.go.jp/roo/origin/tpp_roo.pdf
自己申告制度の最大のメリットは、政府機関の発給を待つ必要がなく、企業が迅速に証明書を作成できる点です。これが基本です。輸入者がTPP税率を適用して輸入申告する際には、原産品申告書を税関に提出します。日本での輸入では、原産品であることを明らかにする明細書等の提出も必要です。
通関時に必要な書類は、通常の輸入手続きで要する船積書類(shipping documents)があれば十分とされています。特別な説明書類は不要です。
原産地証明書には、輸出者・生産者・輸入者の情報、産品の説明、原産地基準を満たすことの証明など、必要事項を記載する必要があります。記載内容の正確性が特恵関税適用の鍵となります。
参考)https://hero-gensanchi.com/gensanch%EF%BD%94%EF%BD%90%EF%BD%90.html
TPPでは、輸入手続き完了後も特恵待遇の要求と支払い済み関税の還付が認められています。協定上の事後要求・還付期間は1年間とされていますが、ニュージーランドでは輸入時点から4年にわたって対応可能です。
この制度により、輸入時に原産地証明書を用意できなかった場合でも、後から証明書を入手して特恵関税を申請し、関税差額の還付を受けることができます。つまり機会損失を回避できます。
事後適用を活用する場合、輸入者は関税を全額納付してから、定められた期間内に原産地証明書を提出して還付請求を行います。この手続きを知らないと、本来受けられる関税優遇措置を逃してしまい、企業にとって大きな損失となります。
参考)관세무역FTA Insight : 네이버 블로그
通関業務従事者は、取引先に対してこの事後適用制度を積極的に案内することで、輸入コスト削減に貢献できます。特に、突発的な輸入や短納期案件で事前に証明書を準備できなかったケースでは、この制度が有効です。
TPP協定は通関業務従事者の日常業務に多岐にわたる影響を与えています。関税削減による価格競争力の向上は、輸出入量の増加につながり、通関業務の件数が増える可能性があります。
原産地規則の確認作業が重要性を増しています。産品が原産地基準を満たすかどうかの判断には、関税分類変更基準や付加価値基準の理解が不可欠です。判断を誤ると特恵関税が適用されず、荷主に損害を与えることになります。厳しいところですね。
自己申告制度の導入により、企業側の責任が重くなりました。原産地証明書の作成には正確な知識と慎重な確認作業が求められます。税関による事後確認(検認)の対象となる可能性もあるため、証明書作成時の根拠資料を適切に保管しておく必要があります。
域内累積のルールを活用すれば、TPP参加国からの部品を組み合わせた製品でも原産品として認定される可能性が広がります。サプライチェーン全体を俯瞰した原産地判定が求められるということですね。
通関業務の効率化には、TPP協定の内容を正確に理解し、顧客に適切なアドバイスを提供することが重要です。税関のウェブサイトや専門機関が提供する情報を定期的に確認し、最新の運用状況を把握しておくことが必要です。
税関:CPTPP(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)
こちらのリンクには、CPTPP協定の概要、証明制度、事後確認など通関実務に必要な詳細情報が掲載されています。
JETRO:TPP特恵で関税を引き下げるための実務とは
原産地証明書の提出方法や通関時の必要書類など、実務面での具体的な手続きが解説されています。