移入承認IMとは何か保税工場での実務と手続き

移入承認(IM)は保税工場で外国貨物を扱う際に欠かせない手続きです。3ヶ月ルールや蔵置期間の計算など、実務でつまずきやすいポイントを徹底解説。あなたの現場で正しく運用できていますか?

移入承認IMの基礎から実務手続きまで完全解説

保税作業を始める前に移入承認を取らなくていいと思っていたら、それは関税法違反になります。


この記事でわかること
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移入承認(IM)とは何か

保税工場に外国貨物を3ヶ月超蔵置する場合、または保税作業を開始する前に税関長から受ける承認。Import for manufacturingの略。

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蔵置期間は承認日から2年

移入承認を受けた日から2年間、外国貨物を保税工場に置くことができる。保税蔵置場の蔵入承認(IS)とは期間の計算方法が異なる。

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保税作業終了後も再度承認が必要

保税作業が終了した段階でも、製品を保税工場に置き続けるためには再度の移入承認が必要。見落としがちな実務上の注意点。


移入承認(IM)とは何か:保税工場の基本ルール

移入承認(IM)とは、Import for manufacturing の略称であり、保税工場に搬入された外国貨物を一定条件下で置くことを税関長が承認する手続きのことです。関税法第57条に根拠規定があります。


保税工場は、外国から到着した貨物(外国貨物)について関税等を課さない状態のまま加工・製造ができる場所として、税関長が許可した保税地域の一種です。造船所、製鉄所、製油所などが代表的な例に挙げられます。そのような保税工場に外国貨物を搬入した際、すべての局面で移入承認が必要になるわけではありません。


搬入から3ヶ月以内であれば、関税法第56条第2項の「みなし蔵置場」規定により、保税蔵置場の許可を併せて受けているとみなされます。つまり3ヶ月は承認なしで蔵置が可能です。


ただし、以下の2つのいずれかに該当する場合は、事前に移入承認を取得しなければなりません。


  • 外国貨物を保税工場に搬入した日から3ヶ月を超えて置こうとする場合
  • 3ヶ月以内であっても、外国貨物に対して保税作業(加工・製造・改装など)を開始しようとする場合


つまり3ヶ月が条件です。保税作業を始める前にIM承認を取ることが原則です。


移入承認を受けた外国貨物は、承認を受けた日から2年間、保税工場に置くことができます(関税法第57条)。また、特別な事由があれば再度申請により税関長の指定した期間での延長も認められています(関税法施行令第53条の2)。


実務上は「IM承認」「IM」と呼ばれることも多く、通関業従事者なら日常的に耳にする用語です。


参考:税関 保税関係用語集(IM承認の定義と条文根拠)
https://www.customs.go.jp/hozei/contents/shiryo/yogosyu.html


移入承認(IM)と蔵入承認(IS)の違い:蔵置期間の計算に要注意

移入承認(IM)と蔵入承認(IS)は、どちらも外国貨物の長期蔵置に関わる承認手続きですが、適用される保税地域と蔵置期間の計算方法が大きく異なります。混同したまま実務に臨むと、期間超過リスクが生じます。


まず適用される保税地域の違いから整理します。蔵入承認(IS=Import for Storage)は保税蔵置場に適用され、移入承認(IM)は保税工場(および総合保税地域)に適用されます。


次に蔵置期間の計算方法の違いが重要なポイントです。保税蔵置場での蔵入承認(IS)の場合、蔵置期間は「最初に保税蔵置場に置くことが承認された日から通算して2年」です。途中で別の保税蔵置場に移送しても、最初の承認日から通算して2年で期間が打ち切られます。


一方、保税工場での移入承認(IM)の場合、蔵置期間は「各保税工場でIM承認を受けた日から2年」です。A保税工場での移入承認からB保税工場に貨物を移送し、B保税工場で新たに移入承認を受けた場合、そのB工場でのIM承認日から新たに2年が起算されます。通算ではありません。


| 項目 | 蔵入承認(IS) | 移入承認(IM) |
|------|--------------|--------------|
| 対象保税地域 | 保税蔵置場 | 保税工場・総合保税地域 |
| 英語略称 | Import for Storage | Import for manufacturing |
| 申請タイミング | 搬入から3ヶ月超前 | 保税作業開始前または搬入3ヶ月超前 |
| 蔵置期間 | 最初の承認日から通算2年 | 各工場のIM承認日から2年 |
| 延長可否 | 可(再申請により延長) | 可(再申請により延長) |


ただし例外があります。同一法人が許可を受けた複数の保税工場間で一貫した保税作業(連続作業)を行う場合は、第1次作業を行った保税工場への移入承認日から通算して2年になります(関税法基本通達57-1)。この場合は後の工場で新たな移入承認を受けているわけではないためです。


複数工場にまたがる保税作業を扱う場面では、IM承認の有無と起算日の確認が基本です。


参考:ジェトロ 貿易・投資相談Q&A「保税工場に貨物を蔵置する際の期間と移入承認」
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011061.html


移入承認(IM)の申請手続き:NACCSを使った実務フロー

移入承認の申請は、輸出入・港湾関連情報処理システムNACCS)を使ってオンラインで完結させることができます。NACCSコードは「IM」です。紙の申請書で行う場面は現在ではほとんどなく、NACCS操作が実務の基本と言えます。


