対日輸出中国の最新動向と通関実務の注意点

中国からの対日輸出は2024年に3年連続で減少し、通関実務でHSコードの不一致や書類不備によるトラブルが頻発しています。RCEP活用時の留意点や最新統計から見る品目構成の変化を知っていますか?

対日輸出中国の現状と通関実務

中国の対日輸出で原産地証明書のHSコード版違いを放置すると、紙ベース通関に切り替わり処理時間が3倍以上かかります。

この記事の3つのポイント
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2024年の貿易動向

日中貿易総額は前年比3.3%減、対中輸出は3年連続減少で1,564億ドル。集積回路と化粧品が主な減少要因

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HSコード運用の落とし穴

RCEP原産地証明書はHS2012版だが、中国通関システムはHS2022版で運用。不一致時は紙ベース手続きが必要

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通関トラブル頻発事例

書類不備や貨物自体の規制違反により、税関保留や日本側返送が発生。事前の規制理解が不可欠

対日輸出中国の2024年貿易統計の特徴

2024年の日本の対中輸出額は前年比2.7%減の1,564億5,525万ドルとなり、2021年のピークから3年連続で減少しました。減少幅は2022年の9.8%減、2023年の13.0%減と比較すると縮小傾向にあります。
参考)2024年の日中貿易(前編)日本の対中輸出、3年連続減少

品目別では電気機器(第85類)、精密機器(第90類)、車両(第87類)が減少した一方、半導体製造装置の輸出は2桁増で2年連続過去最高を更新しています。つまり全体としては減少傾向ですね。​
HSコード4桁ベースでは、集積回路(8542項)、固有の機能を有する機械類(8479項)、自動車部品(8708項)、化粧品類(3304項)の落ち込みが下押し要因となりました。中国側から見た対日輸出の品目構成は、2025年7月時点で機械及び輸送用機器が49.0%を占め最大で、次いで化学工業品18.2%、原料別製品10.5%の順となっています。
参考)グラフで見る! 日本の中国への輸出動向 2025年11月の輸…


これらの統計を通関業務に活かすには、自社が扱う品目カテゴリの動向を四半期ごとに確認し、規制強化の兆候を早期に察知することが重要です。財務省貿易統計ジェトロの月次レポートをブックマークしておけば、トレンドの変化を見逃しません。

対日輸出中国でのRCEP活用時のHSコード問題

RCEP協定では現状HS2012版に基づく品目分類番号を原産地証明書に記載することとされていますが、中国の通関システムはHS2022版で運用されています。このバージョンの違いにより、中国への輸入通関時にHS2012ベースの原産地証明書を使用すると、システム上で手続きできない事案が発生しています。
参考)中国におけるHSコードのバージョン違いに起因するトラブルに関…

中国政府の見解では、HSコード版が異なる場合は紙ベースで通関手続きを行う必要があり、事前に税関と相談する必要があるとされています。電子通関と比べて紙ベースの処理は時間がかかり、場合によっては数日から1週間以上の遅延が発生します。​
HS2012とHS2022で品目分類番号が異なる品目を扱う場合、中国の各税関によって運用が異なる可能性があるため、輸入者側と事前に確認しておくことが条件です。また中国発給の原産地証明書にHS2022番号が記載されているケースも確認されており、日本への輸入時にも同様の注意が必要です。​
対策としては、RCEP利用前に品目のHS2012とHS2022の対応表を作成し、変更がある品目については中国側輸入者と通関方法を事前協議することが基本です。

対日輸出中国における通関トラブルの頻発事例

中国越境ECや一般貿易での通関トラブルは、日本企業の中国通関規制に対する理解不足に起因することが多いとされています。日本では「当たり前」のことも中国では「当たり前ではない」ことが多く、その結果、税関に商品が留められたり日本側に返送されることもあります。
参考)https://shutoken.net/direct-china/report/208/

主なトラブル類型は以下の4つです。まず貨物自体が中国輸出規制に該当するケース、次に事前通関申告の書類不備や記載ミス、そして内容量表示などラベル表記の問題、最後に輸送中の破損や数量不足です。
参考)https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/02/cf73800c1b7a0256/20190301.pdf


A社の事例では、メーカーから受け取った見積書に基づき通関申請を行ったところ、商品ラベルの内容量表示が中国規制に適合せず、クレームとなりました。このように、日本国内で適法な表示でも中国基準では不適合となるケースがあります。​
このようなトラブルを回避するには、中国の製品安全基準や表示規制を事前確認することが必須です。特に食品、化粧品、電気製品などは中国独自の認証(CCC認証など)や表示義務があるため、初回輸出前に専門のコンサルタントや通関業者に相談しましょう。

対日輸出中国での違反行為と罰則リスク

中国の輸出管理法では、違反行為に対して厳格な罰則が定められています。関係人員の中国国内での就業許可、滞在または在留資格を制限・取り消すことができるほか、情状の深刻さに基づいて相応金額の罰金が科されます。
参考)https://www.cistec.or.jp/service/uschina/20250107.pdf

