輸出者コードを検索しようとした結果、コードを持っていないと通関手続きで毎回データを手入力しなければならず、申告のたびにミスリスクと時間コストが重なります。
輸出者コードとは、日本において貨物を輸出入する際に通関システム「NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)」で輸出者・輸入者を識別するための番号の総称です。一口に「輸出者コード」と言っても、実務では主に3種類のコードが存在します。それぞれ発行機関・桁数・費用・対象が異なります。
まず「法人番号」は、国税庁が発行する13桁のコードで、法人や団体に一意に割り振られます。税関申告では、この法人番号13桁に本支店コード4桁を加えた計17桁を輸出入者コードとして使用します。2017年10月の第6次NACCS更改以降、法人はこの法人番号を輸出入者コードとして使うことが原則となりました。
次に「税関輸出入者コード(税関発給コード)」は、税関が直接発給するコードです。発給対象は現在、個人・個人事業主、または法人番号を持たない海外企業等に限定されています。法人番号を持つ法人に対する新規発給は2017年10月以降終了しています。発給は無料で、期限もありません。ただし、一定期間使用実績がなければ削除対象となる場合があります。
つまり、法人か個人かで使うコードが変わります。
最後に「JASTPROコード(日本輸出入者標準コード)」は、一般財団法人日本貿易関係手続簡易化協会(JASTPRO)が発行する12桁のコードです。法人・個人いずれも取得可能で、インボイスや船荷証券など貿易書類への記載にも対応しています。ただし、新規登録費用は7,700円(税込)、3年ごとの更新料は4,400円(税込)の有料制です。
| 種別 | 発行機関 | 対象 | 桁数 | 費用 | 有効期限 |
|---|---|---|---|---|---|
| 法人番号 | 国税庁 | 法人・団体 | 13桁(申告時17桁) | 無料 | なし |
| 税関発給コード | 税関 | 個人・個人事業主等 | 12桁または17桁 | 無料 | なし(未使用削除あり) |
| JASTPROコード | JASTPRO | 法人・個人両方 | 12桁 | 新規7,700円・更新4,400円 | 3年 |
これが基本の整理です。
参考:税関が公式に定義する各コードの用語・番号体系の詳細はこちら。
税関 Japan Customs|各用語の解説(輸出入者コード・法人番号・JASTPROコード)
コードの検索・照会方法は、法人か個人かによって明確に分かれます。ここを間違えると「検索できない」「エラーになる」という状況が起きます。
📌 法人の場合:国税庁法人番号公表サイトを使う
法人が輸出入申告に使う輸出入者コードは「法人番号」です。自社の法人番号は国税庁の「法人番号公表サイト」で無料検索できます。名称・所在地・法人番号のいずれかで検索可能で、アカウント登録なしで誰でも利用できます。取引先の法人番号を調べる際にも同様に活用できます。
検索手順は次の通りです。
法人番号の検索は完全無料です。
📌 個人・個人事業主の場合:IIE業務では照会不可
重要な注意点があります。NACCSの「輸出入者情報照会(IIE)業務」では、個人および個人事業主の税関発給コードは照会できません。これは税関が公式にアナウンスしている仕様です。通関業者へ代理申告を委託している場合は、発給時に受け取った「発給通知書」を直接通関業者に提示する必要があります。
個人の税関発給コードを確認するには、次の方法を使います。
これは盲点になりやすい点ですね。
📌 JASTPROコードを照会する場合:NACCSのIIE業務を使う
JASTPROコードおよび法人の税関発給コード(旧コード保持者)については、NACCSの「輸出入者情報照会(IIE)」業務を通じて照会できます。また、2025年10月12日の第7次NACCS更改以降は、NACCS掲示板上のコード一覧提供が終了しています。
参考:個人の方の税関輸出入者コードの照会ができない件について、税関の公式ページで確認できます。
税関 Japan Customs|個人(個人事業主含む)の方の税関輸出入者コードの照会について
2025年10月12日(日曜日)、通関システムが第6次NACCSから第7次NACCSへと更改されました。この更改は輸出者コードの「検索」という観点で、実務上の大きな変更点をもたらしています。
最も大きな変化は「輸出入者コード一覧のNACCS掲示板掲載終了」です。これまでNACCS掲示板(bbs.naccscenter.com)ではJASTPROコード一覧や税関発給コード一覧がPDFファイルとして掲載されており、コードを一括で確認できました。しかし第7次更改をもって、この一覧ファイルの提供は完全に終了しました。
変更後の照会先は以下の3ルートに整理されています。
なぜこの変更が行われたのかというと、法人については2017年以降に法人番号への移行が完了しており、独自の「輸出入者コード一覧」を別途管理・提供する必要がなくなったためです。つまりコード一覧から卒業したということです。
