ETDを「出荷日」と思ったまま使うと、納期クレームで損害が出ます。
ETDとは「Estimated Time of Departure(エスティメーティッド・タイム・オブ・ディパーチャー)」の略称です。日本語では「出発予定日時」または「出港予定日」と訳され、主に海上輸送における本船出港予定日、航空輸送における航空機出発予定日を指します。
「Estimated(推定・予定の)」という単語が示すとおり、ETDはあくまでも予定であり、確定した日時ではありません。これが実務上の最重要ポイントです。
貿易・物流の現場では、ETDは出荷元の港や空港を基準にした情報です。たとえば「ETD Yokohama 10 APR」と書かれていれば、「横浜港を4月10日に出港予定」という意味になります。荷物が工場や倉庫を出る日(出荷日)でも、輸入側の倉庫や荷主に荷物が届く日(配達日)でもありません。この区別が曖昧なまま使われることがあり、通関業者・フォワーダーの実務では誤解が思わぬトラブルに直結します。
📌 注意点として、ETDはまれに「Estimated Time of Delivery(配達予定日)」の略語として使う取引先も存在します。出荷予定日のつもりで書いても、相手が配達予定日として解釈してしまうケースが実際に報告されています。初めて取引する相手や略語に不慣れな先には、「ETD(Estimated Time of Departure)」と省略せずに記載する習慣が安全です。
| 略語 | 正式名称 | 意味 |
|---|---|---|
| ETD | Estimated Time of Departure | 出発(出港)予定日時 |
| ETA | Estimated Time of Arrival | 到着(入港)予定日時 |
| ETS | Estimated Time of Sailing / Shipment | 出港予定日(海上輸送専用) |
| ATD | Actual Time of Departure | 実際の出発日時(確定値) |
| ATA | Actual Time of Arrival | 実際の到着日時(確定値) |
つまりETDは「予定」、ATDは「確定」です。
参考:ETD・ETA・ATDなど貿易用語の意味と正式名称を一覧で確認できます。
ETDとよく混同されるのがETA(到着予定日)とETS(出港予定日)です。一見すると似ていますが、実務での役割は異なります。整理しておきましょう。
まずETDとETAはセットで使われます。船積通知(Shipping Advice)では次のような形で記載されます。
ETD Shanghai: 15 MAR 2025
ETA Tokyo: 18 MAR 2025
Vessel: COSCO FAITH V.001
これは「上海を3月15日に出港予定、東京に3月18日に入港予定、船名はCOSCO FAITH」という意味です。航海日数は3日というわけです。ETDが積出地の基準日、ETAが仕向地の基準日となります。
次にETSについてです。ETSはEstimated Time of Sailing(またはShipment)の略で、意味はETDとほぼ同じですが、海上輸送専用の言葉です。航空便には使いません。日本国内の通関・フォワーダー実務ではETDとETSを同義として扱うことも多く、見積書やスケジュール表に「ETS」と書いてあれば「海上の出港予定日」と読んで問題ありません。
また、港での詳細スケジュールを示す言葉として、ETB(Estimated Time of Berthing:着岸予定日時)やETC(Estimated Time of Completion:荷役終了予定日時)もあります。小口の輸出入ではあまり目にしませんが、バルク貨物や大口コンテナ輸送では確認が必要になることがあります。
🔑 覚え方のポイントとして、ETDは「Departure=出発」と紐づけておくのが基本です。
さらに混乱しやすいのが日付の書き方です。英文の連絡では「15/3/2025」は日本式(3月15日)か欧州式(15日3月)か判別が難しく、「15 MAR 2025」と月を英字3文字で書く形式が最もミスが少ないとされています。貿易業務において「4/12/2025」のような数字だけの表記は、4月か12月かの二重解釈を生むため使用を避けるのが原則です。
参考:ETD・ETS・ETA・ETBの違いとそれぞれが指すスケジュールの位置づけを詳しく解説しています。
貿易用語ETDとETAの意味とは?どこの出発・到着日を指すのか? – kathalo
通関業者にとってETDが重要なのは、輸出通関の作業スケジュール全体がETDを起点に逆算されるからです。ETDを「船が出る日」として軽く見ていると、カットオフを見落とすリスクがあります。
カットオフ(Cut-off)とは、貨物の搬入やB/L(船荷証券)情報などの書類提出の締切日のことです。一般的に、FCL(フルコンテナロード)の場合はETDの3営業日前、LCL(混載貨物)の場合はCFSへの搬入締切がETDの2〜3日前に設定されています。
以下が標準的なETDを起点とした輸出スケジュールの目安です。
| タイミング | 作業内容 |
|---|---|
| ETDの5日前まで | 船便貨物の倉庫・港への搬入(目安) |
| ETDの3日前 | FCLのCYカットオフ(コンテナヤード搬入締切) |
| ETDの2〜3日前 | LCLのCFSカットオフ(混載貨物搬入締切) |
| ETDの2日前まで | 輸出申告・許可取得(保税地域搬入後) |
| ETDの前日 | B/L指示書(SI:Shipping Instructions)提出 |
| ETD当日〜翌日 | 本船出港・B/L発行(出港翌日〜2日後が一般的) |
この流れで重要なのは、輸出申告(Export Declaration)はETDの前に完了していなければならないという点です。税関への輸出申告は貨物を保税地域に搬入した後に行いますが、保税地域への搬入自体もETDから逆算した期限内に行う必要があります。
