電子商取引例を通関業務で理解|Amazon楽天等の輸入申告と越境ECトラブル回避

電子商取引の具体例とは?Amazon、楽天市場などBtoC、BtoBの事例を通関業務の視点から解説。越境ECで多発する申告ミス、HSコード誤りによる追徴課税リスクをどう防げば良いのでしょうか?

電子商取引例と通関業務

越境EC貨物の輸入申告で「インボイス価格」を基準にすると違法申告になる場合があります。

この記事のポイント
🌐
電子商取引の定義と範囲

BtoC・BtoB型のEC取引形態と通関での取り扱いの違いを理解できます

📦
具体的な電子商取引例

Amazon、楽天市場などの実例から輸入通関の実務ポイントを把握できます

⚠️
申告ミスと回避策

HSコード誤り、課税価格の計算ミスによる追徴課税リスクを防げます

電子商取引の定義と通関業務での範囲


電子商取引(EC)とは、インターネットを介して商品やサービスを売買する取引形態です。通関業務の観点では、「国境を越えて行われる電子商取引」が対象となり、輸入申告、関税計算、税関検査の立ち合いなどの手続きが必要です。
参考)Information Discovery in e-Com…


従来の一般貿易とは異なり、電子商取引では購入者が商品代金を支払う前に貨物が日本に到着するケースが多く見られます。これが通関実務上の大きな特徴です。
参考)越境EC貨物の輸入で申告誤りが増加 – 物流の専…

通関業者が行う業務は、輸出入の申告から許可取得まで、関税および消費税の立替納付、税関検査の立ち合い、他機関への申請などが含まれます。電子商取引貨物でもこれらの基本業務は変わりません。​
ただし、電子商取引特有の注意点があります。ECプラットフォームのフルフィルメントセンター経由の輸入では、通常のインボイス価格による課税価格の計算ができません。これが原則です。​

電子商取引例|BtoCとBtoBの違い

BtoC型電子商取引の代表例は、Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの消費者向けプラットフォームです。Amazonの日本での流通額は約3兆4,238億円、楽天市場は約3兆9,000億円に達します。
参考)インボイス制度でネット通販はどうなる?|Amazon・楽天市…


これらのBtoC型では、個人消費者が海外の販売者から直接購入するケースが増加中です。通関では「個人使用目的」として簡易税率が適用される場合もありますが、商業目的と判断されると一般税率が適用されます。
参考)越境ECで重要な通関・関税の考え方と調べ方 - グローバルD…

一方、BtoB型電子商取引は、企業間取引をオンライン化したものです。具体例としては、アスクル(オフィス用品)、アズワン(理化学機器)、フランスベッド(介護用品卸)などがあります。
参考)BtoB EC事例11選!オープン型・クローズド型の成功の秘…

BtoB型では取引量が多く、継続的な商流が前提となるため、通関業務でも「特定輸入者制度」などの簡易手続きを活用するケースが一般的です。つまり効率化が鍵です。​
両者の違いは、取引相手、取引頻度、通関手続きの複雑さにあります。BtoCは単発・少額が多く、BtoBは継続・大量取引が中心という特徴です。
参考)越境ECと一般貿易の違いとは?越境ECコンサルタントが徹底解…

Amazon・楽天市場での電子商取引輸入例

Amazonでは海外の販売者が「FBA(Fulfillment by Amazon)」を利用し、日本のフルフィルメントセンターに商品を事前に輸送します。購入者の注文前に貨物が日本に到着するため、輸入時点では「買い手が存在しない」状態です。​
このような貨物は「輸入取引によらない貨物」に該当し、インボイス価格では課税価格を計算できません。代わりに、「国内販売価格に基づく方法」「製造原価に基づく方法」などを順次適用する必要があります。​
楽天市場でも、越境EC事業者が日本国内の倉庫を経由して商品を販売するケースが増えています。楽天ポイントの利用者が多いため、海外商品でもポイント還元を目的に楽天経由で購入する消費者が存在します。
参考)日本のEC利用動向とAmazon・楽天の概要 - otoma…

通関業者は、こうしたプラットフォーム取引で適正な課税価格を算出するため、販売予定価格から日本到着後の費用を控除した価格を用いる必要があります。違反すれば重加算税が課される可能性もありますので、注意が必須です。​
税関の通関業務範囲に関する公式ページでは、通関業者が行える具体的な手続きを確認できます。

電子商取引での申告ミスとHSコード誤りの影響

電子商取引貨物の輸入申告で最も多いトラブルは、HSコード(関税分類番号)の誤りです。HSコードを誤ると、本来より高い関税率が適用され、想定外の関税負担が発生します。
参考)越境ECの関税トラブルを回避する5つの対策|事前準備で顧客満…


