中国からのリチウムイオン電池輸入依存度は76.8%で、5年前の55.0%から急拡大しています。
参考)2026年 トランプ関税による日本の太陽光・蓄電池産業におけ…
再生可能エネルギーとは、太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなど、自然界に存在するエネルギーから生み出される電力のことです。化石燃料と異なり、使ってもまた自然の力で補給される特徴があります。
参考)301 Moved Permanently
通関業務では、これらのエネルギーを生み出す機器の輸出入を扱います。太陽光パネルのHSコードは通常854140で分類され、国によっては再生可能エネルギーの取り組みとして関税が免除されたり低い税率が適用される場合があります。リチウムイオン電池はHSコード8507.60で分類されます。
参考)中国からのソーラーパネルの輸入と輸送に関するガイド
日本の関税率表は5,611号で構成されており、HSコードに基づいて関税率が決定されます。経済連携協定(EPA)を適用する際も、HSコードによって原産地規則や関税率が規定されるため、正確な理解が不可欠です。
つまり分類が正確かどうかで、通関コストが変わるということですね。
再生可能エネルギー機器の輸入には、いくつかの実務的メリットがあります。
まず、多くの国で環境政策の一環として関税優遇措置が設けられています。中国では2009年から、再生可能エネルギー関連の輸入機器について付加価値税や関税を免除する措置を実施してきました。この措置の目的は外国からの投資促進と産業技術の向上です。
参考)https://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/15j033.pdf
日本でも2023年度の総発電電力量に占める自然エネルギーの割合は約26%に達し、2010年度の約10%から大きく成長しました。この市場拡大は、通関業務の案件増加につながっています。太陽光と風力を合わせた変動性再生可能エネルギー(VRE)の比率も12%を超えています。
参考)再生可能エネルギー(自然エネルギー)の種類一覧とそれぞれの特…
EPA(経済連携協定)を活用すれば、さらなる関税削減も可能です。発効している国との間で、EPA税率が通常適用されるMFN税率より低くなっていることを確認すれば、輸入コストを抑えられます。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/trade_policy/epa/process/index.html
市場が成長中ということですね。
再生可能エネルギー機器の輸入には、通関業務に直接影響するデメリットも存在します。
最大の課題は価格変動と納期の不安定性です。2026年にトランプ政権が関税強化策を実施した影響により、海外製太陽光パネルや蓄電池の価格上昇・納期遅延が顕在化しています。これを受けて自治体では調達方針の見直しが進み、国産機器の優先採用へと転換する動きが広がっています。
参考)【第2回】再選トランプ政権の関税政策とエネルギー分野への波紋…
通関担当者は、こうした政策変更に即座に対応する必要があります。関税率の変更は輸入申告額に直結するため、最新情報の確認が必須です。
また、補助金をめぐる国際紛争も注意が必要です。2013年には中国がEU域内の再生エネルギー関連措置をWTO違反の可能性ありとして協議要請し、EUも中国産太陽光パネルの違反補助金調査を開始するなど、貿易摩擦が生じました。このような紛争は相殺関税の導入につながり、通関実務を複雑化させます。
参考)再生可能エネルギーは貿易戦争の新たな具へ – …
輸入依存度の高さも見逃せません。日本はリチウムイオン電池の輸入において、中国が占める割合が金額ベースで76.8%に達し、5年前の55.0%から急拡大しています。一国への依存度が高いと、その国の政策変更や災害時に通関業務が滞るリスクが高まります。
政策リスクが大きいですね。
環境面では、再生可能エネルギーは二酸化炭素の排出量を削減できる最大のメリットがあります。化石燃料の燃焼時に発生するSO2(二酸化硫黄)やNOx(窒素酸化物)を排出しないため、酸性雨の防止にもつながります。
