仮陸揚届を出し忘れると期間内に輸入貨物扱いされます
仮陸揚げとは、船荷証券等の陸揚港が日本となっていない外国貨物を、船積みや荷繰りの都合、遭難などやむを得ない事故により本来の陸揚地以外の場所に陸揚げすることです。関税法第21条に基づく正式な税関手続きとして規定されています。
参考)https://www.jneurosci.org/lookup/doi/10.1523/JNEUROSCI.1374-24.2024
NACCSシステムで仮陸揚届を提出する際は、AWB情報登録(一般貨物)またはHAWB情報登録(混載貨物)の際に、届出の旨を併せて登録します。一般仮陸揚貨物の場合、AWB情報と貨物確認情報がAWB番号、個数、重量で突合した時点で受理されます。つまり、情報が一致すれば自動的に処理されるということですね。
混載貨物の場合も同様の突合処理が行われ、HAWB情報と混載貨物確認情報が突合すれば届出が受理されます。ULDに収容された貨物については、AWB情報が登録された時点で受理される点が特徴的です。
仮陸揚期間が経過する前に、税関様式C第2120号「外国貨物の仮陸揚届」を使用して延長申出を行う必要があります。表題を「外国貨物の仮陸揚期間延長申出」と訂正し、AWB番号、延長期間、延長理由を記入して税関監視担当部門に2通提出します。
汎用申請業務(業務コード:HYS)を利用してNACCS上で提出することも可能です。この電子的な申請方法は、書面作成の手間を省ける点でメリットがあります。
延長が認められなかった場合、やむを得ない事由で貨物の蔵置を続けるには貨物種別を仮陸揚貨物から輸入貨物に変更する必要があります。この場合は「NACCS登録情報変更申出」にAWB番号、訂正内容、事由を記入して税関に提出します。期間内に輸入貨物扱いされると、本来不要だった輸入通関手続きが発生する可能性があります。
原則として仮陸揚届により陸揚げした外国貨物を船荷証券記載の仕向地へ向けて出港する外国貿易船等に積み込む場合、仮陸揚届の提出だけで積込みとして取り扱われます。税関手続きの簡易化という見地からの措置です。
参考)仮陸揚げ貨物について
しかし外国為替及び外国貿易法48条1項により経済産業大臣の輸出許可を受けなければならない貨物については、まず経産大臣の輸出許可を受け、次に税関長に積戻し申告をして積戻しの許可を受ける必要があります。
この二段階の手続きが必要ということですね。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/f6621f8f6e6ef9adb77c63f18a38b953c69709a3
具体的には戦略物資や規制対象品目が該当し、この例外を知らずに仮陸揚届だけで済ませると法令違反となるリスクがあります。通関業務従事者として、貨物の品目が外為法の規制対象かどうかを事前に確認する習慣が重要です。
登録された仮陸揚届出情報を他の仮陸揚届出情報へ変更する場合は、突合済みの輸入貨物情報の訂正手続きに従います。システム上で変更できない場合は「NACCS登録情報変更申出」を作成し、AWB番号、訂正内容、事由を記入して税関に提出します。
到着地空港揚として登録した輸入貨物情報を仮陸揚貨物情報に変更する場合は、この手続きに加えて税関様式C第2120号「外国貨物の仮陸揚届」を税関監視担当部門に提出する必要があります。
二重の手続きが必要な点に注意が必要です。
反対に仮陸揚貨物から一般輸入貨物への変更が必要な場合も、システムで提出した仮陸揚届を取消す行為に相当するため「NACCS登録情報変更申出」の提出が必須となります。貨物種別の変更は単なる訂正ではなく、税関手続き全体に影響を与えるため慎重な対応が求められます。
取卸空港以外の空港で外国貿易機に搭載するため保税運送申告を行う場合、運送先がシステム内空港であれば「保税運送申告(一括)」業務(業務コード:GOL01)を利用します。承認後は「保税運送承認通知情報(仮陸揚貨物)」に基づいて搬出し、運送先保税地域への搬入時は「一括搬入確認登録」業務(業務コード:BIL01)で搬入確認情報を登録します。
運送先がシステム外空港の場合は、税関様式C第2120号「外国貨物の仮陸揚届(運送兼用)」2通を作成し、裏面に運送先空港名を記入して税関に提出します。搬出時は「搬出確認登録(AWB・HAWB単位)」業務(業務コード:EXA01)で搬出区分欄に「T」(保税運送(仮陸揚貨物))を入力します。
同一税関空港内で他の航空会社保税蔵置場へ移動する場合は保税運送手続きが不要です。関税法基本通達63-3により、空港内の着陸帯、誘導路、エプロン、格納庫の占める地域内での移動は簡素化されています。この場合は搬出区分欄に「2」(トランスファー)を入力して搬出確認情報を登録するだけで済みます。
NACCS実施要領の航空貨物仮陸揚手続き詳細
航空貨物の仮陸揚げに関する各種業務コードと入力項目、システム処理の詳細が記載されています。
税関対応専門の弁護士による仮陸揚げ貨物の解説
通関士資格を持つ弁護士による、関税法上の仮陸揚げ制度の法的な解釈と実務上の注意点がまとめられています。