例えば、衣類として申告すべき商品を雑貨として申告した場合、税率が変わり追加課税されるケースがあります。また、FTA(自由貿易協定)の適用が無効化され、優遇税率が使えなくなることもあります。
越境ECでは、Section321(米国向け800ドル免税ルール)やICS2(EU向け事前情報申告制度)の適用ミスにより、貨物が留置される事例も多発しています。EORI番号やHSコードの未記載・誤記載が原因で、空港で数百箱の貨物が足止めされた事例もあります。
参考)越境ECのSection321/ICS2適用ミスでの貨物留置…

申告ミスを防ぐには、HSコードの事前確認、インボイス内容の精査、規制品目のチェックが重要です。どういうことでしょうか?​
サプライヤーとバイヤー間でのデータ突合、特に受取人名や住所の記載ズレを事前に防ぐWチェック運用が有効です。​

電子商取引で通関トラブルを回避する実務対策

通関トラブルを回避するには、まず「課税価格の正確な算出」が不可欠です。ECプラットフォーム経由の輸入では、インボイス価格をそのまま使わず、適正な方法で課税価格を計算しなければなりません。​
次に、「書類の整合性チェック」が必要です。インボイス、船荷証券(B/L)、輸出許可通知書などに不整合があると、税務調査で真正性を疑われます。特に中国向け輸出では、代行業者を利用するケースが多く、書類チェックが疎かになりがちです。
参考)【税務のプロが警告】ECサイトの中国輸出で還付申告が否認され…

さらに、「HSコードの正確な特定」も重要です。類似品のコードを流用せず、商品の特性を正確に分類する必要があります。関税率や規制の適用が変わるため、事前確認が基本です。​
越境EC特有のリスクとして、「予期せぬ高額請求」があります。商品受け取り時に関税や付加価値税(VAT)を請求されるケースが多く、購入者とのトラブルに発展します。​
対策として、商品ページに「関税は購入者負担」と明記し、DDP(関税・税金込み配送)かDAP(受取人払い)を明確に区別して案内することが効果的です。これで大丈夫です。
参考)越境ECの落とし穴:法律・規制を知らずに失敗しないために -…

越境EC貨物の申告誤り増加に関する記事では、実際のトラブル事例と対策が詳しく解説されています。

電子消費者契約法と電子商取引の法的注意点

電子商取引では、操作ミスによる誤発注を救済する「電子消費者契約法」が適用される場合があります。この法律は、事業者が消費者の意思確認措置(確認画面へのクリック要求)を講じていない場合、民法95条ただし書の「重過失による錯誤無効の制限」を適用しないと定めています。
参考)電子消費者契約法の操作ミスの救済とは?取引事例をもとにわかり…


具体的には、消費者が操作ミスで商品を購入してしまった場合でも、事業者側が確認画面を設けていなければ、契約を取り消せる可能性があります。ECサイトを運用する事業者は、この点を考慮したシステム設計が必要です。​
通関業務との関連では、誤発注による輸入申告の取り消しが問題となるケースもあります。特に高額商品では、消費者が契約を取り消した後、既に輸入手続きが進行している状況が発生します。
また、越境ECでは現地の規制や法律を把握していないことが落とし穴となります。例えば、サプリメントの成分が現地で未認可だったり、リチウム電池入りの電子機器が航空輸送に制限されたりするケースがあります。​
事業者は、主要輸出先国(EU、英国、米国、オーストラリアなど)のVATや関税の基本を押さえ、商品ごとの規制を事前に確認する体制を整える必要があります。それが条件です。​

通関業務従事者が知るべき電子商取引の独自視点

通関業務従事者にとって、電子商取引は「デジタル化による効率化」と「新たなリスク」の両面を持ちます。AI-OCRを活用した帳票のデータ化により、多種多様な帳票を自動処理し、関税計算や申告書作成まで一貫したシステムが可能になりました。
参考)通関業務とは-通関業者や関連事業者・通関業務について解説 -…

しかし、電子通関では外為法の申告漏れや、蔵入れ・蔵出しの注意点など、独自の落とし穴も存在します。NACCS(通関情報処理システム)を正しく理解し、電子申告の精度を高めることが求められます。​
越境ECでは、取引の実在性を証明する配送記録や決済記録の不備が、税務調査で問題となるケースが増えています。特に中国向け輸出で消費税の還付申告が否認されるトラブルが急増中です。​
大手ECプラットフォームのアリババやタオバオを通じた取引でも、適切な証憑がなければ還付が認められません。SheinやTemuなどの新興プラットフォームでは、税務上の取扱いが不明確な部分もあります。​
通関業務従事者は、こうした新しいプラットフォームの特性を理解し、適切な申告手続きを提案する能力が必要です。厳しいところですね。
継続的な情報収集と、最新の法規制への対応が、電子商取引時代の通関業務で生き残る鍵となります。これは使えそうです。




新訂版 電子商取引【商業359】