予備申告は輸入申告ではありません。
予備審査制は、貨物が日本に到着する前や輸入承認等の輸入関連手続の終了前であっても、輸入申告書類を税関に提出して審査を受けられる制度です。この制度は関税法の規定ではなく、通達によって定められた便宜的な仕組みになります。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1108_jr.htm
予備申告は正式な輸入申告ではありません。輸入は保税地域への搬入後に申告することが原則ですので、予備審査制はあくまで例外的な取扱いです。
参考)輸入の予備申告と通関士試験
通関士試験では「予備申告」や「予備審査制」という言葉が過去ほとんど出題されていないことからも、この制度が法令に基づくものではないことが分かります。制度の性質をしっかり理解しておかないと、申告の法的な位置づけを誤解する恐れがあります。
対象貨物は全ての輸入貨物です。生鮮貨物など引取りを急ぐ貨物、取引先への納期等が厳格な貨物、クリスマス・正月商品等商機が限られている貨物、他法令手続が必要な貨物などでの利用が想定されています。
提出書類は予備申告書(輸入(納税)申告書を使用)、インボイス、その他課税標準の決定のために必要な書類です。予備申告には時期的な要件があり、輸入申告予定日における為替レートが公示された日か、船荷証券(航空貨物の場合はAir Waybill)が発行された日のいずれか遅い日以降でなければできません。
つまり完全に自由なタイミングで予備申告できるわけではなく、一定の条件を満たす必要があるということですね。
予備審査制には大きく3つのメリットがあります。第一に、書類審査が貨物の到着前に行われることです。第二に、他法令手続が必要な貨物については、税関手続と他法令手続との同時並行処理が行われます。第三に、貨物の種類等を勘案し、税関の審査・検査についての事前通知(検査扱い、書類審査扱い又は簡易審査扱い)を受けられるため、貨物の引取りのための事前準備が行えます。
参考)予備審査制について
平成7年3月の規制緩和推進計画に基づき平成8年4月に予備審査制の利用を前提とした迅速通関の仕組みが整備されました。生鮮品など迅速な引き取りが必要な航空便による輸入貨物の場合、この制度の活用が特に効果的です。
検査が行われない貨物については「到着即時輸入許可制度」も併用できます。予備審査の結果、問題がなく検査が不要とされた貨物は、保税地域に搬入することなく、輸入申告(本申告)を行えばただちに輸入許可されます。
税関手続と他法令手続が並行処理できる点は、複数の許可が必要な貨物にとって時間短縮の大きな武器になります。
予備審査制の重要な注意点は、事前通知の内容が後から変更される可能性があることです。検査扱い又は簡易審査扱いの事前通知を行った後であっても、輸入申告(本申告)が行われた際に検査を実施する必要があると認められる場合には、事前通知の内容を変更する場合があります。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/pdf/FAX1108.pdf
この変更は、予備申告の段階で検査不要とされた貨物が、搬入後の状況によって要検査になる場合に発生します。つまり「検査省略」の事前通知を受けても確定ではないということです。
予備審査制はあくまで便宜的に書類を審査しているものなので、本申告の段階で状況が変われば判断も変わります。事前準備の段階で検査不要と考えていても、実際には検査が入る可能性を想定しておく必要があります。
予備申告変更の登録は審査を行った通関士が行いますが、認定通関業者である必要があります。変更事項は「輸入申告」業務を実施するまでの間に登録できます。
参考)https://bbs.naccscenter.com/data/customs/jimu/pdf/tetsu/air/tsukan/tat_010_020_000.pdf
事前通知の変更リスクを理解しておかないと、引取り計画が狂う恐れがあります。
予備審査制度は当初、急送品の多い航空貨物のみ対象でしたが、2004年からは海上貨物にも導入されました。輸出の場合は申告前、輸入の場合は貨物の到着前に、予備申告を行うことによって税関検査の要否について事前に通知を受けることができます。
参考)予備審査制 
認知度については、平成19年の輸出入通関手続に関する利用者アンケート調査で、予備審査制度は全ての回答者が認知していると回答しており、極めて高い認知度を示しています。一方で、到着即時輸入許可制度の利用度は16.0%と50%を下回っていました。
参考)https://www.customs.go.jp/seisakuhyouka/H19chousa/H19chousa03.pdf
これは認知度は高いものの、実際の活用場面が限定的であることを示しています。執務時間外における通関体制の利用度が92.4%と最も高かったのに対し、到着即時輸入許可制度は活用されていないことが分かります。
予備審査制を最大限活用するには、到着即時輸入許可制度との組み合わせを検討することが効果的です。検査が不要な貨物であれば、到着確認後すぐに許可を受けられるため、さらなる時間短縮が可能になります。
保税運送申告や輸入許可後搬出といった関連業務との連携も、全体のリードタイム短縮に貢献します。NACCS業務資料を参照しながら、AWB番号等単位で搬出状況の照会をすることで、貨物の動きをリアルタイムに把握できます。
JETROの「保税地域に搬入が難しい貨物の通関手続き」ページ
制度の特性を理解した上で、自社の貨物特性に合わせた活用戦略を立てることが重要です。生鮮品や納期が厳しい貨物を扱う場合は、予備審査制の利用を前提とした業務フローを構築すると効率的になります。