申請に必要な主な入力事項は以下のとおりです。


  • 申告等区分:M(移入承認申請)
  • 蔵入等先保税地域コード(移入先の保税工場コード)
  • 外国貨物に関する情報(品名・数量・価格・記号番号など)
  • 最初蔵入等承認年月日(蔵入承認済貨物を移入する場合)


2022年の第7次NACCS詳細仕様の改正(2024年施行)により、蔵入承認(IS)済みの貨物情報に対してNACCSシステム上で直接IM申請を行えるようになりました。以前は別途対応が必要だったため、実務負担が軽減されています。これは使えそうです。


申請後に交付される移入承認書(IM承認書)は、保税台帳への記帳を省略できる根拠書類として機能します。関税法施行令第50条の規定により、搬入時の「IMの年月日と承認番号」および使用時の記帳は、IM承認書を保管・追記することで省略が認められています。


承認書は必ず一件書類として整理・保管しておきましょう。作業終了時(③)および搬出時(⑦)の記帳は省略できない点がポイントです。


なお、保税作業の開始に際しては「保税作業開始届」が必要ですが、関税法基本通達58-1の規定により、取締り上特に必要と認める場合を除いて、書面による届出は不要とされています。実質的に開始届は不要という運用です。


参考:NACCS「蔵入承認(IS)された貨物情報での移入承認(IM)申請の可能化」(第7次NACCS仕様)
https://www.naccs.jp/archives/7g_naccs/wg/20220310/10godowg_shiryo02.pdf


保税作業終了後の移入承認:見落としがちな再承認の必要性

IM承認を受けて保税作業を完了した後の製品は、そのまま保税工場に置いておけると思っている方が一定数います。しかし正確には異なります。保税作業終了後も引き続き保税工場に製品を置くためには、製品について改めて移入承認を受ける必要があります。


関税法第57条の条文は「保税作業において使用する外国貨物(当該貨物を使用した保税作業による製品を含む)を置くことができる期間」と規定しています。「製品を含む」という文言がある通り、製品も移入承認の対象に含まれます。


保税作業終了届(様式C-3260)を提出した時点で、製品についての蔵置管理もIM承認に紐づいていることを改めて確認してください。製品が承認期間(2年)内に積戻しまたは輸入手続きを完了できるかどうかも、この時点で確認しておく必要があります。


また保税作業の終了届においても、移入承認番号の記載が求められています。承認番号を正確に記録・管理しておかないと、終了届の記載が困難になります。承認書の一件書類保管が重要です。


蔵置期間が残り少なくなってきた場合、延長申請は期間満了前に行う必要があります。延長には特別な事由(作業の長期化、商談の遅延など)が求められますが、関税法施行令第53条の2第1項に基づき、税関長が指定した期間での延長が認められます。期限の管理は日常の業務管理に組み込んでおくことが現実的な対策です。


参考:財務省「外国貨物の蔵入れ、移入れ、展示等及び総保入れの承認」(NACCSによる手続きオンライン化の概要)
https://www.mof.go.jp/about_mof/other/regulation_reform/gaiyou_20211018b.pdf


移入承認(IM)に関する記帳義務と保税台帳管理:実務上の独自視点

保税工場での記帳義務は関税法第61条の3に規定されており、被許可者(保税工場の許可を受けた者)が外国貨物について帳簿を設け、所定の事項を記載しなければならないと定められています。実務上この帳簿は「保税台帳」と呼ばれています。


記帳が必要な項目(関税法施行令第50条)は次のとおりです。


  • ①搬入時:貨物の記号・番号・品名・数量・価格・搬入年月日・IMの年月日と承認番号
  • ②使用時:貨物の記号・番号・品名・数量・使用年月日
  • ③作業終了時:製品の記号・番号・品名・数量・終了年月日(省略不可)
  • ④保工外作業許可を受けた場合の搬出時:出した場所・品名・数量など
  • ⑦搬出時:品名・数量・価格・搬出年月日・目的・許可承認番号(省略不可)


①と②はIM承認書を保管・追記することで記帳を省略できますが、③(作業終了時)と⑦(搬出時)は省略できません。この2つは絶対に記帳してください。


記帳義務に関する保税業務検査では、未記帳や記載漏れが非違として指摘されるケースがあります。税関は保税業務検査において関税法等の許可条件の遵守状況を確認しており、非違の程度に応じて搬入停止処分や許可取消しなどの行政処分に発展することもあります。


また、記帳された帳簿はNACCSから配信される管理資料を保存する形でも代替が認められています。NACCSで管理している場合は、管理資料のダウンロード保存を定期的に行う習慣をつけることで帳簿保存義務を満たせます。保存期間は原則2年間です。


通関業従事者として保税工場の業務に関わる際は、荷主(被許可者)の記帳体制が整っているかの確認も、法令遵守の観点から重要なチェックポイントになります。記帳が整っているかどうかが、後から問題が起きたときの対応速度を大きく変えます。


参考:門司税関「令和6年度オンライン保税研修(保税工場編)」記帳義務・IM承認書の保管省略規定
https://www.kanzei.or.jp/wp-content/uploads/2025/10/241217_HOZEI_HOZEIKOJO-RP.pdf