あなたが見落とした締約国判断一つで、数百万円単位の追徴とクレームが一気に降ってくるケースがあります。
締約国という言葉は、まず国際法上の一般的な定義を押さえる必要があります。 条約法に関するウィーン条約では、「締約国」とは、その条約に拘束されることに同意した国とされています。 ここでポイントとなるのは、「効力が発生しているかどうか」にかかわらず、拘束されることに同意した段階で締約国と呼びうるという点です。 つまり、署名だけでなく批准・受諾などの国内手続きを経たかどうかがカギになります。 つまりこの違いが基本です。[2][3]
国連人権条約の解説では、「条約の締約国」になるまでに、採択、署名、批准・加入というステップがあることが丁寧に説明されています。 日本が自由権規約など14の人権条約を批准し、その締約国として条約上の義務を負っていることは、通関実務にも間接的に影響します。 たとえば、人権や環境関連の条約の締約国であることが、輸出管理や特定品目の規制の背景となることがあるためです。 つまり締約国という語は、単に「条約に参加している国」ではなく、「一定の義務と権利を受け入れた国」を指すという理解が重要です。 つまりそういう用語ということですね。
参考)https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/vclot.htm
外務省によるGATT(関税及び貿易に関する一般協定)の条文でも、「この協定の締約国とは、一定の手続きに基づきこの協定の規定を適用している政府をいう」と定義しています。 また、同じ条文で「関税地域」という概念を用い、その関税地域についてGATTを受諾した締約国をどのように扱うかが規定されています。 これは、香港やEUのように、一つの「国」ではないが独立の関税政策を持つ主体が締約国として扱われる場合があることを示唆します。 ここまでが条約法ベースの土台です。 結論は国際法上の定義を押さえることです。
参考)https://www.mofa.go.jp/mofaj/ecm/it/page1w_000138.html
通関担当者にとって身近なのは、GATT・WTO体制や各種EPA・FTAにおける締約国という用語です。 GATTでは、締約国同士が「最恵国待遇」を与え合うことが原則とされ、協定税率(MFN税率)が締約国間の基本税率になります。 日本税関の解説では、WTO非加盟国であっても二国間条約で最恵国待遇を約束した相手には、WTO加盟国と同様に協定税率を適用すると説明されています。 つまり協定相手国も広義の条約上の締約国として扱われる場面があるわけです。 つまりMFNが原則です。[12][13][4]
EPAやFTAでは、締約国という言葉がさらに実務的な意味を持ちます。 経済産業省や日本商工会議所の資料では、EPA締約国間でMFN税率より低いEPA税率を設定できるため、締約国同士の取引で関税コストを大きく下げられることが強調されています。 例えば、通常15%の関税がかかる品目でも、EPA税率0%が規定されているケースがあり、輸入額が1億円であれば1500万円相当の差になります。 大口案件なら、この差がそのまま利益や価格競争力に直結します。 いいことですね。
一方、税関のEPA原産地規則マニュアルでは、「ここで『締約国』とはアセアン包括協定が効力を生じている国のみを指す」と明記し、協定発効前のASEAN加盟国は締約国に含まれないことを示しています。 つまり「ASEAN加盟国=締約国」ではないため、同じ国名でも協定ごとに締約国かどうかが変わるのです。 RCEPなど多国間協定では、ミャンマーのように協定自体は署名しているが、特定国ではまだ未発効のケースもあり、「加盟国だが締約国ではない」期間が存在し得ます。 つまり協定ごとの発効状況を確認することが条件です。
日EU・EPAの解説では、「締約国とは、日本又はEUをいう」と説明され、EU域内を一つの領域とみなしていることから、フランスで生産されたワインも「締約国原産品」として扱われる例が示されています。 ここで重要なのは、EU各国を個別の締約国と数えない点で、輸送経路や加工地を追う際に、「EU域内での移動は締約国内の移動」と整理されることです。 これは、原産地判断や累積規定の適用可否を考える上で、通関担当者にとって実務上のツボになります。 つまり枠組みごとの締約国概念が違うということですね。
