クラスIの医療機器でも、輸入するだけで第三種製造販売業許可が必要になります。
医療機器のクラス分類表をExcel形式で入手できる場所は、主に2つあります。一つ目は独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)が運営する「医療機器基準データベースシステム」、二つ目は香川県など一部の都道府県が公式サイトで公開しているExcelファイルです。
PMDAのデータは「医療機器の一般的名称等一覧」という名称で公開されており、令和8年1月時点の最新版が入手できます。Excelには、一般的名称コード(JMDNコード)、一般的名称、クラス分類(I〜IV)、特定保守管理医療機器の該当有無、設置管理医療機器の該当有無、修理区分などの列が含まれています。
つまり、1つのExcelファイルに規制上の主要情報が集約されているということですね。
香川県が公開しているExcelファイル(令和8年1月8日現在版、約1,157KB)は国のデータをもとに整理されており、行政窓口に提出する際の確認資料としても活用されています。
| 入手先 | 形式 | 更新頻度 | URL・場所 |
|---|---|---|---|
| PMDA(医療機器基準DB) | Excel / PDF | 随時(月次程度) | std.pmda.go.jp |
| 香川県(薬務課) | Excel / PDF | 随時(告示改正時) | pref.kagawa.lg.jp |
医療機器は4,000種類以上にのぼるため、目視での検索は非現実的です。ExcelのCTRL+Fによるキーワード検索や、フィルター機能を使って「クラスIV」だけを絞り込むといった使い方が実務では頻繁に行われています。
関税に関わる仕事をしている場合、輸入しようとしている機器の一般的名称をExcelで検索し、クラス分類を確認する作業が起点になります。クラスが判明すれば、どの製造販売業許可が必要かが決まり、輸入コストと手続き期間の見通しが立てられます。
PMDAのデータは随時更新されるため、告示改正後に新たな一般的名称が追加されることがあります。「以前確認したときはクラスIIだったのに、改正でクラスIIIになっていた」というケースも珍しくありません。定期的な再確認が基本です。
以下は公的ダウンロードページへの参考リンクです。Excel・PDF両形式でダウンロードでき、一般的名称とクラス分類の全データが収録されています。
PMDAの公式データベースページ(クラス分類・一般的名称をExcelでダウンロード可能)。
https://www.std.pmda.go.jp/scripts/stdDB/conf/stdDB_confjmdn.cgi
香川県薬務課によるクラス分類表ダウンロードページ(令和8年1月8日現在版)。
https://www.pref.kagawa.lg.jp/yakumu/yakumu/seizou/snzqvv160217192401.html
日本では薬機法(医薬品医療機器等法)に基づき、医療機器は人体へのリスクに応じてクラスI〜IVの4段階に分類されています。クラスの数値が大きいほど規制は厳しくなります。
| クラス | 分類名 | リスクの特徴 | 具体例 |
|---|---|---|---|
| クラスI | 一般医療機器 | 不具合が生じても人体への影響がほとんどない | ピンセット・メス・聴診器・X線フィルム |
| クラスII | 管理医療機器 | 人体への影響が比較的低い | 電子血圧計・MRI装置・補聴器・心電計 |
| クラスIII | 高度管理医療機器 | 人体への影響が比較的高い | コンタクトレンズ・人工呼吸器・透析器 |
| クラスIV | 高度管理医療機器 | 不具合が生命の危険に直結する | ペースメーカー・冠動脈ステント・人工心臓弁 |
クラスIとIVでは規制の重さが段違いです。
クラスIはPMDAへの届出のみで製造販売が可能です。一方、クラスIVはPMDAの審査を経た「厚生労働大臣の承認」が必須であり、申請から承認まで最短でも約1年以上かかるのが実情です。
注意が必要なのが「コンタクトレンズ」の分類です。市販のカラーコンタクトを含む視力矯正用コンタクトレンズはクラスIIIに分類されています。多くの方が「雑貨に近いもの」と感じているかもしれませんが、高度管理医療機器として第一種製造販売業許可が必要です。これは意外ですね。
また、「管理医療機器であっても、特定保守管理医療機器に指定されていれば販売に許可が必要」という点も見落とされがちです。例えば、クラスIIのX線撮影装置は特定保守管理医療機器に該当するため、販売業許可が必要になります。クラス分類だけを見て「届出不要」と判断するのは危険で、特定保守フラグも必ずExcel上で確認することが重要です。
さらに、回収情報でのクラス分類は数字の概念が逆転しています。製品分類では「数値が大きいほど危険」ですが、回収情報ではクラスIが最も重篤な健康被害リスクを意味します。同じ「クラスI」という言葉が異なる意味で使われることがあるため、文脈の確認が必要です。
製造販売業許可の申請手数料(都道府県窓口への納付分)についての参考。
https://www.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/k_yakuji/tesuryo_2/
輸入販売を行う場合、クラス分類に応じた製造販売業許可の取得が絶対条件です。許可の種類は3種類あり、クラスが高くなるほど取得のハードルとコストが上がります。
| 許可の種類 | 対象クラス | 申請手数料(新規・目安) | 有効期間 |
|---|---|---|---|
| 第三種医療機器製造販売業許可 | クラスI(一般医療機器) | 約9万〜10万円 | 5年 |
| 第二種医療機器製造販売業許可 | クラスII(管理医療機器) | 約13万〜15万円 | 5年 |
