CIF契約なのにthcの二重請求で損しているかも
thcとは「Terminal Handling Charge(ターミナル・ハンドリング・チャージ)」の略称で、港やコンテナターミナルで発生する荷役作業や取り扱いに関する手数料のことです。主にコンテナ貨物の取り扱いを対象としており、ターミナル内での積み下ろしや移動、保管などの費用が含まれます。
参考)THC - 貿易用語集 - - 内外トランスライン株式会社
この費用は輸出時にも輸入時にも発生し、基本的にはターミナルを利用するたびに請求されます。
つまり輸出です。
参考)THC(ターミナル・ハンドリング・チャージ)とは?貿易実務に…
貨物が出発する港と到着する港の双方でthcがかかるのが一般的です。
thcの請求元は通常、船会社やフォワーダーですが、実際に作業を行うのは港湾作業を担うオペレーターやターミナル会社です。コンテナターミナル内で発生するコンテナの取扱費用の一部を荷主に負担させる付加料金として設定されています。
参考)貿易実務用語集 − T
通関業務従事者にとって、thcは輸入申告時の課税価格計算や運送関連費用の確認において重要な項目となります。thcをどの範囲で課税価格に含めるかは、契約条件や費用発生のタイミングによって判断が変わります。
参考)https://www.customs.go.jp/zeikan/seido/kanzeihyouka/hyokajirei/hyokajirei4111009.pdf
thcの負担者は貿易契約の条件によって大きく異なり、トラブルの原因になりやすい部分です。FOB契約では、輸出港のthcを輸出業者と輸入業者のどちらが負担すべきかという混乱が生じることがあります。
参考)第287号 THC(ターミナル・ハンドリング・チャージ)をめ…
CIF契約では、輸出港のthcは売主が負担し、輸入港のthcは買主が負担するのが一般的です。売主はFOBの費用に加えて海上運賃と海上保険料も負担し、買主は仕向港でのthc、輸入通関費、内陸輸送費などを負担します。
DDP契約の場合、輸出入港すべてのthcを売主が負担することになります。
契約に応じて一括精算されることが多いです。
thcの料金は港によって大きく異なり、運営効率や人件費などの違いにより料金が変動します。20フィートコンテナの場合は通常150~250ドル、40フィートコンテナの場合は250~400ドル程度が相場です。
参考)国際貿易におけるTHCとは - Ubest Shipping
冷凍コンテナなど特殊貨物では、追加の設備とメンテナンスが必要なため300~500ドルと料金が高くなります。通常の貨物と危険物や冷凍品などでは作業の複雑さが異なり、料金も異なります。
主要港では比較的高いthc料金が請求される傾向があり、上海やロサンゼルスなどの大規模港では高めの設定になっています。
thcをめぐる課題として、荷主が船社に支払ったthcと船社がターミナルオペレーターに支払った金額に差があり、二重請求になっているという指摘があります。40ftコンテナで5,300ペソを荷主が支払ったのに対し、船社がオペレーターに支払ったのは4,335ペソだったという事例も報告されています。
thcがその名称から港湾荷役費用の全てをカバーしているとみられているものの、港湾荷役の実作業をしている各国事業者は船社からその費用を受け取っていないという反対意見が強く、国際会議の場で毎年反対表明が行われています。
輸入貨物の課税価格を計算する際、通関業務従事者は輸入港におけるthcを運送に関連する費用として現実支払価格に加算する必要があるかどうかを判断しなければなりません。この判断には契約条件の詳細な確認が必要です。
thcのコスト管理では、運賃条項に「指数連動条項」を設定し、運賃がSCFI指数などに連動して変動する仕組みを採用することで、急激な市場変動のリスクを軽減できます。また、信頼できる船会社やフォワーダーとの長期契約により、thc料金の透明性を確保することも有効な手段です。
参考)不同贸易方式下THC费用(码头操作费)的承担方及核心风险分析…
通関業務従事者は、見積書や請求書でthcの内訳を詳細に確認し、契約条件と照らし合わせて負担範囲が適切かを検証する習慣をつけることが重要です。特にCIF契約では、売主負担のthcが海上運賃に含まれているかを明確にしておくことで、後のトラブルを防げます。
thc費用を削減するには、複数の港湾ターミナルや船会社から見積もりを取り、料金を比較検討することが基本です。港によってthc料金は大きく異なるため、中国の港では80~150ドル、米国の港では150~400ドルと地域差が顕著です。
参考)ターミナル取扱料金(THC)とは何ですか? いくらですか? …
コンテナの積載効率を高めることで、コンテナ1本あたりの単価を下げる工夫も有効です。20フィートコンテナを複数使うより、40フィートコンテナに集約する方がthcの総額を抑えられる場合があります。
長期契約や大量輸送の場合、船会社と交渉してthc料金の割引を引き出すことも可能です。年間の輸送量が一定以上あれば、固定料金での契約や段階的な割引制度を適用してもらえるケースがあります。
積み替えが発生する場合、thc料金は総運賃に含まれているため、積み替え港でのthc料金は貨物運送業者が負担します。したがって、直行便よりも積み替え便の方が荷主にとってthc負担が軽減される可能性があります。
通関業務従事者は、契約時にthcの負担範囲を明確に文書化し、後から追加請求が発生しないよう予防策を講じることが大切です。特にFOB契約では、輸出港のthcをどちらが負担するか事前に合意しておくことで、後のトラブルを回避できます。
thcはターミナル内での取り扱い費用ですが、貿易実務では他にも複数のチャージが発生します。thcと混同しやすいのがCFS(Container Freight Station)チャージで、これはLCL貨物をコンテナに詰める、あるいはコンテナから取り出す作業に関する費用です。
参考)海上運賃の見積もりがスラスラ読める!内訳・サーチャージ・略語…
thcがコンテナ単位で課金されるのに対し、CFS料金は貨物の容積や重量に応じて計算されることが多いです。この違いを理解しておくことで、見積書の内訳を正確に把握できます。
CHC(Container Handling Charge)という用語もthcとほぼ同義で使われることがありますが、船社や地域によって呼び方が異なるだけで、実質的な内容は同じです。
参考)CIF契約輸入におけるTHC費用配分とその留意点:日本
通関業務従事者にとって重要なのは、これらのチャージが課税価格にどう影響するかという点です。thcが輸入港で発生する場合、それが運送費の一部として課税価格に含まれるかどうかは、契約条件と費用の発生タイミングによって判断されます。
サーチャージと呼ばれる追加料金には、燃料サーチャージや為替変動サーチャージなど様々な種類がありますが、thcはこれらとは別に独立して課金される固定的な費用です。各チャージの性質を理解し、適切に分類することが正確な通関申告につながります。
参考リンク(ジェトロによるCIF契約輸入におけるTHC費用配分の詳細解説):
CIF契約輸入におけるTHC費用配分とその留意点:日本
参考リンク(税関によるターミナル・ハンドリング・チャージの課税価格算定の考え方):
船会社に支払う輸入港におけるターミナル・ハンドリング・チャージ