NACCSを使わずに通関申告すると、あなたの業務は実質ストップします。
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社(NACCSセンター)は、2008年10月に独立行政法人通関情報処理センターから株式会社化された特殊会社です。本社は東京都港区浜松町に位置し、資本金は10億円で運営されています。所管は財務省関税局総務課事務管理室で、電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律に基づいて設立されました。
参考)輸出入・港湾関連情報処理センター - Wikipedia
この会社が運営するNACCS(Nippon Automated Cargo and Port Consolidated System、輸出入・港湾関連情報処理システム)は、税関・通関業者・保税蔵置場・船会社・CY・輸出入者などをオンラインで結び、国際物流に関する手続きを電子的に処理するシステムです。税関への輸出入申告手続きにおいては、全輸出入申告の約99%がNACCSを通じて処理されており、日本の国際物流における絶対的なインフラとなっています。
参考)輸出入・港湾関連情報処理センター(株)の新卒採用・会社概要
NACCSは航空貨物通関情報処理システム(Air-NACCS)と海上貨物通関情報処理システム(Sea-NACCS)の2つで構成されています。これらのシステムでは、輸出入通関手続き、船舶・航空機の入出港手続き、貨物の運送手続きなど、国際物流に関するほぼ全ての業務が処理可能です。
参考)輸出入・港湾関連情報処理センターの新卒採用・就職・会社概要と…
通関業務従事者にとって、NACCSの最大のメリットはリソース・コストの削減です。従来は行政機関の窓口まで出向いて書類を記載・提出する必要がありましたが、NACCSではすべての手続きをオンラインで完結できます。これは時間的なコストだけでなく、人件費や交通費といった直接的なコストも削減できることを意味します。
参考)【NACCS掲示板】NACCSの概要・利用方法や利用する業者…
貨物の流れに沿って必要な情報を登録し、関係者間で情報の共有・再利用ができる点も重要です。一度入力した情報を複数の手続きで再利用できるため、入力作業の重複が避けられます。結果として入力ミスのリスクも低減されますね。
また、令和7年3月末時点で海上14,384事業所、航空事業所が参加しており、業界標準のプラットフォームとして機能しています。つまり通関業者だけでなく、自社通関を行う輸出入者、海貨業者、汎用申請者など多様な業種がNACCSを利用できる環境が整っているということですね。
参考)https://www.naccs.jp/aboutcenter/data/data_disclosure/jigyouhoukoku_r3.pdf
実際に、税関官署内には個人通関部門が設置されており、そこでNACCS端末を使って輸入者本人が申告書を作成できる仕組みもあります。税関職員が申告書の作成方法を教えてくれるため、通関士でない人でも利用可能なのです。
参考)「元」通関士が語る「意外といる!?『個人通関』のお客様」|し…
NACCSの料金体系は「基本料金+従量料金」または「従量料金のみ」の2つのプランがあります。基本料金は月額5,000円で、NACCS業務の実施有無に関わらず発生する固定費です。課金単位はnetNACCSの場合、端末1台ごとに設定されます。
参考)https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/qanda/docs-keiyaku/2014052100043/
従量料金は各業務を実施すると発生する料金で、業務ごとに単価が設定されています。例えば2023年の料金改定では、修正申告事項登録(海上)や関税等更正請求事項登録(海上)が25円から20円に、一括搬入確認登録(航空)が13円から12円に引き下げられました。引き下げの背景には、輸入申告増による収入好調があります。
参考)「NACCS」利用料金、4月1日に引き下げへ │ LOGI-…
プランBを選択した場合、有料業務を実施しない月は基本料金が発生しません。これは小規模事業者や季節変動が大きい事業者にとって、コスト管理上のメリットになりますね。ただしプランAを契約している場合は、有料業務実施の有無に関わらず毎月基本料金の請求が発生します。
月額100円未満(税抜き)の場合は請求が免除される仕組みもあります。また、ゲートウェイ接続(SMTP/POP3)や共同利用の場合、事業所としてメールボックスを持たない形態では基本料金がまったく発生しないケースもあるため、接続方法の選択も重要です。
参考)https://www.naccs.jp/archives/unkyou/20090324/sankou3.pdf
NACCSセンター公式サイトの民間利用料金の概要(PDF)では、最新の料金表と詳細な課金ルールが確認できます。
NACCSは輸出入申告件数の約99%を処理しているため、システム障害は国際物流全体に甚大な影響を及ぼします。そのため稼働率99.99%という極めて高い水準を維持しています。この数字は年間でわずか約52分しか停止しない計算になります。
参考)https://www.naccs.jp/aboutcenter/data/data_disclosure/jigyoukeikaku_r07.pdf
過去には2024年1月26日12時31分から13時34分まで、netNACCS、WebNACCS及びNACCS掲示板が利用できない障害が発生しました。原因はNACCSが接続しているインターネット回線側の機器不具合で、NACCS外部の機器で発生したため原因特定に時間を要し、約1時間の業務不可時間が生じました。
参考)https://bbs.naccscenter.com/naccs/dfw/web/docs/2024031200015/
NACCSセンターは毎年12月に「システム障害発生時の対応訓練」を実施しています。この訓練では、システム障害や大規模災害等によるシステム停止に対し、バックアップセンターへの切替を含めた迅速な復旧手順を確認しています。メインセンター障害時には、接続先IPアドレスの変更が必要になる場合があり、障害の状況はNACCS掲示板「運転状況お知らせ」で通知されます。
参考)NACCSメインセンター障害時(復旧時)※NACCS用DNS…
通関業者側でも対策が必要です。災害や電気通信回線の故障等によりNACCSへの報告ができない場合、NACCSの障害か自社システムの障害か判断できないときは、あらかじめNACCSセンターに登録している担当者を通じて問い合わせる体制を整えておくことが推奨されます。つまり障害時の連絡フローを事前に構築しておくことが重要ということですね。
参考)https://www.customs.go.jp/news/news/advance5_j/shiryo01.pdf
NACCSセンターは株式会社化以降、民間主体の企業経営による経営の合理化と業務運営の効率化を進めています。通関関係書類の電子化など新規業務展開による顧客利便性向上も目指しており、国際競争力強化を究極の使命としています。
次世代シングルウィンドウの稼働に伴い、NACCSは港湾EDIとのシステム統合を通じて港湾における中核基幹情報システムとしての役割を強化しています。これにより税関手続きだけでなく、食品衛生手続き、港湾関係手続き等の関係省庁手続きもワンストップで処理できる環境が整備されています。
参考)https://www.gyoukaku.go.jp/genryoukourituka/dai38/shiryou1.pdf
さらに諸外国の通関システムとの連携も推進されており、国際的な物流効率化への貢献も期待されています。インターネット(net-NACCS)による接続や民間の貿易関連システム(清水港VAN等)との連携も進んでおり、アクセス手段の多様化が図られていますね。
通関業務従事者にとっては、NACCSと連携できる自社システムの導入が業務効率化の鍵となります。例えば港湾業務サポートサービスを提供する企業では、NACCSセンターと自社システムとの自動連携を実現しており、手動入力の手間を大幅に削減できます。こうしたツールの活用により、従来は情報収集や雑務にかかっていた時間を戦略的業務に振り向けることが可能になるのです。
輸出入・港湾関連情報処理センター株式会社の公式サイトでは、最新のシステム情報や運用状況が確認できます。またJETROのNACCS概要ページでは、貿易実務者向けの基本情報が整理されており参考になります。