直接貿易と間接貿易の違い|通関業務で知るべきメリットとリスク

通関業務に携わる方にとって、直接貿易と間接貿易の違いを理解することは重要です。商社を介するか否かで、コスト構造やリスク負担が大きく変わります。それぞれの特徴を把握して、最適な貿易形態を選択できていますか?

直接貿易と間接貿易の違い

間接貿易から直接貿易に切り替えても、あなたの会社の利益は増えないことがあります。


この記事の3つのポイント
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取引形態の違い

直接貿易は海外バイヤーと直接取引、間接貿易は商社を介した国内取引として処理される

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コスト構造の差

商社マージンは5~40%だが、直接貿易では貿易実務や人件費など別のコストが発生する

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リスクの所在

間接貿易では商社が為替・代金回収・訴訟リスクを負担、直接貿易では自社で全責任を負う

直接貿易の基本的な仕組みと通関業務への影響


直接貿易とは、輸出者と輸入者が第三者を介さずに直接取引を行う貿易形態です。商社や貿易会社を通さず、売り主や買い主が直接に貿易実務を行います。


参考)間接貿易と直接貿易の違いとは? それぞれのメリット・デメリッ…


この形態では、自社が輸出者として通関手続きを行うため、通関業者とのやり取りや書類の準備を全て自社で管理する必要があります。取引相手は海外のバイヤーとなり、価格交渉から契約、船積、決済まで全てのプロセスを直接調整します。


参考)坂田貿易支援事務所


商社に支払う仲介手数料が不要で、コストを抑えられる可能性があります。顧客と直接コミュニケーションが取れるため、自社の意向を伝えやすく、海外市場のニーズや動向をリアルタイムで把握できます。

つまり直接貿易ですね。


通関実務の観点では、輸出者名義が自社となるため、輸出申告書の作成や税関対応も自社責任で行います。インボイスやパッキングリストなどの船積書類も自社で正確に作成しなければなりません。

ただし、貿易取引に係る与信リスク、契約リスク、輸送リスク、為替リスクなど多くのビジネスリスクを自社で負います。製造物の欠陥により障害が発生した場合、海外の消費者から訴訟を受ける可能性もあります。


参考)貿易の種類 - 税金Lab税理士法人


間接貿易の仕組みと商社が果たす役割

間接貿易とは、輸出国と輸入国の売り主と買い主の間に第三者が介入して行う貿易取引のことです。一般的には、第三者として商社が介在して貿易取引を行います。


参考)https://www.sompo-japan.co.jp/-/media/SJNK/files/hinsurance/logistics/news/2010/b-news072.pdf?la=ja-JP

自社の直接の取引相手は国内の商社になります。あなたの会社の商品自体は国内の商社を通して海外に行きますが、取引形態としては国内商社を相手とした通常の国内取引となります。

商社が間に入ることで、輸出入にともなう貿易実務の代行を受けられます。これには通関手続き、船積書類の作成、代金決済などが含まれます。国内の商社と決済を行うので為替リスクを避けられるのが特徴です。


為替リスクが原則ありません。


商社は複数社の貨物を取りまとめて輸出することができるため、自社から出荷する貨物の量が少なくても、大口の貨物として輸送単価を抑えることができます。一度に運ぶ貨物量が多ければ多いほど輸送単価が小さくなり、販売価格を安く抑えることが可能です。

しかし商社のマージンの分利益が少なくなります。商社が間に入る分マージンを取るため、海外での小売価格を抑えようと思うとその分安い価格で商社に販売する必要があります。

通関業務の観点では、商社が輸出者として通関申告を行うため、メーカー側は通関実務から解放されます。顧客との納期や品質についての交渉・調整も商社が担当するため、より円滑に進められます。

直接貿易における通関業務の具体的な手続きと注意点

直接貿易では、輸出申告から船積、代金回収までの全プロセスを自社で管理します。通関業者への依頼、船会社へのブッキング、貿易に伴うリスク負担等を自社で行う必要があります。


参考)グローバルビジネスの基礎知識⑨~様々な貿易の形態

輸出手形買取を利用する場合、リフティングチャージとして買取金額の0.1%(最低金額5,000円)が発生します。


さらに立替金利も別途必要です。


郵送料はアジア向けで1,800円、ヨーロッパ向けで2,000円、南米・アフリカ向けで2,500円となります。


参考)輸出・輸入取引の手数料

手続きコストは具体的です。


信用状を通じた取引の場合、通知手数料として6,000円、条件変更時には4,000円が必要です。これらの費用は取引ごとに発生するため、少額取引では相対的な負担が大きくなります。

