衛生証明書輸出の申請方法と種類や発行機関の選び方

食品を輸出する際に必要な衛生証明書について、発行機関の違いや申請手続き、国別の要件を詳しく解説します。通関でのトラブルを避けるために、あなたが知っておくべき重要なポイントとは?

衛生証明書輸出の基礎知識

実は衛生証明書を添付しても通関できない国があります

衛生証明書輸出の3つのポイント
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発行機関は2系統ある

農林水産省系統と保健所系統で証明内容と認められる国が異なる

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国別に要件が大きく違う

中国は施設登録が必須、トルコは複数の証明書が必要になる場合も

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書類不備は高額損失に直結

差し戻しで往復送料・保管料・商品劣化による損失が発生する

衛生証明書輸出で通関業務従事者が知るべき発行機関の違い

衛生証明書の発行機関は大きく分けて2つあります。農林水産省系統の機関と、都道府県の保健所です。

農林水産省が発行する衛生証明書は、輸出促進法に基づくもので、中国本土やEUなど多くの国で公式に認められています。一方、保健所が発行する衛生証明書は、食品衛生法に基づくものです。


参考)食品輸出に必要な書類、証明書の準備について


どちらを選ぶかは輸出先国によります。
同じ国でも品目によって要件が異なるケースがあります。たとえば台湾向けでは、活貝類以外の貝類に衛生証明書が必要ですが、その他の水産食品では不要な場合もあります。


参考)アジア


国と品目の組み合わせで確認が必須です。
保健所での証明書発行には手数料がかかります。大分県では400円、宮城県では870円です。民間検査機関の場合、衛生証明書発行手数料は7,100円程度になります。


参考)衛生証明書発行申請 - 大分県ホームページ


発行機関を間違えると通関できません。輸出前に農林水産省のウェブサイトで国別・品目別の要件を必ず確認してください。


参考)https://www.maff.go.jp/kinki/seisan/nousan/yusyutu/attach/pdf/yushutsupamph-189.pdf

農林水産省の証明書申請ページでは、国別・品目別に必要な証明書と発行機関を一覧で確認できます

衛生証明書輸出の申請方法と必要書類の準備手順

農林水産省系統の衛生証明書は、オンライン申請システムを使って申請できます。一元的な輸出証明書発給システムに登録すれば、24時間いつでも申請可能です。


参考)輸出水産食品に対する衛生証明書の発行


申請には製造施設の情報、輸出品目の詳細、輸出先国の情報などが必要です。


参考)食品の輸出証明書の発行について/大阪府(おおさかふ)ホームペ…


申請から発行までには数日かかります。
保健所での申請は、窓口持参、郵送、電子メールのいずれかで行えます。申請書提出先は、食品製造施設の所在地を管轄する保健所です。


再申請が必要になる場合もあります。出港日変更などで証明書の内容修正が必要なときは、簡潔な再申請理由を記載し、元の証明書を返却する必要があります。

この記載がないと優先審査の対象外です。
衛生証明書の様式は輸出先国によって異なります。各国政府から厚生労働省に送付された様式がある場合は、それを使用する必要があります。


参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou12/09.html

輸出実績がない国への輸出では、輸出先国政府との協議が事前に必要です。荷送人を通じて輸出希望の旨を輸出先国政府に伝え、駐日外国公館経由で厚生労働省に連絡するよう依頼します。

衛生証明書輸出で国別に異なる要件と注意点

中国本土への輸出では、日本の農林水産省が発行する衛生証明書が必要です。さらに輸出施設が中国政府に登録されている必要があり、この登録には時間がかかります。

施設登録なしでは輸出できません。
トルコ向け輸出では、独特の課題があります。トルコ政府は「人体に影響を与えない」旨の証明書を求めますが、日本の保健所にはこの形式の衛生証明書が定められていません。


参考)トルコへの食品輸出における実務上の課題と注意点(2)日本で発…


過去の通関実績から、保健所の衛生証明書で対応するケースもありますが、リスクが伴います。合意された書式がないため、どのような指摘がされるか予想がつきにくいからです。

自由販売証明書との併用が安全です。
自由販売証明書は出荷前にのみ入手可能で、衛生証明書での通関トラブル発生後に事後的に対応することはできません。


参考)トルコへの食品輸出 実務上の課題と注意点〔前編〕 −「人体に…


福島、茨城、栃木、群馬、千葉の5県産の食肉・家きん卵には、一部の輸出先国で放射性物質検査証明書が必要になります。4県(茨城、栃木、群馬、千葉)産の野菜、果物、牛乳には、輸出事業者証明書と放射性物質検査証明書が必要です。

EUへの混合食品輸出では、動物性加工済原料を使用する場合に特別な要件があります。現地輸出者を通じて該当国の機関に衛生証明書の発行を申請する必要があります。


参考)EUにおける新たな混合食品規制への対応について:農林水産省

衛生証明書輸出の書類不備で発生するリスクと対策

日本から輸出された動物が、輸出先の国で書類不備により輸入できず返送された場合、日本への再輸入時にも届出が必要です。しかし積み戻りの動物には衛生証明書の取得が困難で、輸入できないケースがほとんどです。


参考)https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou12/16.html

つまり商品が宙に浮きます。
通関できない場合、差し戻しによる往復送料、現地での保管料、商品の劣化による損失が発生します。食品の場合、往復輸送で1週間以上かかることもあり、生鮮品は商品価値がゼロになります。


衛生証明書の記載ミスも深刻な問題です。出港日、数量、ロット番号などの記載が実際の貨物と異なる場合、通関で止められます。


修正には再申請が必要です。
検疫所窓口で届出受理証が交付されない限り、税関での通関ができません。届出をせずに違法に持ち込んだ場合や、虚偽の届出により通関しようとしたときは、50万円以下の罰金が科されます。

差し戻しリスクを下げるには、事前確認が効果的です。輸出前に到着予定海空港の検疫所窓口に相談すれば、書類の不足や不備を指摘してもらえます。

農林水産省の証明書一覧PDFでは、国別・品目別に必要な証明書を早見表形式で確認できます

衛生証明書輸出でよくある誤解と実務での対処法

「衛生証明書があればどの国にも輸出できる」という思い込みは危険です。実際には国によって衛生証明書が不要なケースもあります。

インドネシア向け水産動物で、外交目的で輸入されるものは衛生証明書の添付が不要です。

目的によって要件が変わります。
「保健所の衛生証明書なら安心」という考えも注意が必要です。トルコの事例のように、保健所の証明書では通関リスクがある国もあります。

食品衛生のみの証明が必要な場合と、食品衛生及び動物衛生の両方の証明が必要な場合があります。輸出する品目やその加工処理方法によって異なるため、品目ごとの確認が不可欠です。

加工度合いで証明内容が変わります。
「施設認定は一度取れば永久に有効」というのも誤解です。施設の名称や住所が変更になった場合、厚生労働省への連絡が必要です。特に齧歯目動物の保管施設では、施設情報の変更報告が義務付けられています。

実務では、輸入業者から過去に使用した書類サンプルを提示されることがあります。このサンプル通りの証明書を入手しようとすると、日本の保健所で発行できないケースもあります。

ビジネスが安定するまでは、自由販売証明書と衛生証明書の両方を用意しておくことが推奨されます。両書類を準備しておけば、通関時のトラブルに柔軟に対応できます。