委託加工貿易 輸出承認 手続き 申請 対象品目 必要書類

委託加工貿易で皮革製品を海外加工する際、輸出承認が必要なケースと不要なケース、包括承認と個別承認の違い、申請に必要な書類や注意点を通関業務の実務に即して解説します。100万円以下でも承認が必要になるケースをご存知ですか?

委託加工貿易 輸出承認

100万円以下の契約でも輸出承認が必要になることがあります。


この記事の3つのポイント
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輸出承認が必要な条件

皮革製品を海外で委託加工して日本に輸入する場合、経済産業大臣の承認が必要。契約総額100万円以下は原則不要だが、ワシントン条約対象貨物は例外

包括承認と個別承認

包括承認は一度の申請で原則3年間有効。個別承認は契約ごとに申請が必要で、申請書類や手続きが異なる

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主体を構成する判断基準

輸出原材料が輸入貨物代金の50%未満でも、皮革が製品の主体を構成すると判断されれば承認申請が必要になる

委託加工貿易の輸出承認が必要な対象品目と要件


委託加工貿易で輸出承認が必要となるのは、革・毛皮・皮革製品およびこれらの半製品を海外で加工し、完成品を日本に輸入する取引です。対象となるのは、天然皮革を用いた製品の製造を海外に委託し、原材料として皮革(原毛皮および毛皮を含む)や皮革製品の半製品を輸出する場合です。


参考)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_export/16_itaku/index.html

具体的には、靴・かばん・財布・革製衣類・毛皮製品などが該当します。注意すべきは、実行関税率表の第8部「皮革及び毛皮並びにこれらの製品等」とは必ずしも一致しない点です。第8部以外の製品であっても、天然皮革が使用されていれば規制対象となります。


参考)委託加工貿易について


例えば革張りのソファーや野球ボールなども対象です。天然皮革がごく一部のみ使用されている場合でも、製品の主体を構成するものは皮革製品として扱われます。


つまり皮革が主体かどうかが判断基準です。


委託加工貿易の輸出承認申請が不要となる2つの例外

輸出承認が不要となるケースは2つあります。1つ目は、関税暫定措置法第8条第1項に基づく税関長の確認を受ける場合です。

2つ目は、契約の総価額が100万円以下の場合です。この100万円は輸出申告1件あたりの価額ではなく、契約全体の総価額を指します。価額が100万円を超過しない原材料を何回かに分けて輸出するケースであっても、総価額が100万円を超過すると見込まれるときには輸出承認が必要です。

無償の場合でも評価額が100万円を超える場合は承認が必要となります。さらに重要なのは、契約の総価額が100万円以下であってもワシントン条約対象貨物の輸出については別途輸出承認が必要という点です。


ワシントン条約対象貨物は例外扱いです。


委託加工貿易の契約成立と主体構成の判断基準

委託加工契約の成立は、輸出する原材料の数量・金額、輸入する数量・金額、加工賃等の取引内容が確定し、委託者と受託者双方の意思が確認された時点と見なされます。契約書の形式ではなく実質的な合意が基準です。

承認申請の要否を判断する際、日本から輸出される指定原材料(皮革)の総価額が輸入貨物代金の50%未満であっても、輸出貨物が輸入する貨物の主体を構成すると認められる場合は承認申請が必要となります。主体を構成するとした例には、野球のボール・車のハンドル・サッカーシューズがあります。

一方、主体を構成しないと判断された例には、ズボンの装飾品(ポケットやアクセサリー)・ジャケットの肘当て・ジャケットの襟・バッグの取っ手・財布やカードケース(主に布製で縁に皮革を使用)・手袋の一部があります。金額比率だけでなく製品における皮革の役割が重視されるということですね。

同一契約の中に承認申請が不要な暫8(税関長の確認を受けているもの)と暫8以外のものがある場合は、暫8適用部分を除いた皮革総額と輸入総額で承認申請の要否を判断します。

委託加工貿易の包括承認と個別承認の違いと選び方

輸出承認には包括承認と個別承認の2種類があります。包括承認は契約ごとの個別の承認申請を必要とせず、一度の申請において原則3年間有効の包括的な承認を得ることができる制度です。

包括承認を取得すると、契約ごとに個別の承認申請が不要となり、申請手続きの負担が軽減されるメリットがあります。頻繁に委託加工貿易を行う事業者には有利です。


ただし一定の申請要件が必要となります。



個別承認は契約ごとの個別の承認申請です。必要書類は委託加工貿易契約による輸出承認申請書・申請理由書・委託加工貿易に係る契約書の写し1通となります。取引頻度が少ない場合は個別承認が適しています。

包括承認を検討する場合は、委託加工貿易契約包括承認取扱要領(輸出注意事項26第17号)を確認する必要があります。


申請先は各経済産業局です。



経済産業省の委託加工貿易(革、毛皮、皮革製品等)公式ページ

委託加工貿易の輸出承認申請に必要な書類と提出先

ワシントン条約対象貨物以外の革・毛皮・皮革製品の委託加工の場合、個別承認に必要な書類は以下の通りです。

📄 必要書類リスト

  • 委託加工貿易契約による輸出承認申請書(原本2通)
  • 申請理由書(原本1通)
  • 委託加工貿易に係る契約書(写し1通)

ワシントン条約対象貨物の革・毛皮・皮革製品の委託加工の場合は、上記に加えて以下の書類が必要です。

🦎 ワシントン条約対象貨物の追加書類

申請先は、ワシントン条約対象貨物の場合は経済産業省本省の貿易審査課野生動植物貿易審査室(ワシントン室)となります。ワシントン条約対象貨物以外の場合は各経済産業局に申請します。

申請は郵送で受け付けており、返信用封筒(簡易書留または配達記録の切手を貼付、またはレターパックプラス)を同封する必要があります。電話受付時間は平日(行政機関の休日を除く)の9時30分~17時(12時~13時を除く)です。


宅配便による返送はできません。


委託加工貿易の無承認輸出リスクと承認証の管理義務

無承認のまま輸出した事実が発覚した場合、輸出貿易管理令第7条等に基づき法令の規定に従っているか否かが審査されます。審査の結果によっては行政制裁等もあり得ます。

承認証の使用済みとなったとき、またはこの承認証に基づく貨物の輸出及び輸入を行わなかったときは、経済産業大臣に提出しなければなりません。


これは承認の条件として付されています。



北朝鮮を原産地または船積地域とする全貨物の輸入が輸入貿易管理令第4条第1項第2号の規定による承認を受ける義務が課されている期間中においては、加工品の輸入が北朝鮮を原産地または船積地域とするものでないことが条件となっています。


地政学的リスクへの対応が必要です。



ワシントン条約対象貨物の場合、輸出する際には「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約に基づく日本国許可・証明書」の原本を税関に提示し、当該書類の15欄に数量確認を受けることが条件です。加工品を輸入する場合は、輸出国または地域の管理当局等が同条約に基づき発給する再輸出証明書の原本を税関に提出する必要があります。

通関業務従事者として、承認証の適切な管理と提出義務の履行は業務上の重要な責任です。




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