トランジットタイムを「だいたい同じ日数」と思い込むと、納期遅延で荷主に損害賠償を請求されるリスクがあります。
トランジットタイム(Transit Time)とは、貨物の出荷地点(船積み港)から目的地(仕向け港または仕向け地点)に到着するまでの輸送所要日数・時間を指します。 物流・運輸業界では商品の配送予定日を荷主に伝える際や、サプライチェーン全体のリードタイムを管理する際の基準として広く使われています。 goong(https://goong.com/ja/word/transit-time-%E3%81%A8%E3%81%AF-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E%E8%A8%B3%E3%81%A8%E6%84%8F%E5%91%B3/)
通関業務の視点では、トランジットタイムは「船が港に着くまでの時間」であり、税関への輸入申告から輸入許可までの通関所要時間とは別の概念です。つまり分けて管理が必要です。財務省の調査によれば、輸入申告から輸入許可までの通関所要時間は、海上貨物(小口貨物除く)で平均1.6時間、航空貨物で平均0.3時間とされています。 この数値はトランジットタイムには含まれないため、全体のリードタイム計算では「トランジットタイム+通関時間+デバン・配送時間」の合算で考える必要があります。 mof.go(https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/facilitation/ka20240626.htm)
「トランジット=経由地での乗り換え待ち」と混同するケースも実務でよく見られます。 しかし貿易・物流における"トランジットタイム"は輸送所要日数という意味であり、航空旅行における経由地での待機時間とは全く別の概念です。これが基本です。 rere(https://www.rere.jp/beginners/17269/)
トランジットタイムの起算点は「本船の船積み港出港日(ETD)」、終点は「仕向け港への入港予定日(ETA)」が一般的な計算の起点と終点です。 ただし実務上は「ドア・ツー・ドア」でのリードタイム管理が求められるため、内陸輸送や港での搬入・デバン作業も加算して全体のスケジュールを組みます。 logiiiii.sc.funaisoken.co(https://logiiiii.sc.funaisoken.co.jp/terms/toranjit-time/)
海上貨物と航空貨物では、トランジットタイムの規模が大きく異なります。主要航路を例に挙げると次のとおりです。
同じ「上海→大阪」という起点と終点でも、船会社や航路の違いで所要日数が2〜3倍変わることがあります。 これは起点と終点だけで計算しようとすることの危うさを示しています。厳しいところですね。 logiiiii.sc.funaisoken.co(https://logiiiii.sc.funaisoken.co.jp/terms/toranjit-time/)
計算の際にもう一点重要なのがカット日(CUT日)の存在です。海上貨物では、CYカット(コンテナヤード搬入締切)は本船入港の前営業日、CFSカット(港近くの倉庫)は入港2日前が原則です。 このカット日を逃すと、次の便まで待つことになり、トランジットタイムが1週間以上延びることがあります。カット日の管理が条件です。 itaku-unso.co(https://www.itaku-unso.co.jp/news/3951/)
トランジットタイムは一定ではありません。以下の要因によって大きく変動します。
note(https://note.com/holy_orchid4259/n/ncb648ed0c3ac)
logiiiii.sc.funaisoken.co(https://logiiiii.sc.funaisoken.co.jp/terms/toranjit-time/)
service.shippio(https://service.shippio.io/glossary/first-customs-clearance/)
通関業従事者が見落としがちなのは週末・祝日の影響です。貨物の到着タイミングが金曜日だった場合、通関申告が月曜日以降にずれ込み、実質的なリードタイムが3日以上長くなります。 この点は荷主への説明でよく漏れやすい情報です。意外ですね。 service.shippio(https://service.shippio.io/glossary/first-customs-clearance/)
また、他法令(食品衛生法・植物防疫法・薬機法など)の確認が必要な貨物は、通関手続きに平均3.6日かかり、他法令非該当の貨物(平均2.2日)と比較して1.4日長くかかるとされています。 トランジットタイムだけでなく、こうした通関側の要因も含めた全体リードタイムの把握が不可欠です。これは必須です。 service.shippio(https://service.shippio.io/glossary/first-customs-clearance/)
通関業務に携わる方なら、AEO(認定事業者)制度がトランジットタイム全体に与える影響を把握しておく必要があります。AEO輸入者の特例申告貨物(AEO貨物)に係る通関所要時間は、財務省の調査で海上貨物・航空貨物ともに0.0時間と報告されています。 つまり実質的に申告と同時に輸入許可が下りるということです。 mof.go(https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/facilitation/ka20240626.htm)
これはどういう意味か、具体的に説明します。通常の輸入通関では「貨物到着→申告→審査→許可」というプロセスに平均1.6時間〜2.6日かかりますが、AEO事業者はこの審査プロセスが事前信頼認定によって省略されるため、ほぼ0時間になります。 結果として、AEO事業者は通関部分でのリードタイムを事実上ゼロにでき、競合他社と比べて大幅なトランジットタイム短縮が可能です。 mof.go(https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/facilitation/ka20240626.htm)
荷主がAEO輸入者かどうかを把握しておくことは、通関業従事者にとって非常に重要な情報です。荷主のAEO取得有無でリードタイムの案内が変わるからです。これは使えそうです。AEO制度の詳細は税関公式サイトで確認できます。
一般的な解説記事では触れられていないが、通関業従事者として荷主に伝えるべき重要な視点があります。それは「トランジットタイムは船会社が公表するスケジュール上の日数であり、実際のリードタイムとは別物」という認識の共有です。
船会社が提示するトランジットタイムは、あくまで港から港(Port to Port)の標準日数です。 これに対し荷主が求めるのは、工場や倉庫から顧客の手元に届くまでのドア・ツー・ドア(Door to Door)の所要日数です。この差には次の時間が含まれていません。 logiiiii.sc.funaisoken.co(https://logiiiii.sc.funaisoken.co.jp/terms/toranjit-time/)
itaku-unso.co(https://www.itaku-unso.co.jp/news/3951/)
たとえば「上海→大阪のトランジットタイム2日」という情報を鵜呑みにした荷主が「2日で届く」と顧客に伝えてしまった場合、実際には通関・デバン・配送を含めると最短でも5〜7営業日かかることがほとんどです。この認識ギャップがクレームや損害賠償の原因になります。数字を正確に伝えることが原則です。
通関業従事者として荷主に「スケジュール上のトランジットタイム」と「実際のリードタイム」を書面で明確に分けて提示する習慣をつけると、トラブルの件数を大きく減らせます。実際にNACCSを使った申告から許可までの平均時間も数値で示してあげることが信頼構築につながります。 mof.go(https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/facilitation/ka20240626.htm)
NACCSを活用した通関手続きの効率化については、以下のページが参考になります。
通関手続きが遅延する具体的な原因と対策については、以下も参考にしてください。