人民元は2016年からSDR構成通貨になった。
国際通貨とは、国際取引の決済や各国の外貨準備に広く使われる通貨のことです。具体的には、貿易代金の支払いや金融取引で自由に利用できる「ハード・カレンシー」を指します。
参考)国際通貨 - Wikipedia
IMF(国際通貨基金)が定めるSDR(特別引出権)のバスケット通貨が、国際通貨の代表例です。SDRは国際準備資産として1969年に創設され、その価値は複数の主要通貨で構成されるバスケットに基づいて決まります。現在のSDR構成通貨は、米ドル、ユーロ、人民元、日本円、英ポンドの5通貨です。
参考)https://www.imf.org/ja/About/Factsheets/Sheets/2023/special-drawing-rights-sdr
これらは国際的な信用が高い通貨ですね。
通貨のバスケット採用には「輸出基準」と「自由利用可能基準」の2つの条件があり、5年ごとに見直されます。輸出基準では、その通貨を発行する国または通貨同盟の輸出額が世界上位であることが求められます。自由利用可能基準は、国際取引の支払いで広く使われ、主要な外国為替市場で広く取引されていることが条件です。
参考)https://www.imf.org/ja/News/Articles/2022/05/14/pr22153-imf-board-concludes-sdr-valuation-review
世界の外国為替市場では、米ドルが圧倒的な取引量を誇っています。2024年時点で、米ドルは国際準備通貨として最も多く保有され、その地位は揺るぎないものです。
参考)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC9871421/
主要な国際通貨の取引量順位は以下の通りです。
米ドルは1944年のブレトンウッズ協定以来、世界貿易の中心通貨として機能してきました。近年は中国経済の成長に伴い、人民元建ての貿易取引が増加傾向にあります。
参考)https://www.mdpi.com/1099-4300/25/2/373/pdf?version=1677080331
資源国通貨も重要な役割を果たします。
人民元がSDRバスケット通貨に採用されたのは2015年11月の理事会決定で、実際の適用開始は2016年10月1日でした。これは2010年の見直し時には「自由に国際取引できる通貨とは言えない」として見送られた経緯があります。
参考)人民元が主要通貨に~SDRバスケットに採用~
中国が金融制度改革を矢継ぎ早に実施したことで、前回は見送りに賛成した欧州各国も今回は支持に回りました。人民元の採用により、SDR構成通貨は従来の4通貨から5通貨に増えたことになります。
つまり比較的最近の変化です。
通関業務では、輸入申告の際に課税価格を円換算する必要があり、その際に使用する為替レートは税関長が公示するものです。この外国為替相場は、輸入申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の当該週間の平均値に基づいて毎週公示されています。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1406_jr.htm
具体的には、東京為替市場における銀行間の直物取引の中心相場を週間で平均し、その値が翌々週の換算レートになる仕組みです。たとえば4月1日~7日のレートが154.30円/ドル、4月8日~14日が157.22円/ドルの場合、上旬分レートは(154.30×7)÷10+(157.22×3)÷10=155.18円/ドルと計算されます。
参考)税関長公示レート
この計算方法を理解しておけば安心です。
人民元建て取引が増えている現在、通関業務従事者にとって人民元レートの動向把握も重要になっています。税関のウェブサイトでは、主要通貨の週間為替相場が定期的に更新・公示されているため、業務では常に最新の公示レートを確認する必要があります。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/kawase/index.htm
SDRの通貨バスケットは5年ごとに見直され、各通貨の比重が調整されます。2022年8月1日に発効した最新の比重では、米ドルと人民元の比重がやや大きくなり、それに伴い英ポンド、ユーロ、日本円の比重がいくぶん小さくなりました。
各通貨の具体的な比重は、国際貿易および金融における役割をもとに決定されています。IMF理事会は、輸出基準と自由利用可能基準が引き続き通貨のバスケット採用決定に関する指針であるべきと同意しています。
基準は明確に定められていますね。
通貨の比重変更は、世界経済のパワーバランスの変化を反映しています。米ドルの比重増加は、その国際準備通貨としての地位が依然として強固であることを示し、人民元の比重増加は中国経済の国際的影響力の拡大を表しています。
一方で、日本円の比重減少は、日本経済の国際的シェアの相対的な低下を反映している側面があります。通関業務では直接的な影響は限定的ですが、主要貿易相手国の通貨動向を把握する上で、SDRバスケットの構成比変化は一つの重要な指標となります。
通関業務では、輸入貨物の課税価格を円換算する際、取引通貨に応じた税関長公示レートを使用します。主要な取引通貨としては、米ドル、ユーロ、人民元、英ポンド、豪ドル、カナダドル、スイスフランなどが頻繁に登場します。
参考)【20種類】世界の通貨一覧 - いちらんデータベース
各通貨には固有のISOコード(ISO 4217)が割り当てられており、USD(米ドル)、EUR(ユーロ)、JPY(日本円)、GBP(英ポンド)、CNY(人民元)などの3文字コードで識別されます。これらのコードは通関書類や貿易実務で必須の知識です。
コード暗記が業務の基本ですね。
税関長公示レートが適用されない例外的な通貨も存在します。マイナー通貨の場合、公示レートがない通貨については、当事者間で合意した適切な為替レートを使用するか、米ドルなどの主要通貨を経由した換算が必要になることがあります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/01_seido/05_kanzanritsu/download/20100427_yunyu_kessaitsuka_toriatsukai.pdf
決済通貨の取り扱いについては、経済産業省や財務省の通達も参考になります。特に新興国通貨や変動の激しい通貨を扱う場合、為替リスクヘッジの観点からも、どの時点のレートを適用するかを契約で明確にしておくことが重要です。
外為法の規制対象となる取引もあるため、大口の外貨取引や特定国との取引では、外国為替及び外国貿易法の確認も必要です。通関業務従事者は、単なるレート換算だけでなく、法令遵守の観点からも通貨の取り扱いに注意を払う必要があります。
参考)外国為替及び外国貿易法(外為法)とは?基本を分かりやすく解説…