| 第一種医療機器製造販売業許可 | クラスIII・IV(高度管理医療機器) | 約15万〜16万円 | 5年 |
※上記は行政手数料の目安であり、実際には薬事コンサルタントへの依頼費用や品質管理体制(GQP・GVP)整備費用が別途発生します。コンサルタント報酬込みの総コストは、クラスIで数十万〜百万円程度、クラスIV新規品では申請から承認まで総額1,800万円超になるケースもあります。
許可取得の期間は許可申請から約2ヶ月が目安です。ただし承認申請(製品単位の審査)は別プロセスであり、クラスIVの新医療機器では承認までに1年以上を要することが一般的です。
販売業許可にも注意が必要です。クラスIIIまたはIVの高度管理医療機器を販売・貸与する場合、製造販売業許可とは別に「高度管理医療機器等販売業許可」が営業所ごとに必要です。
製造販売業許可は5年ごとの更新が必要で、更新を忘れると許可が失効します。失効すると当然ながら輸入販売ができなくなるため、更新期限の管理は欠かせません。
クラスI相当でも油断は禁物ということですね。輸入前にExcelでクラスを確認し、必要な許可種別を特定してから手続きを進めることが、無用なトラブル回避の第一歩になります。
医療機器の製造販売手続きに関するPMDA公式資料(PDF)。
https://www.pmda.go.jp/files/000160783.pdf
関税手続きにおける「HSコード(関税分類番号)」と、薬機法上の「クラス分類」は、まったく別の体系です。この2つを混同すると、通関で深刻なトラブルを招くことがあります。
医療機器の主なHSコードは以下のとおりです。
これが原則です。しかし実際には、機器の性状・機能・用途によって分類が変わることがあります。例えばヘルスケア目的で輸入した機器がHS9027に分類されるケースや、電動式の機器が家電として別の章に分類されるケースも存在します。
重要なのは、HSコードが違えば関税率が変わるという点です。日本では医療機器の多くが基本関税率ゼロ(無税)ですが、一部の消耗品には関税が発生します。EPAを活用すれば中国からの輸入品でも関税率が有利になる可能性がありますが、そのためには正確なHS分類と原産地証明が必要です。
HSコードと薬機法クラスを照合する手順は次のとおりです。まずExcelでクラス分類を確認し、次に税関の実行関税率表または事前教示制度を使ってHSコードを確定します。HSコードが不明確な場合は、税関の「事前教示制度」を利用して公式な分類判断を事前に取得することが強く推奨されます。事前教示を受けておけば、通関時に税関官への説明がスムーズになります。
中国向け輸出で注意すべき点として、HS9018・9022に属する中古医療機器は中国への輸入が禁止されています。輸出先国の規制も必ず事前確認が条件です。
HSコードの誤りは関税の過払いや通関の遅延に加え、悪質とみなされれば法的トラブルに発展するリスクもあります。クラス分類表ExcelはあくまでもHS分類の「ヒント」として活用し、最終的なHSコードは税関との確認を経て確定させることが原則です。
JETROの医療機器輸入手続きQ&A(HSコード例・薬機法規制の概要を収録)。
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04M-010754.html
クラス分類表を使いこなしている人でも、見落としがちなポイントがいくつかあります。ここでは、関税や輸入実務に関わる立場から特に重要な4つの盲点を整理します。
一つ目は「医療機器プログラム(SaMD)も薬機法の対象になる」という点です。スマートフォンアプリや診断支援ソフトウェアであっても、疾病の診断・治療・予防を目的とするものは医療機器として分類されます。ソフトウェアに関税はかかりませんが、輸入・販売には薬機法上の手続きが必要です。この点を知らないまま販売を開始すると薬機法違反になります。
二つ目は「クラス分類表の更新タイミングの確認不足」です。告示改正があると新しい一般的名称が追加されたり、既存品のクラスが変更されたりします。PMDAの更新情報は月に1〜2回のペースで行われており、古いExcelを使い続けると誤ったクラスに基づいて許可を取得するリスクがあります。
三つ目は「電気用品安全法との二重規制」です。電動・電熱式の医療機器はPSEマーク(電気用品安全法)の適合確認も必要で、医療機器としての薬機法手続きとは別に進める必要があります。事業開始から30日以内に電気用品輸入事業届出書を提出する義務もあり、特定電気用品116品目については登録検査機関による検査が必要です。見落とすと別途の法令違反になります。
四つ目は「個人輸入と業者輸入の線引き」についてです。家庭用マッサージ器や電子体温計などは個人が自分で使うために1セット輸入することは許可なく認められています。しかし、他人への売却・譲渡は一切禁止です。「個人名義で輸入して販売する」行為は薬機法違反になり、クラスが低いからといって例外にはなりません。
これは使えそうです。特に代行輸入や越境EC関連の業務を行う場合には、この線引きが重要になります。
最後に紹介するのが「承認審査と製造販売業許可の混同」です。許可は事業者に対して与えられるもの、承認・認証は個々の製品(品目)に対して与えられるものです。製造販売業許可を取得しただけでは特定の製品を輸入販売することはできません。品目ごとの承認・認証・届出も並行して行う必要があります。
関税に関わる業務では、輸入前の事前チェックリストとしてExcelを活用し、クラス・特定保守フラグ・設置管理フラグの3項目を確認することが最低限の作業になります。これだけで多くの見落としを防ぐことができます。
医療機器スタートアップ向けの輸出入手続き詳細解説(安全保障貿易管理・EPA活用まで網羅)。
https://ecompliance.jp/md-startup-13-3/