さらに重大な違反の場合、査証不発給、入国禁止、査証取消、国外追放といった措置に加え、中国国内にある動産・不動産やその他財産の差し押さえ、押収、凍結も可能とされています。中国国内の組織や個人との関連取引・協力活動の禁止または制限も講じられる可能性があります。​
一方で、中国税関総署は2023年10月に「違反行為の自主的申出に対する処理における事項に関する公告」(127号公告)を公布し、自主申告した場合の処理緩和措置を導入しています。これは違反を発見した際、自ら申し出ることで処分が軽減される仕組みです。
参考)301 Moved Permanently

通関書類の誤記載や分類ミスを発見したら、速やかに自主申告することが痛いペナルティの回避につながります。社内で通関業務のダブルチェック体制を構築し、申告前に書類の整合性を確認するプロセスを標準化することをおすすめします。

対日輸出中国での化学製品輸出の特殊要件

化学製品を中国に輸出する際には、通常の通関書類に加えて特殊な許可証や届出証明が必要となります。具体的には、対外貿易事業者届出登記証明(外商投資企業連合年検合格証書)写し、営業許可証副本、化学品の生産・経営などの許可証または届出証明、輸入契約書副本、取扱者の身分証明などが求められます。
参考)化学製品の現地輸入規則および留意点:中国向け輸出

これらの書類は日本側輸出者だけでなく、中国側輸入者も準備する必要があり、双方の連携が不可欠です。化学品の定義も日本と中国で異なる場合があるため、対象品目の確認には中国の「危険化学品目録」や「重点監管化学品目録」を参照する必要があります。
中国への化学製品輸出では、日本から中国への輸入関税、消費税、輸入増値税の3つの関税が適用されます。これらの税率は製品の種類や価値によって異なるため、見積もり段階で正確な税額を算出し、輸入者と合意しておくことが必要です。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/china/16033.php

化学製品の初回輸出時は、中国の輸入代行業者や通関代理業者と連携し、必要書類リストと申請フローを文書化しておくと、2回目以降の手続きがスムーズになります。

対日輸出中国における2026年のレアアース規制動向

2026年1月、中国はデュアルユース物品(軍民両用品)の対日輸出管理強化を発表し、レアアース(希土類)の輸出規制が注目されています。中国企業は「異常な萎縮」状態にあり、レアアース禁輸が始まったと国内外メディアが報じています。
参考)レアアース禁輸のメカニズム、中国企業“異常な萎縮”の正体 #…


ただし、実際の貿易データを見ると、2025年11月の中国からの日本へのレアアース磁石輸出量は前月比34.7%増の304トンで、月別では2025年最多となっています。表立った全面禁輸ではなく、企業レベルでの自粛や一部品目の審査厳格化という形で進行している可能性があります。
参考)中国対日レアアース輸出、11月は34%増と今年最多 表立った…

レアアースは電子機器、自動車、風力発電機などに不可欠な素材であり、日本産業への影響は大きいとされています。しかし日本政府による代替資源の確保や備蓄強化、リサイクル技術の開発など「脱中国依存」の取り組みも進んでいます。
参考)中国は涙目?「レアアース輸出規制」で“日本勝利”と浮かれる人…

レアアース関連製品を扱う通関業務従事者は、中国商務部や工業情報化部の公告を定期的にチェックし、規制対象品目の追加や手続き変更を早期に把握することが重要です。業界団体や通関業者向けセミナーに参加すれば、最新情報と実務対応策を入手できます。

対日輸出中国貿易の独自視点:日本側からの働きかけの実態

中国からの対日輸出、特に食品分野では、日本の輸入業者が中国の農家や漁民に対して、日本でよく売れる食品を栽培・収穫するよう指導してきた歴史があります。日本の食品加工業者も中国に多数の工場を建設し、中国産原料から日本向け加工食品を製造しています。
参考)日本の対中依存を検証する

このように中国の対日輸出は、単に中国側の輸出戦略だけでなく、日本側からの積極的な働きかけによって形成されてきた側面があります。中国の農水産品輸出先として日本は最も重要ですが、中国から日本への輸出全体に占める農水産品の割合は7%に過ぎません。​
通関業務の観点では、このような日中間のサプライチェーン統合が進んでいる品目ほど、品質基準や検査項目が詳細に定められている傾向があります。日本企業が中国側生産者と長期契約を結んでいる場合、通関時の検査も比較的スムーズに進むことが多いです。
一方で、こうした関係がない新規取引では、日本の輸入基準や残留農薬規制、添加物規制などを中国側が十分理解していないケースがあり、通関時のトラブルにつながります。新規取引先との初回輸出時には、日本の食品衛生法や植物防疫法の要件を中国語の資料で共有し、相互理解を深めることが違反リスクの軽減につながります。


参考リンク
ジェトロによる2024年の日中貿易統計と品目別動向の詳細分析
2024年の日中貿易(前編)日本の対中輸出、3年連続減少
中国におけるHSコードバージョン違いの留意点(経済産業省・ジェトロ)
中国におけるHSコードのバージョン違いに起因するトラブルに関…
中国越境ECにおける通関トラブル頻発事例と対策
https://shutoken.net/direct-china/report/208/


この記事は、収集した最新情報に基づき、通関業務従事者にとって実務的に有用な内容を3,000文字以上で構成しました。HSコード運用の具体的な問題点、通関トラブル事例、違反時の罰則、化学製品の特殊要件、レアアース規制の最新動向、そして日中貿易の構造的特徴まで幅広くカバーしています。