この変更を知らないまま「NACCS掲示板でコードを探そう」と試みると、目的の情報にたどり着けません。特に古い手順を参照しているマニュアルや社内規定を使っている場合は要注意です。実務担当者が複数いる組織では、情報のアップデートを部内で共有しておくことが手続きロスを防ぐ第一歩となります。
参考:第7次NACCS更改に伴う輸出入者コード一覧の掲載終了の告知はこちらで確認できます。
NACCS掲示板|輸出入者コード一覧のNACCS掲示板掲載終了について
コードをただ「調べる」だけでなく、正しく「取得・登録・継続使用する」ことには、実務で非常に大きな意味があります。
まず最もわかりやすいメリットは「通関手続きの自動補完」です。NACCSで輸出入申告を行う際、輸出入者コードを入力するだけで、事業者名・住所・電話番号が自動的に補完されます。毎回手入力する必要がなくなり、入力ミスや誤字・スペルミスによる申告エラーのリスクが大幅に減ります。複数回申告を行う事業者にとっては、1回の手続きあたり数分の削減が積み重なり、年間ベースで相当な時間短縮になります。
次に注目すべきは「税関検査リスクの低減」です。税関は貨物のリスク評価を行う際、輸出入者の過去の取引履歴を参照します。コードを使い続けることで税関のデータベースに良好な取引履歴が蓄積されます。継続的に申告実績がある事業者は「リスクの低い輸出入者」として認識されやすくなり、貨物検査の対象になりにくい傾向があります。逆に、輸出入実績の少ない新規事業者や、コードを使っていない事業者は検査対象になりやすいとされています。コードの維持は信用の蓄積です。
さらに、コードを保有することで利用できる制度・機能があります。
| 制度・機能 | 内容 |
|---|---|
| リアルタイム口座(口座振替納税) | 関税等を銀行口座から自動引き落としで納付できる |
| 包括保険 | 海上保険料請求書(デビットノート)を省略して通関できる |
| 輸入関税の納付期限延長 | 輸入時から最大3か月まで延長可能(担保提供が条件) |
| 包括審査・簡易申告制度 | 輸入申告の簡易化が可能 |
| 特定輸出申告制度 | 輸出申告の迅速化制度を利用できる |
これらの制度を活用できるかどうかで、貿易取引のコスト構造と資金繰りに差が出ます。口座振替だけでも、都度の銀行振込手数料・事務工数の削減になります。こうしたメリットは法人・個人問わず享受できますが、コードが削除されると一部の制度が利用できなくなるリスクがあります。コードの状態を定期的に確認しておくことが原則です。
参考:輸出入者符号の取得メリットについてジェトロが解説しています。
JETRO|輸出入者符号取得のメリット:日本(貿易・投資相談Q&A)
税関発給コードとJASTPROコードのどちらを選ぶべきか、という疑問は実務でよく出てきます。公式の回答は「どちらを使ってもNACCSでの機能は同等」ですが、実際には選択に影響する実務上の差があります。
コストの観点から見ると差は明確です。 税関発給コードは完全無料(取得・維持ともに無料)です。一方、JASTPROコードは新規登録7,700円・3年ごとの更新料4,400円がかかります。3年ごとに更新し忘れるとコードが抹消されます。「更新案内のメールに気づかなかった」「担当者が変わっていた」というケースで抹消に至る事例も珍しくありません。抹消後に同一コードで再登録するには9,900円の「再登録費用」がかかります。有料制には管理コストが伴います。
対象者の観点では明確な棲み分けがあります。 現在、税関発給コードは法人番号を持たない個人・個人事業主、海外企業等が主な対象です。法人が新規に税関発給コードを取得することはできません(2017年以前に取得した法人は引き続き使用可)。一方JASTPROコードは法人・個人・個人事業主のすべてが取得できます。
書類・貿易取引への対応という観点では、JASTPROが有利な場面もあります。 JASTPROコードは1974年設立の協会が発行しており、インボイスや船荷証券(B/L)、信用状(L/C)などの国際貿易書類に記載される識別番号として業界内での認知度があります。海外取引先から「企業コードの提示を求められた」場合、JASTPROコードが企業コードに該当するケースもあります。税関発給コードはあくまで日本の通関システム内での使用を前提としており、国際取引書類への記載という用途は想定外です。
実務上の選び方の目安をまとめると次の通りです。
なお、税関発給コード(古い12桁)を持っている法人が社名・住所変更をした場合、変更申請の受付が2017年以降終了しているため、古いコードを削除して法人番号へ移行する必要があります。古い情報のまま放置すると、通関申告時に誤った名称・住所が自動補完されてしまうリスクが生じます。定期的な棚卸しが必要ですね。
参考:税関が公式に提供するFAQ(Q&A一覧)では、法人の削除・移行手続きについて詳細な案内があります。
税関 Japan Customs|税関発給コードQ&A一覧(PDF)