カットオフを過ぎてしまった場合、予定していた船への貨物積み込みができず次の便に乗り直すことになります。これが「積み落とし(ローリング)」です。積み落としが発生すると、次の便のETDまで貨物が保税地域に留め置かれ、保管費用(デマレージ)が発生することがあります。航空便であれば1日単位で費用が積み上がり、金額にして数万円規模になるケースも珍しくありません。
カットオフに注意すれば大丈夫です。
参考:カットオフ日の定義と、貨物・書類それぞれの締切日が異なるケースの解説はこちらで確認できます。
【専門家監修】CFSとCYの違いとは?LCL・FCLとの関係も解説 – jitbox
ETDは「予定」である以上、変更されることが前提です。実務では変更通知を受け取った後の対応の速さが、損害発生を左右します。
ETDが変わる主な原因は以下のとおりです。
ETDが変更された場合、通関業者が対応すべき作業は複数あります。まず荷主・メーカー・フォワーダーへの速やかな連絡が必要で、納期を約束している荷主はETD変更の情報をもとに取引先への連絡を行います。次に、輸出申告や各書類の有効期限の確認が必要です。輸出許可(E/P)は原則として許可日から3か月以内に船積みが必要ですが、ETD変更で長期保管になる場合は許可の失効リスクも視野に入れる必要があります。
また、輸入側の通関業者にとっては、ETAの変更がより直接的な影響を持ちます。ETAが変わると輸入申告の準備タイミングがずれ、場合によっては担当者のスケジュール変更・書類再確認が必要になります。「ETA=貨物引き取り日」と誤認しているケースも多く見られますが、実際の引き取り可能日はETAの翌営業日以降というのが現実的な目安です。港での通関手続きと国内配送の手配が間に合わなければ、コンテナをターミナルに留め置く費用(デテンション・デマレージ)が発生します。
厳しいところですね。
さらに、2026年現在、コンテナ輸送市場ではルートや季節によってスケジュール変動が依然として大きく、特に中国旧正月前後・欧州向け航路・北米向け航路では数日単位のETD変動が起きやすい状況が続いています。ETD変更の通知はフォワーダーから届くのが一般的ですが、大手船会社の公式サイトやトラッキングシステムを使って自分自身でもETDを定期確認する習慣をつけることで、変更への対応が格段に速くなります。代表的なトラッキング先として、MAERSK・ONE・MSCなどの船社公式サイトがあり、いずれも無料で利用できます。
ETDの意味を理解していても、「伝え方」を誤ると通関クレームや納期トラブルに直結します。ここでは実務者が実際に遭遇しやすいミスと、それを防ぐ書き方の工夫を取り上げます。
まず最も多いのが「ETD=配達予定日(Delivery)」との混同です。前述のとおり、ETDをEstimated Time of Deliveryの略として使う取引先が一定数存在します。たとえば仕入先が「ETD 20 APR」と送ってきた場合、それが出港日なのか配達予定日なのかによって、通関業者の準備タイミングが1〜2週間単位でずれることがあります。解釈が曖昧なまま進めるよりも、確認を1往復するほうが確実です。
次に注意したいのが、日付の書き方によるミスです。「04/05/2025」という表記は、米国式だと「4月5日」、欧州式だと「5月4日」になります。貿易実務でのトラブルを防ぐには、「05 APR 2025」のように月を英字略称で書くのが標準的なルールとして定着しています。
英文メールでのETD記載の具体例を示します。
We are pleased to inform you of the shipment details as follows:
- ETD (Estimated Time of Departure, Yokohama, Japan): 10 APR 2025
- ETA (Estimated Time of Arrival, Los Angeles, USA): 25 APR 2025
- Vessel Name / Voyage No.: ONE INFINITY / 012E
- B/L No.: OOLU1234567890
このように「ETD(Estimated Time of Departure, 港名)」と略さず書き、括弧で正式名称と港名を添えることで、相手が「配達予定日」と誤解するリスクをほぼゼロにできます。これは使えそうです。
また、ETDとは別に「Cargo Ready Date(貨物準備完了日)」「Ship Date(実際の船積み日)」を区別して記載しておくと、荷主・フォワーダー・通関業者の三者間で情報の食い違いが起きにくくなります。Cargo Ready Dateは工場出荷日の目安となり、通関業者はこの日付をベースにETDまでのスケジュールを組むことができます。
さらに、近年多くの企業が導入を進めている貿易DX(デジタルトランスフォーメーション)の文脈では、ETD・ETA情報をシステム間で共有する仕組みが整備されつつあります。フォワーダーや通関業者が利用する物流管理システム(TMS)に船社のスケジュールデータをAPI連携することで、ETD変更時の自動通知や書類作成の自動トリガーが実現しており、メール・電話での確認作業を大幅に削減できる環境が整ってきています。自社の通関業務システムにETD自動追跡機能があるか確認してみる価値があります。
ETD情報の正確な伝達と管理が条件です。
参考:船積みスケジュールの読み方、ETD/ETAの変更に対する実務調整ポイントをわかりやすく解説しています。
船積みスケジュールとETD/ETAの読み方・調整ポイントを徹底解説 – yushutsu.jp
参考:貿易業務における通関手続きの便利な制度(AEO・先行申告など)の詳細は税関公式サイトで確認できます。
輸出入通関手続きの便利な制度 – 税関 Japan Customs
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