電子署名方法PDFで通関業務の効率化と注意点

通関業務従事者がPDF書類に電子署名を行う具体的な手順と、無料ツールの活用方法、税関提出時の要件までを詳しく解説します。電子化による業務効率化を実現できるのでしょうか?

電子署名方法PDFによる通関業務効率化

無料の電子署名ツールでも有効性が認められない場合がある

この記事のポイント
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Adobe Acrobat Readerで無料署名可能

通関書類のPDFに無料で電子署名を付与でき、2013年10月から税関へ電子データでの提出が可能になっています

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税関提出には特定要件が必須

スキャナ解像度8ドット256階調以上、電子署名と電子スタンプの実施、訂正削除履歴の確認可能性が求められます

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改ざん検知と法的効力の確保

適切な電子署名は紙の押印と同等の法的効力を持ち、署名後の文書変更を自動検知できます

電子署名の基本的な仕組みと通関業務への適用


電子署名は公開鍵暗号技術を使用して、PDF文書の作成者が誰であるか(本人性)と、署名後に内容が改ざんされていないか(非改ざん性)を電子的に証明する技術です。通関業務では2013年10月から、インボイス・船荷証券・包装明細書などの通関関係書類をPDF等の電磁的記録により税関へ提出することが可能になりました。これにより、従来は紙で提出していた書類を電子データで処理でき、リードタイム短縮とコスト削減が実現できます。


参考)PDFに電子署名するやり方と仕組みを解説(無料で電子サインす…


電子署名法第3条では、本人の意思を証明できる電子署名がなされた電子文書は、紙の契約書と同等の効力を持つと明記されています。つまり適切な手順と技術で作成された電子署名は、手書きの署名や押印と同じ法的効力が認められるということですね。


参考)PDFへの電子署名のやり方は?必要なツール、法的効力まで徹底…


通関業務従事者にとって、電子署名の導入は書類の往復時間を削減し、税関審査をスムーズに進める手段となります。ただし税関が必要と判断した場合は原本による審査が行われることもあるため、原本の保管も引き続き重要です。


参考)https://www.customs.go.jp/news/news/paperless/index.htm


Adobe Acrobat Readerでの電子署名手順

Adobe Acrobat Readerは多くのPCにインストールされている無料のPDF閲覧ソフトで、電子署名を追加する機能が標準搭載されています。具体的な手順は、まずAdobe Acrobat Readerで電子署名を追加するPDFファイルを開き、「ツール→証明書→電子署名」の順に選択します。署名フィールドに署名する場合は、署名フィールドをクリックすればこのステップは完了です。


参考)PDFに無料で電子署名する方法は?やり方や手順、確認方法、注…

次にデジタルIDの設定を行います。初回利用時は新しいデジタルIDを作成する必要があり、署名者の名前や組織名などの情報を入力します。「次の名前で署名:XXX」というダイアログが表示されたら、デジタルIDに設定したパスワードを入力し「署名」をクリックします。


参考)PDFファイルに電子署名を付与する方法とは?画像付きで解説!…

電子署名が完了したら、PDFファイルを保存します。これでPDFファイル上に見える形式で電子署名が付与されます。保存時はパスワードとアクセス権を設定するなど、セキュリティに配慮した方法で保管しましょう。ただし、Adobe Acrobat Readerでは電子証明書の発行やタイムスタンプの付与は有料プランを利用する必要がある点に注意が必要です。


参考)https://www.freee.co.jp/kb/kb-sign/electronic_signature_free/


詳しい手順はAdobeの公式Webサイトで確認できます。


Adobe公式:PDF ファイルで電子署名を利用する方法

通関書類の電子提出における技術的要件

税関へ通関関係書類をPDFで提出する場合、特定の技術要件を満たす必要があります。スキャナの解像度が8ドット・256階調以上であることが規定されており、この基準を下回ると税関での審査に適さない可能性があります。


