実は前T/Tで全額支払っても商品が届かない事例が3割超えという調査データがあります。
T/Tは「Telegraphic Transfer」の略で、電信送金を意味します。貿易取引における代金決済方法の一つで、銀行間で電信を使って送金指図を行う方式です。
参考)Portrich
国内取引でいう銀行振込と同じような感覚ですが、国際送金では送金銀行→中継銀行(コルレスバンク)→受取銀行の3つの銀行を経由します。SWIFTという国際銀行間通信協会のネットワークを介して送金が実行されるため、迅速な決済が可能です。
参考)https://worldtrade-planning.com/blog6/
T/T remittanceとも呼ばれ、現在の国際貿易で最も多く利用されている決済方法です。通関業務従事者にとっては、輸入申告の際に決済条件を確認する上で頻繁に目にする用語ですね。
貿易決済には主にT/T送金、L/C(信用状)、D/P・D/A(代金取立)があります。
参考)貿易LCと貿易TTの意味とは? - 起業の「わからない」を「…
T/T送金は手続きが簡単でスピーディーですが、銀行の支払保証がありません。一方、L/C決済は銀行が支払いを保証するため安全性が高いものの、書類作成や条件変更の手続きが煩雑で手数料も高額です。
参考)https://www.semanticscholar.org/paper/d23a949bea58218fffad4a1c69db8769cece9cc1
D/P(Documents against Payment)は船荷証券と引き換えに支払う方式、D/A(Documents against Acceptance)は手形を引き受けて後日支払う方式です。D/PはT/T送金より輸出者にとって安心ですが、L/Cほどの保証はありません。
参考)タオル貿易 T/T,L/C,D/A,D/Pの意味を知る/ 驚…
比較すると、T/T送金は手数料と手続きの面で最も効率的ですが、取引相手への信用リスクが最も高い決済方法ということです。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/world/d-globalbusiness-250512-2.php
T/T送金の手続きは銀行の外為サービス窓口で行います。外国送金依頼書兼告知書を記入し、インボイスまたはプロフォーマインボイス、契約書など取引内容が確認できる書類を提出する必要があります。
マネーロンダリング防止やテロ資金供与防止のため、銀行から送金目的や取引内容について詳しくヒアリングされることがあります。合法な送金であることを証明する書類の提示は必須です。
最近ではインターネットバンキングでも外国送金が可能ですが、送金に必要な情報が複雑なため、慣れるまでは窓口での手続きをおすすめします。送金には通常1〜3営業日かかり、国や銀行によって異なります。
T/T送金には前払い(T/T remittance in advance)と後払い(T/T remittance ○ days after B/L date)があります。
前払い方式は輸出者に有利ですが、輸入者は商品が届かないリスクを負います。逆に後払い方式は輸入者に有利ですが、輸出者は代金回収できないリスクがあります。
参考)T/T、L/C、D/Pリスクの比較:中小企業の選択に関する提…
実務では契約時に30%をデポジット(頭金)として前払いし、船積後15日以内に残り70%のバランス(残金)を支払うなど、支払いを分割するのが一般的です。このように分割することで、輸出者・輸入者双方がリスクを分担します。
参考)가디언관세사무소 칼럼
割合とタイミングは取引の初期段階でしっかり交渉して決めておく必要があります。後から変更するのは困難ですので、最初が肝心ですね。
T/T送金の最大のリスクは信用リスクです。前払いで代金を送ったのに商品が届かない、または想定と異なる商品が届くケースが実際にあります。
このリスクを軽減する方法として、B/L(船荷証券)の権利証券性を活用します。B/Lの原本を持つ者だけが目的地で貨物を引き取れるため、輸出者は残金を受け取るまでB/L原本を渡さず、または船会社に引渡し指示(サレンダー)をしないことで商品の引渡しをコントロールできます。
具体的には、船積後にB/Lのコピーを送って船積事実を通知し、残金の入金確認後にB/L原本を送付またはサレンダーする流れです。もし輸入者が期限までに残金を送金しない場合、輸出者はフォワーダーに指示して貨物を回収または現地で別の買い手を探すこともできます。
運送日数を15日以上かかる船便にすることで、B/L発行後15日以内の支払い条件でも輸出者は十分な猶予を持てるわけです。
T/T送金では複数の手数料が発生します。外国送金手数料(振込手数料に相当)、リフティングチャージ(円貨建て送金時の手数料)、為替手数料(両替時に為替レートに含まれる)が国内で発生します。
国外ではコルレスチャージ(中継銀行の手数料)と受取手数料が発生します。コルレスチャージは中継する銀行が多いほど高額になり、通貨によっても変動するため事前に正確な金額を把握しにくいのが特徴です。
手数料負担の原則は、国内で発生する手数料は送金人(輸入者)が負担し、国外で発生する手数料は受取人(輸出者)が負担するのが一般的です。受取人の口座には手数料を控除した金額で着金することになります。
L/C決済ほどではないものの、3つの銀行を経由するため、他の国内送金より手数料は高額になります。
通関業務では輸入申告時に決済方法を確認する必要があります。T/T送金の場合、前払いか後払いか、支払済みか未払いかによって通関のタイミングが変わることがあります。
前T/Tで全額支払済みなら通関手続きはスムーズですが、後T/Tで未払いの場合、B/L原本が荷受人に渡っていない可能性があります。この場合、輸出者からのサレンダー確認またはB/L原本の到着を待って貨物引取りとなります。
決済条件が「T/T 30 days after B/L date」といった表記の場合、B/L発行日から30日後の支払いを意味します。通関士は輸入者に支払期限を確認し、期限内に送金されているかチェックすることが重要です。
また、外国為替および外国貿易法の観点から、特定の国や品目については送金時に経済産業大臣の許可が必要な場合があります。通関業務従事者は法規制も意識しておく必要がありますね。
取引金額や相手との信頼関係によって、最適な決済方法は変わります。
初回取引や高額取引ではL/C決済が推奨されます。手数料は高いですが、銀行の支払保証があるため安全性が最も高い方法です。
継続取引で信頼関係がある場合はT/T送金が効率的です。
手続きが簡単で手数料も抑えられます。
サンプル代金や少額決済には海外送金サービスやオンライン決済サービス(Paypalなど)も選択肢です。これらは手続きが簡便でスピーディーですが、送金額に上限がある場合があります。
近年はオンラインプラットフォームで取引相手の評判を確認できるようになり、T/T送金のリスクは以前より低下しています。とはいえ、最初の取引では慎重な判断が求められますね。