BAF貿易とは|通関業務の計算方法と申告の注意点

海上運賃のBAF(燃料費調整係数)は通関業務で必須の知識です。計算方法や税関申告での取扱い、輸入価格への影響を正確に把握していますか?この記事でBAFの仕組みと実務上の注意点を詳しく解説します。

BAF貿易の基礎と通関実務

CIF条件での輸入でもBAFは課税価格に加算されます。


この記事のポイント
BAFの定義と役割

燃料価格の変動に応じた調整料金で海上運賃に加算される追加費用

📊
計算方法の理解

コンテナ単位やトン単位で算出され航路ごとに料率が異なる仕組み

🏛️
通関申告の取扱い

関税法第30条により課税価格に含める必要がある運送関連費用

BAF貿易の定義と燃料費調整の仕組み

BAF(Bunker Adjustment Factor)は、船舶燃料である重油の価格変動に対応して調整される割増運賃です。1973年の第一次オイルショックを契機に、EU・豪州航路から導入されました。


参考)BAF、CAFの意味と海上運賃の構成要素:日本


燃料価格は国際市場で日々変動します。船会社にとって燃料費は運航コストの大きな部分を占めるため、この変動リスクを基本運賃とは別に調整する必要があるのです。


参考)海上輸送サーチャージについて (BAF・CAF・PCS編)

基本運賃とBAFを分離することで、船会社は燃料価格の急騰時にも事業を継続できます。つまり財務リスクの一部を荷主側に転嫁する仕組みですね。


参考)https://hongocean.com/ja/bunker-adjustment-factor/

航路や船会社によって、BS(Bunker Surcharge)、EBS(Emergency Bunker Surcharge)、FAF(Fuel Adjustment Factor)など異なる名称が使われることもあります。


いずれも燃料費調整という本質は同じです。



参考)https://www.buturyu.net/blog/abc/baf/


最近では環境規制への対応として、NOx Emission Surcharge、Carbon Tax Surcharge、Low Sulphur Fuel Surchargeといった追加的な割増料金が適用されるケースも増えています。これらもBAFの一環として位置づけられることが多いです。


BAF貿易における計算方法とコンテナ単位

BAFの計算式は「燃料価格×貿易係数」で表されます。燃料価格は世界中の主要な燃料油港のコストを平均して決定されます。


参考)バンカー調整係数 (BAF): 平均と計算式


貿易係数には、航路、船舶の方向、距離、輸送時間、貨物の重量、コンテナのサイズ、船舶の設計、燃費などの要素が含まれます。船会社によって計算方法が異なるため、具体的なBAF金額は運送業者ごとに差があります。

一般的にBAFはコンテナ単位(TEUあたり)またはトン単位で料金が設定されます。例えば20フィートコンテナ(1TEU)でUSD20.00といった形式です。


参考)https://www.tcl.jp/wp-content/uploads/pdf/im-surcharge-asia_001.pdf


韓国航路の例では、2022年11月時点でBAFがUSD20.00/RTという料率が適用されていました。RTはRevenue Ton(容積トンまたは重量トンのうち大きい方)を意味します。

この金額は定期的に見直されます。原油価格が上昇すればBAFも高くなり、下降すれば低くなるということですね。燃料価格2万円上昇するごとに調整金2,500円を加算するといった段階的な仕組みを採用している事業者もあります。


参考)BAF « Japan Import Busin…


BAF貿易の通関申告における課税価格への影響

輸入申告時の課税価格算定において、BAFは重要な要素です。関税法第30条第1項により、「実際に支払われた又は支払われるべき価格」に「輸入港までの運賃等」を加算して課税価格を決定します。


参考)CIF 조건 수입 시 BAF 과세 관련 안내

CIF条件(Cost, Insurance and Freight)で輸入する場合でも、BAFは課税価格に含める必要があります。これは多くの通関業務従事者が見落としがちなポイントです。


参考)대문관세법인 공식블로그 : 네이버 블로그


なぜならCIF条件では運賃・保険料込みの価格が提示されるため、BAFも当然含まれていると思い込みやすいからです。しかし実務上、BAFは船会社から別途請求されることが多く、インボイス価格に含まれていないケースがあります。


Arrival Notice(到着通知書)に記載されているBAF、CAF(為替調整料)、THC(ターミナル取扱料)などの費用のうち、日本の港に到着するまでにかかった費用は課税価格に加算する必要があります。BAFはこの「到着までの費用」に該当します。


参考)https://www.ayasato-boueki.com/2020/02/declared-price.html

過少申告を避けるには、フォワーダーから発行される運賃明細書を確認し、該当項目を正確に把握することが不可欠です。税関の審査で追加課税されるリスクを回避できます。


参考)https://www.a-ha.io/questions/4fb45a8b957c2ffcb39b63dd502fa72b

BAF貿易のインボイス記載と証憑書類の準備

通関申告には正確な証憑書類が必要です。課税価格を算出するためには、インボイス(商業送り状)、保険料明細、運賃明細の3種類が基本となります。

インボイスにはFOB、C&F、CIFなどの建値(インコタームズ)が必ず記載されている必要があります。建値がない場合、通関業者から問い合わせが入ります。

運賃関連では、基本運賃(Base Rate/Ocean Freight)に加えて、BAF、CAF、その他サーチャージの金額が明細として提示されます。輸送会社によっては、これらすべてを含めたパッケージ金額を提示する場合もあれば、各料金を個別に設定している場合もあります。

BAFとCAFは代表的な運送部帯費用として、実務上ほぼすべての海上輸送で直接的または間接的に課されます。船会社が運賃体系を構成する際に、これらを含む形で運賃を設定するか否かで表示方法が変わるだけです。

証憑書類を準備する際は、運賃明細書からBAFの金額を確認し、それが課税価格に正しく反映されているかチェックしましょう。税関審査でBAF費用の証明を求められた場合に、即座に対応できる体制が必要です。

BAF貿易と他のサーチャージの関係性

海上運賃の構造を理解するには、BAF以外のサーチャージも把握しておく必要があります。


主なサーチャージには以下があります。


  • CAF(Currency Adjustment Factor):為替レート変動に対する調整料金
  • PCS(Peak Season Surcharge):貨物量が激増する繁忙期の割増料金
  • Congestion Surcharge:港湾混雑による滞船が長期化する場合の割増料金
  • THC(Terminal Handling Charge):ターミナルでの荷役料
  • YAS(Yen Appreciation Surcharge):円高損失補填金

これらの料金は基本運賃に上乗せされます。BAFが燃料価格に連動するのに対し、CAFは為替レート、PCSは季節的要因に連動するという違いがありますね。


参考)海上運賃計算方法(海上コンテナ輸送の計算目安表)

通関業務では、これらのうち「輸入港到着までに発生した費用」を課税価格に含めます。一方、THCのように輸入港での荷役作業に関する費用は課税価格に含めません。

BAFとCAFは特に混同しやすいですが、BAFは燃料費、CAFは為替差損益の調整という明確な区別があります。両者とも基準値と実際の価格との差を埋めるための追加料金という点では共通しています。


参考)サーチャージ重要用語 - Best Shipping

サーチャージの種類と性質を正確に理解することで、適切な課税価格の算定が可能になります。誤った分類は過少申告や過大申告につながるため注意が必要です。


<参考リンク>
JETRO(日本貿易振興機構)のBAF・CAFに関する公式解説
BAF、CAFの意味と海上運賃の構成要素:日本
関税法に基づくCIF条件でのBAF課税に関する詳細説明
CIF 조건 수입 시 BAF 과세 관련 안내