参考)https://www.customs.go.jp/roo/origin/jpeu2.htm
EPAの通関手続では、「締約国であること」と「締約国の原産品であること」が実務上のカギになります。 税関の解説によれば、EPA特恵税率の適用を受けるためには、輸入貨物が当該EPAに基づく原産品であることを証明した原産地証明書を原則として輸入申告時に提出する必要があります。 この証明書は、各EPA締約国で指定された発給機関が輸出者等の申請に基づいて発給するもので、発給日から1年間が有効期間です。 ここで「締約国の発給機関」が明示的に列挙されており、シンガポール税関、メキシコ経済省、タイ商務省など具体的な官庁名が挙げられています。 これだけ覚えておけばOKです。[7]
同じ資料では、日豪EPA、TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEP協定などにおいて、輸入者等が「締約国の原産品である旨の申告書(原産品申告書)」を自ら作成して提出できる自己申告制度が導入されていると説明されています。 これは、従来のように輸出国の商工会議所等から特定原産地証明書を取り寄せる必要がないため、時間とコストを節約できる一方で、誤った自己申告を行うと追徴課税や過少申告加算税のリスクを負うことになります。 例えば、1コンテナあたり2000万円の輸入で5%の関税差がある場合、1本の誤った原産地自己申告だけで100万円の関税不足が発生し、複数回繰り返されると数百万円単位での追徴となり得ます。 痛いですね。
さらに、税関は原産地証明書や原産品申告書の事後提出を認める場合があるものの、それは災害など「やむを得ない理由」があると認められる場合やBP許可のケースに限られると明記されています。 通常は輸入申告時に書類が揃っていないとEPA特恵適用を受けられず、MFN税率での納税となり、その後の還付手続も協定や国内法の運用によっては認められないことがあります。 実務では、「あとから原産地証明が来るから、ひとまず通常税率で通して後日調整すればいい」という感覚で処理すると、還付不可や手続負担の増大につながることがあるのです。 つまり事前に準備することが原則です。
こうしたリスクを下げるには、「どの協定のどの締約国か」「どの締約国発給の証明書か」を案件ごとに明示して記録し、自己申告を利用する場合は社内チェックリストやEPA原産地判定支援ソフトを活用する方法があります。 特に多拠点・多協定を扱う企業では、RCEPと日中韓EPAなど似た枠組みを混同しやすいため、協定ごとに「締約国」「証明書フォーマット」「自己申告可否」を1枚の一覧にしておくと、担当者が変わってもミスを減らしやすくなります。 EPA対応のクラウド型原産地管理サービスなども出ており、原産地情報の蓄積と通関データとの紐付けを自動化できれば、ヒューマンエラーによる追徴リスクをかなり抑えられます。 つまり書類とシステムで「締約国」を固めることに価値があるということですね。
参考)https://www.kanzei.or.jp/sites/default/files/pdfs/aeo/2023_siryou_gensanti_export.pdf
租税条約の世界でも「締約国」という言葉は頻出で、ここでは日本と相手国の二国間関係を前提に使われます。 日本が締結している租税条約は79条約、対象国・地域は143にのぼり、多くが二重課税の回避や租税回避防止を目的としています。 典型的には、A国の企業a社がB国で事業を行う場合に、A国30%、B国25%といった法人税率の違いによる二重課税を調整する役割を持ちます。 ここで締約国という用語は、「租税条約の当事国として相互協議や情報交換を行う国」という意味を持つのです。 つまり租税条約上の相手国ということですね。[5][6]
通関担当者にとっては、租税条約は一見「税務部門の領域」に見えるかもしれませんが、実際には源泉税や恒久的施設(PE)の判断をめぐって、インボイスや契約書の内容を確認する場面があります。 日本に進出する外資系企業が、日本で得た配当・利子・使用料等に対する源泉所得税について、租税条約締約国であるかどうかで税率上限が変わることがあり、これは国際物流拠点の設計や委託加工スキームの組み方にも影響します。 例えば、日本とC国の租税条約により源泉税率が10%に制限されているところ、通常税率20%との差額10%は、大口取引では年間数千万円単位のキャッシュフロー差となり得ます。 これは使えそうです。