参考)再生可能エネルギーのメリット・デメリットとは?分かりやすく解…
経済面では、エネルギー自給率の向上が挙げられます。化石燃料の輸入依存から脱却できれば、貿易収支の改善にも寄与します。大和総研の報告書では、原発活用の度合いが国際収支に及ぼす影響について、2023年度の貿易赤字額3.6兆円を上回る規模になると指摘しています。
参考)貿易収支「赤字体質」の対策として「原発の最大限の活用を」 &…
また、再生可能エネルギーは資源が枯渇しないため、永続的に利用できるという利点もあります。石油や石炭のような化石燃料は有限ですが、太陽光や風、水は自然の力で常に補給されます。
通関業務の視点では、環境関連物品・技術の補助金には特別な通商ルールが適用される可能性があります。ジュネーブを拠点とするシンクタンクICTSDは、再生可能エネルギー分野についてはローカルコンテンツ(国産品優遇)を認めることが産業育成とイノベーションに寄与するとして、保護主義をルールとして認めるような提言を行っています。
自給率向上が目標です。
再生可能エネルギーは化石燃料と比較して発電コストが高いという課題があります。単位面積あたりで発電できる量が少なく、発電所を設置できる広大な土地を必要とするためです。
参考)再生可能エネルギーを利用するメリットとデメリットを解説 - …
発電効率の面でも課題があります。従来の発電方法に比べて発電効率が低いため、設備に広大な土地やコストが必要です。ただし、水力発電は変換効率が高く、風力発電も約40%の変換効率を誇ります。太陽熱利用システムに至っては約50~60%もの発熱効率があります。
参考)太陽光発電だけじゃない!様々な再エネ利用法を徹底調査!
地理的制約も見逃せません。日本は国土の約75%を山地が占め、太陽光や風力発電に適した平地が少ないため、造成コストがかさみます。また地震や台風が頻発するため、より頑丈な設備が必要となり、建設コストやメンテナンス費用が上昇します。
参考)今さら聞けない!再生可能エネルギーに関する最重要な30のFA…
通関業務では、これらのコスト要因が輸入価格に反映されます。CIF価格(運賃・保険料込み価格)の算定時に、機器の頑丈さや特殊仕様が価格を押し上げる要因として現れます。
輸入申告時の価格検証が重要です。
再生可能エネルギー市場は今後も拡大が見込まれ、通関業務の需要も増加します。
2026年のトランプ関税により、既存のシリコン系太陽電池やリン酸鉄リチウムイオン(LFP)電池から、日本が技術的優位性を持つ次世代技術(ペロブスカイト太陽電池やナトリウムイオン電池)への技術的飛躍が加速する可能性があります。これは通関業務においても、新しい品目分類や原産地証明の知識が求められることを意味します。
バイデン政権のインフレ抑制法(IRA)は、グリーン産業政策における世界的なベンチマークとなっています。IRAは関税による「罰」ではなく、税額控除という「報酬」を通じて、クリーンエネルギーの国内製造と導入を促進する需要牽引型の政策です。再生可能エネルギー発電に対する税額控除や、クリーン水素の生産量に応じた税額控除、太陽光・風力発電用部品等の国内生産・販売量に応じた税額控除などがあります。
参考)https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2025/2025honbun/i2130000.html
日本の通関担当者は、こうした海外の政策動向を常に把握し、輸入者にアドバイスできる知識が求められます。
どういうことでしょうか?
具体的には、EPA原産地証明書の作成時に、どの国で製造された部品が使われているかを正確に確認する必要があります。中国依存度が高い現状では、サプライチェーンの多様化に伴い、複数国を経由した製品の原産地判定が複雑化するためです。
通商白書2025年版では、環境物品サービスWGにおいて、環境物品サービスの貿易が気候変動への適応と緩和をどのように支援できるかについて、特に再生可能エネルギー分野(太陽光、風力、水力、グリーン水素など)で議論されています。
国際的な議論を追うことが大切です。
通関業務従事者にとって、再生可能エネルギー分野の知識習得は、キャリアアップの機会となります。環境関連の専門性は、今後の貿易実務で大きな武器になります。