つまり8ドット256階調以上が原則です。



参考)https://www.customs.go.jp/news/news/paperless/annex05.pdf

スキャナで読み取る際に電子署名及び電子スタンプを行うことも必須要件です。さらに記録の訂正又は削除を行った場合、これらの事実及び内容を確認できることが求められます。これは文書の改ざんを防ぎ、履歴を追跡可能にするための重要な要件ですね。

包括輸出許可証、輸出承認証、輸入承認証、事前確認書などの書類はPDFによる税関への提出及び税関審査が可能ですが、税関許可後3日以内に原本を税関に持参する必要があります。裏書きが必要な承認証等をPDFで提出する場合は、原本の裏書き欄に申告情報を記載し、原本を両面ともPDF化してNACCSを使用して税関に提出します。


参考)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/boekikanri/download/misc/2013/20131011_243_zz.pdf

これらの要件を満たすことで、通関業務における電子データの活用が可能になり、業務効率化とリードタイム短縮が実現できます。NACSCシステムを使った提出方法に不慣れな場合は、通関業者向けのマニュアルや研修を活用すると理解が深まります。

無料で使える電子署名ツールの選択肢

Adobe Acrobat Reader以外にも、通関業務で活用できる無料の電子署名ツールが複数存在します。LightPDFは機能性の高い無料のオンラインPDFエディターで、洗練されたインターフェースデザインで使いやすく、PDFの書類にテキストまたはPNG画像を追加することで電子署名の作成が可能です。


参考)無料の電子署名ツールおすすめ7選!PDFに無料で署名する方法…

DigiSignerは、PDFに署名して記入するためのオンライン電子署名プラットフォームです。優れた暗号化によって高い法的効力をもち、マウスやタッチパッドでの署名描画や署名画像をスキャンしてアップロードできます。直感的な操作で文書にオンライン電子署名が可能ですね。

Tenorshare PDNobは、AI-OCR技術でスキャン文書も編集可能な本格派PDFツールです。テキスト修正・画像挿入・30種類以上の形式変換に加え、法的効力のあるPDF電子署名も簡単に追加できます。PDF Studioは3OS対応の高機能PDFエディターで、PDF電子署名・フォーム入力・注釈追加が可能です。署名後は自動で編集不可状態にできるのが特徴です。


参考)https://note.com/phonetips/n/nbb9a30bd7d6e

ただし、無料ツールの場合は月間の署名件数制限やセキュリティ機能の制約がある場合もあるため、業務量に応じて有料プランの検討も必要です。通関業務で大量の書類を扱う場合は、月間処理件数と費用対効果を比較してツールを選びましょう。

電子署名PDFの検証方法と改ざん検知

電子署名付きPDFファイルをAdobe Acrobat Reader等のアプリケーションで閲覧した際、緑色のチェックマークや「有効」の表示があれば、その署名は信頼性が高いと判断できます。一方で「無効な署名があります」と表示されたり、警告が表示される場合は注意が必要です。

「署名に問題があります」、「証明の完全性が不明です」等の注意が表示される場合があります。これらが表示される理由は、多くの場合、PDFファイルを閲覧するためのアプリケーションが、電子署名の検証に必要なGPKIの認証局の自己署名証明書を参照できないためです。ソフトウェアを動作させるPC等の端末に認証局の自己署名証明書を追加することで、電子署名の検証を行うことが可能となります。


参考)https://www.nisc.go.jp/pdf_shomei.html

PDFファイルには、文書本体とは別に電子署名、タイムスタンプの情報を格納する領域が用意されているため、電子署名、タイムスタンプが付与されても、文書本体は変更されないので検証してもエラーになりません。しかし、Adobe AcrobatなどのPDF編集ツールを使用して文書の内容が書き換えられた後に検証を実施したらエラーとなります。


参考)PDFファイルに<電子署名><タイムスタンプ>をあとから追加…

電子署名済みのファイルに編集・変更が行われた場合、その電子署名は無効となり、改ざんされたことが検知されるようになっています。ただし、PDF署名検証における脆弱性も報告されており、最近のAdobe Acrobatでも改ざんされているにも関わらず有効な電子署名として表示されてしまう可能性があるため、定期的にソフトウェアを最新版に更新することが重要です。