参考)https://www2.jiia.or.jp/kokusaimondai_archive/2010/2012-06_004.pdf?noprint
また、「租税条約に関する届出書」を対象所得の支払前日までに提出しないと、租税条約上の軽減税率の適用を受けられないという実務上の締め切りも存在します。 これは主に税務署向けの手続きですが、支払の前提となる輸入取引や役務提供がどの締約国の企業との間で行われているかを把握していないと、関係部署への連絡が遅れ、条約適用が間に合わないことがあります。 こうした場合、通関部門と税務部門の連携次第で、源泉税の過払い・還付請求の手間・相手先とのコスト折半交渉といった「余計な仕事」が発生しやすくなります。 つまり締約国情報の社内共有が条件です。
最近では、OECD主導の多国間条約(BEPS防止のための多国間条約、いわゆるMLI)も広がっており、これにより既存の二国間租税条約の内容が一括で修正されるケースがあります。 多国間条約の締約国であるかどうかによって、恒久的施設の定義や租税回避規制(Principal Purpose Testなど)の適用範囲が変わるため、国際取引に関わる企業にとっては、どの条約のどの締約国かを常にアップデートしておく必要があります。 通関担当者としても、貨物の流れだけでなく、取引スキーム全体の税務的な前提に意識を向けておくことで、「後から条約解釈が変わっていた」という事態を早めに検知しやすくなります。 つまり経路と条約の両方を見ることが原則です。
参考)https://scindeks-clanci.ceon.rs/data/pdf/0550-2179/2020/0550-21792003123Q.pdf
租税条約と通関の接点を意識した対策としては、自社が関わる条約・協定を一覧化し、「関税関連条約の締約国」「租税条約の締約国」「投資協定の締約国」を同じシートで管理する方法が考えられます。 これにより、新規取引先候補が出てきた段階で、「この国はEPA締約国か」「租税条約締約国か」「投資保護協定はあるか」をワンクリックで確認でき、物流・税務・法務が同じ情報を前提に判断できます。 専門書や国際税務に強い税理士・弁護士と連携し、定期的に条約ネットワークの見直しを行うことも、長期的には法的リスクとコストの両方を抑えるうえで有効です。 つまり締約国情報を「全社のインフラ」にするということですね。
通関現場では、「締約国」という言葉を聞いたときに、つい「協定に参加している国は全部同じ扱い」とイメージしてしまいがちです。 しかし、EPA原産地規則マニュアルのように、「締約国とは協定が効力を生じている国のみを指す」とわざわざ定義している文書を見ると、この感覚が危ういことが分かります。 例えば、ASEANのある国が協定には署名しているものの、まだ国内批准が終わっておらず未発効の場合、その国は「加盟国」でも「締約国」ではありません。 にもかかわらず、通関担当者が「ASEANだから締約国だろう」と判断してEPA税率を適用すると、その分の関税は本来MFN税率で納めるべきものだった、という話になります。 つまり発効状況の確認が基本です。[8][9][12][13]
こうした誤解が積み重なるとどうなるか。例えば、MFN税率10%、EPA税率0%の品目について、3年間にわたり毎年輸入額1億円の案件に誤ってEPA税率を適用していたとします。 この場合、本来支払うべき関税は年間1000万円、3年で3000万円です。 ここに過少申告加算税や延滞税が上乗せされれば、総額は3500万円を超えることもあり、通関部署や顧客にとっては大きな負担になります。 しかも、輸入者が最終価格にEPAメリットを織り込んで販売していた場合、後から価格転嫁することも難しくなります。 結論は早めの検証です。
