通関業務従事者に必要な実務知識を学べます。
T/T送金で先払いしても商品届かないケースがあります。
送金決済とは、売買契約書で取り決めた時期に輸入者が取引銀行を通して輸出者の口座へ外国送金をする方法です。基本的に国内の銀行振り込みと同じ仕組みで、代金決済と船積書類の動きが関連付けられていません。
参考)https://www.hokugin.co.jp/business/exchange/data/kgreport_2.pdf
現在の貿易取引では、送金決済が一番よく使われています。
これにはいくつかの理由があります。
参考)貿易代金決済の種類のうち送金決済の特徴 - 税金Lab税理士…
つまり送金決済が基本です。
特に電信送金(T/T: Telegraphic Transfer)は、銀行間の送金を電信扱いで行い、その日のうちに送金できるため最も多く使われる方法となっています。一方、郵便送金(M/T: Mail Transfer)は支払い指示を航空郵便で行うため日数がかかりますが、銀行手数料は割安です。
貿易における決済方法は、銀行が輸出者と輸入者との間に入って代金の立替えをするかどうかで大きく2つに分かれます。この違いが取引のリスクとコストに直結するため、通関業務従事者として理解しておく必要があります。
送金決済では、輸入者が送金金額と銀行手数料を取引銀行に支払い、電信送金を依頼します。外国送金依頼書には、送金金額、受取人の名前と住所、被仕向銀行の名前と住所などを記載します。最近では、送金依頼を輸入者の事務所のパソコンから仕向銀行にデータ送信するエレクトロニック・バンキングが便利です。
柔軟性が高いですね。
荷為替手形決済には、信用状付き(L/C決済)と信用状なし(D/A決済・D/P決済)の2種類があります。L/C決済は、輸出者が信用状条件に記載されている書類を銀行へ呈示することを条件に、銀行が輸入者に代わって商品代金の支払いを確約する決済方法です。銀行へ提出する書類が信用状の内容と相違があれば、支払いが行われない場合があります。
参考)輸出・貿易取引での決済方法、種類を徹底解説
信用状だからといって安心しきるのも危険で、書類が完璧にそろわないと決済が実行されず、揉めるケースがあります。支払い条件の交渉をおろそかにして、後から資金繰りや納期が狂うのはよくある失敗です。
安全だが手続きは複雑です。
外国送金取引の受付に際し、すべてのお客様に取引内容の詳細を確認できる書類の提示が必要です。これはマネー・ローンダリングおよびテロ資金供与対策のためであり、書類の提出や取引内容の詳細について説明できない場合は、手続きを断られることがあります。
参考)外国送金取引の受付に際し、取引内容の詳細を確認するための資料…
商品代金(輸入、物品の購入)の場合、請求書(INVOICE)、売買契約書、発注書、原産地証明書、運送書類などの提示が求められます。これらの書類は送金目的を証明するために不可欠で、通関業務従事者として事前に準備しておく必要があります。
参考)外国送金(仕向送金)には、どのような書類が必要...
特に注意が必要なのは、商流(船積書類に記載されている商品の流れ)と代金決済の流れが異なる場合です。これらの同一性を送金元銀行が確認できなかった結果、送金の根拠が明らかでないことから、手続きに支障が生じる場合があります。
参考)外国為替・送金規制の内容と注意点 - BUSINESS LA…
証明書類は確実に準備を。
実務での対応として、送金者は早めに専門家に相談し、銀行の担当部署責任者と面会するなどした上で、取引の全容(特に最終送金先との関係)を示す資料を用意することが重要です。これにより、送金が規制対象外であることを銀行に示すことができます。
みずほ銀行の外国送金取引に必要な書類一覧では、送金原資と送金目的ごとに必要な確認資料が詳細に示されており、事前確認の参考になります。
送金決済の場合、前払い送金(T/T remittance in advance)とするのか、後払い送金(T/T remittance at XX days after shipment)とするのかで、輸出者と輸入者のどちらが有利となるのかが大きく変わります。
参考)貿易取引における支払い方法と支払い時期の注意点
前払い送金(Cash in advance)では、全額前受け(T/T送金等)による場合には、輸出者側の回収リスクはありません。ただし、買い手が難色を示すことも考えられます。初めての取引の場合、輸入者にとって確実に商品を入手できるかどうかのリスクを負うことになります。
回収リスクゼロは魅力的です。
相手の信用確認が十分にできている場合(上場企業で財務状況が把握でき、担当者とも面識がある場合など)は前金決済の受入れも選択肢の一つになり得ますが、信用を確認できない輸出者の前払い要求をそのまま受けるのは、リスクが大きすぎます。
後払い送金の場合、輸出者は代金回収前に商品を出荷するため、代金回収のリスクを負います。一般論で言うと、取引の初期には商品を持っている輸出側が強いので先払いとなりやすく、取引を重ねて輸入側の信用が付いてくると、次第に支払時期が後ろに伸びていく傾向があります。
信用構築で条件が変化します。
実務上のリスク軽減策として、一部でも前受けすることで回収リスクの軽減となります。また、時には「前受金(相手からは、前払い金)返還保証状(リファンドメント・ボンド)」の差し入れを求められることもあります。
送金決済では為替レートの計算タイミングが重要です。為替レートは原則として、その日の電信売相場(TTS)と電信買相場(TTB)の仲値(TTM)で換算します。継続適用を条件に、前月末日・前週末日の為替レートや、前月平均・前週平均の為替レートで計算することも認められます。
参考)為替差益の計上タイミング - 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田…
為替差益の計上タイミングも税務上重要な論点です。外貨建売掛金が発生したときに円換算し、実際に外貨で受け取ったときに再度円換算して、その差額を為替差損益として認識します。税務上、発生時換算法の届出を行っている時は不要とされますが、通常は両方の時点での換算が必要です。
TTMで計算が基本です。
実務では、送金依頼の際に適用される為替レートを事前に確認し、契約書に記載された金額と実際の送金額に大きな差が出ないよう注意する必要があります。特に大口の送金や為替変動が激しい時期には、為替予約などのリスクヘッジ手段を検討することも有効です。
為替リスクには予約で対応。
税理士による為替差益の計上タイミング解説では、具体的な計算例とともに税務処理の詳細が説明されています。