貿易実務に不慣れな場合、書類の不備や手続きミスが発生しやすくなります。特に、輸出申告書の記載ミスやインボイスの金額誤記は、税関検査で指摘を受ける原因となります。

契約内容があいまいで、支払条件や返品対応についての明文化がなされていない場合、トラブルの原因になります。輸入者から「後払いじゃないと買わない」と強硬に押し切られ、その結果商品を先に送ったものの代金が支払われなかったケースもよく発生しています。


参考)坂田貿易支援事務所


政情不安やテロ行為、頻繁な法律の変更などで輸出入がうまくいかないカントリーリスクも存在します。ロシアやウクライナの一部地域宛の荷物が輸出規制を受けたり、中国が処理水の放出を問題化して日本からの水産物の輸入を停止したりすることがありました。

これらのリスク対応を全て自社で行う必要があるため、貿易実務の専門知識を持つ人材の確保が不可欠です。


商社マージンの実態と間接貿易のコスト構造

商社のマージン率は業種や取り扱う商材によって大きく異なります。一般的な流通商社のマージン率は5%~10%が適正範囲とされていますが、輸入商社では20%~40%にもなるケースがあります。


参考)中間マージンの真実:商社が果たす役割とその重要性 - KOT…

輸入業に必要な物流費用や在庫リスクが高いことがマージン率上昇の理由です。大手商社が取り扱うコモディティー原料では、激しい価格競争の影響からマージン率が数%と低く設定されることが多いです。

業界によって差が出ます。


特許技術や専門性の高い商材を取り扱う商社では30%~50%の高いマージンが付加されることもあります。手放れの良い商材の場合は3%~5%程度、在庫リスクやアフターフォローが頻繁な商材では20%~40%の範囲に収まることが多いです。

商社マージンには、商社が提供する専門知識、物流管理、在庫リスク負担、金融機能などの付加価値が含まれています。商社が100万円で仕入れた商品を10%のマージンを加えて110万円で販売した場合、10万円がマージンに該当します。

間接貿易では商社の拠点網、人脈、情報を活用できるメリットがあります。しかし、海外市場に関する情報が商社を介するため、情報の非対称性が生じる可能性もあります。


参考)https://willtec.work/article/glossary/indirect-trade/


商社を通す場合、情報ネットワークを活用したマッチングや金融機能、在庫管理を含めた総合的なサービスに価値を見出せる場合、10%~30%のマージンが適切とされます。価格交渉力が低下する可能性がある点も考慮する必要があります。


通関業務従事者が押さえるべき貿易形態選択の判断基準

貿易取引の規模と頻度が、貿易形態選択の重要な判断基準となります。貿易をする機会の多い企業や海外進出に力を入れているメーカーなどにとって、直接貿易はメリットが大きいといえます。

少量の輸出から始める場合、間接貿易の方が有利です。商社が複数社の貨物をまとめることで輸送単価を抑えられるため、小ロットでも効率的に輸出できます。

取引規模が判断軸です。


自社に貿易実務の専門知識を持つ人材がいるかどうかも重要な要素です。通関手続き、為替管理、契約交渉などの実務をこなせる体制がない場合、間接貿易を選ぶのが現実的です。

リスク許容度も考慮すべきポイントです。為替変動リスク、代金回収リスク、カントリーリスクなど、多くのビジネスリスクを自社で負える体力があるかを見極める必要があります。


商社の拠点網や人脈、市場情報を活用したい場合は、間接貿易が適しています。特に新規市場への進出では、商社のネットワークが大きな力となります。現地の市場情報やネットワークを持つ商社が、取引先や販売ルートを開拓してくれます。


参考)【解説】直接貿易とは?:メリット・デメリットから始め方まで …


間接貿易から直接貿易への切り替えを検討する際は、コスト削減効果だけでなく、新たに発生する人件費や実務コストも含めて総合的に判断することが重要です。商社マージンが削減できても、自社で貿易実務を行うための人材確保や教育コスト、リスク管理コストを考慮すると、必ずしも利益が増えるとは限りません。


海外取引先の信用調査や回収リスクを商社が引き受けることも、間接貿易の大きな価値です。直接貿易では、これらのリスク管理を全て自社で行う必要があります。

知的財産権のリスクも見逃せません。中国展開の際に別の企業に商標権を先に取られてしまった無印良品のように、海外での商標登録状況を確認しないと、販売できない状況が起こります。

通関業務従事者として、これらの要素を総合的に評価し、自社の状況に最適な貿易形態を選択することが求められます。間接貿易と直接貿易のどちらが本当に良いのか、きちんと見極める必要があります。




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