参考)PDF署名検証における脆弱性の危険


電子署名導入時のセキュリティリスクと対策

PDFファイルは特定のソフトを使えば容易に書き換え可能で、文書の改ざんや誤った修正が行われるリスクが存在します。署名や捺印の削除・追加も簡単に行えるため、署名の無効化や偽造のリスクも懸念されます。このようなデメリットから、電子契約書の内容の整合性を保つためには適切な対策が必要ですね。


参考)PDF化した電子契約書は有効?メリット・デメリットや注意点を…

近い将来、RSA1024bitやSHA-1の危殆化する可能性が指摘されており、電子署名法に係るアルゴリズムの移行が課題となっています。署名アルゴリズムの危殆化問題が発生すると、過去に作成された電子署名の有効性が損なわれる可能性があります。


参考)https://www.jnsa.org/result/pki/seminar/2010/2010-028.pdf

実はOSのキーストアに入っているようなものを使ってしまって、実際に鍵の複製ができるようになっている等、具体的なリスクがあるため注意が必要です。デジタルIDやパスワードは適切に管理し、盗難等の事故がないようにしましょう。


参考)電子署名法認定基準のモダナイズ検討会(第3回)|デジタル庁


こうしたセキュリティリスクに対処するため、重要な通関書類には電子署名に加えてタイムスタンプを付与することが推奨されます。タイムスタンプは文書が特定の時刻に存在していたことを証明し、改ざん防止の追加的な保護層となります。電子契約サービスのクラウドサインなどを利用すると、電子署名とタイムスタンプが自動的に付与され、契約書のような重要な書類の完全性・証拠力が担保されます。業務の重要度に応じて、無料ツールと有料サービスを使い分けるとセキュリティと利便性のバランスが取れます。


通関業務における電子署名PDFの実務的な活用場面

通関業者が関係書類(インボイス・船荷証券・包装明細書等)を提出する際、従来は紙の書類で税関へ提出していましたが、2013年10月からPDFなどの電子データで提出できるようになりました。税関においては、輸出入申告された内容と電磁的記録により提出された通関関係書類により審査を行ったうえで、書面(紙)による確認が不要と判断した場合については許可することとしています。


参考)https://www.jiima.or.jp/wp-content/uploads/im-pdf/201711IM.pdf


国際郵便サービスにおいて、2021年1月1日より通関電子データの送信が義務化されています。手書きのラベルについても、名宛国で通関の遅れや返送の恐れがあり、また米国宛の手書きラベルによる差出しは原則、引き受け不可となっています。


電子データでの提出が標準です。



参考)https://support.shipandco.com/hc/ja/articles/900004295666-%E9%80%9A%E9%96%A2%E9%9B%BB%E5%AD%90%E3%83%87%E3%83%BC%E3%82%BF%E9%80%81%E4%BF%A1%E3%81%AE%E7%BE%A9%E5%8B%99%E5%8C%96%E3%81%AB%E3%81%A4%E3%81%84%E3%81%A6

FedExなどの国際輸送サービスでは、FedEx Ship Managerで出荷情報を入力し、「通関書類」セクションで「はい、FedExがインボイスを電子送信することを希望します」オプションを選び、フェデックス電子取引書類の利用規約に同意することで、書類をアップロードして電子送信できます。このサービスは一度利用すると今後の利用のために保存され、通関手続きをすぐに始められ、遅延の可能性を防ぐことができます。


参考)https://www.fedex.com/ja-jp/new-customer/how-to-submit-electronic-documents.html

輸出証明書のオンライン申請においても、電子証明書の取得と電子署名が活用されています。法人の場合は履歴事項全部証明書の写し(6ヶ月以内に発行されたもの)、個人の場合は顔写真付の公的証明書(運転免許証等)の写しが必要です。電子署名の活用により、書類の往復時間が短縮され、迅速な輸出手続きが可能になります。業務フローを見直し、電子化できる書類から段階的に移行すると、現場の混乱を最小限に抑えられます。


参考)輸出証明書のオンライン申請手続:農林水産省




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