また、日EU・EPAのように、「締約国とはEUと日本」と定義される協定では、EU域内のどの国で生産されたかによって原産品認定の可否が変わる一方、EU域内の単純な輸送・保管は「締約国内での移動」として扱われることがあります。 これを誤解して、「EU域内を経由しただけだから、第三国経由ではない」と判断し、本来必要な通しB/Lや証明書の確認を怠ると、税関から「直接運送要件を満たしていない」と指摘されるリスクがあります。 例えば、フランス→オランダ→日本という経路で、オランダで一時的な加工や仕分けが行われた場合、その内容次第では原産地や直接運送の判断が変わり、EPA適用が否認される可能性があります。 つまり経路の中身を見ることに注意すれば大丈夫です。
さらに、RCEP協定などでは、協定自体は発効しているものの、特定の締約国(例としてミャンマー)が未発効である状態が続いているとされています。 このようなケースで、誤って「RCEP加盟国だから締約国」と判断し、その国を原産とする原材料を累積計算に含めてしまうと、最終製品の原産性判断が崩れます。 たとえば、RCEP締約国内の原産材料が全体の60%以上という条件があるところ、実際には未発効国の原材料20%を含めて計算していた場合、真の原産材料比率は40%であり、条件を満たしていなかったことになります。 このような誤りが見つかったときには、過去数年分の輸入申告について原産性の再検証と追加納税が必要になる可能性があります。 つまり累積利用時は締約国リストが必須です。
こうしたリスクを抑えるための現実的な対策としては、以下のような手順が考えられます。
参考)https://www.customs.go.jp/kyotsu/kokusai/seido_tetsuduki/syomeisyo.htm
これに加え、EPA原産地規則講習会や日本関税協会のセミナー資料を定期的にチェックし、「あの国はもう締約国になったのか」「累積対象は拡大したのか」を追い続けることが、長期的なリスク管理には欠かせません。 つまり締約国情報のアップデートが原則です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/2c1f7b42c4086307ee17abec85c7753c1ae3cd98
ここまで見てきたように、「締約国とは何か」を巡る誤解は、関税や源泉税の過不足、原産地否認、取引先とのトラブルなど、実務上かなり重い結果をもたらし得ます。 一度大型案件で問題が発生すると、内部監査や外部調査、過去データの洗い直しに数十時間どころか数百時間かかることもあります。 そこで、通関担当者が日常業務の中で確認しやすいよう、「締約国チェック」の観点を簡単なリストとして整理しておくと便利です。 つまりチェックの枠組みが必要です。[8][9][7][13]
例えば、以下のようなチェック項目が考えられます。
これらを案件ごとに埋めていくことで、「なんとなく締約国だろう」という判断から、「条文とリストに基づく確認」へと実務レベルを一段引き上げることができます。 どういうことでしょうか? それは、担当者ごとの思い込みや経験則ではなく、文書化されたルールで処理する体制を作るということです。 つまり属人化を避ける仕組みです。
通関担当者が追加で押さえておくと役立つ参考情報として、以下のような公的資料があります。
これらの資料は、公的機関のサイトで公開されており、社内ルールやマニュアルを整備する際の根拠としても使えます。 自社の実務に落とし込む際は、単にリンクを貼るだけでなく、「どの条文・どの図が、どの社内手順の根拠か」をマニュアル中に明示しておくと、新任の通関担当者でも短期間で締約国の考え方を身につけやすくなります。 結論は、公的情報と自社ルールを紐付けて運用することです。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/36da7c70642990b233b407f93801f78f36c09e06
条約法に関するウィーン条約と条約上の「締約国」「交渉国」などの基本定義の詳細な解説部分の参考として。
ウィーン条約(抄)条文と用語解説
EPA特恵税率適用に関する通関手続と、原産地証明書・原産品申告書・締約国発給機関一覧の詳細を確認したい場合の参考として。
税関 EPA原産地規則マニュアルおよび関連資料
GATT・WTO体制における関税地域・締約国の定義や、関税に関する一般条項の原文を確認したい場合の参考として。
外務省 関税及び貿易に関する一般協定 第三部

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