前々週の換算レート使うだけで関税が数万円変わります。
豪ドル/円のレートは2020年代に入ってから激しく変動しています。2020年3月には新型コロナウイルスの影響で1豪ドル=約65円まで急落しました。その後、中国景気の回復と資源価格の上昇を受けて反発し、2021年4月には84円台まで回復しています。
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2024年には日銀の金融政策転換が注目される中、4月に約10年ぶりに100円台を突破しました。さらに2024年7月には政府・日銀の市場介入や追加利上げの前に、1豪ドル=109円と約33年ぶりの高値を記録しました。しかし介入後は95円台まで急落する場面もありました。
参考)豪ドル
2026年2月現在は106円近辺で推移しており、比較的高い水準を維持しています。この10年間で約40円以上の値幅があったということですね。
参考)オーストラリア 2026年の豪ドル相場の見通し 金利差と資源…
東京ドーム約3個分の面積に相当する変動幅と考えると、この変動の大きさがイメージしやすいでしょう。通関業務に携わる方にとって、この変動は関税計算に直接影響するため無視できません。
豪ドルは「資源通貨」として知られており、オーストラリアが輸出する鉄鉱石や石炭などの資源価格変動が為替レートに大きな影響を与えます。資源価格が上昇すると豪ドルも上昇しやすくなる傾向があります。
参考)【2025年11月】豪ドル/円見通し!100円を突破した理由…
中国経済の動向も重要な変動要因です。オーストラリアの最大の貿易相手国は中国であり、中国向け輸出がGDPの大きな割合を占めています。中国が成長すると資源需要が増え、オーストラリアが潤い、豪ドルが買われやすくなるという流れが発生します。逆に中国の不動産不況が長引くと資源需要が落ち込み、豪ドルには下押し圧力がかかります。
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金利差も無視できない要因です。オーストラリア準備銀行(RBA)の金融政策と日本の金融政策の差が豪ドル/円レートを左右します。2024年6月にRBAが追加利上げを排除しないと表明した際、豪ドルは約17年ぶりに105円後半まで上昇しました。
参考)豪ドルの特徴は?主要な経済指標や今後の見通しも解説
つまり資源・中国・金利が鍵です。
これらの要因を日々チェックすることで、今後の為替動向をある程度予測できます。為替情報サイトや経済ニュースを毎朝確認する習慣をつけると、急激な変動に備えられます。
輸入通関の際に使用する換算レートは、輸入申告日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の週間平均値に基づいて税関長が公示します。この換算レートは1週間単位で設定され、毎週火曜日に公表されて次の日曜日から土曜日まで適用されます。
例えば、2022年11月20日から11月26日までの換算レートは1米ドル=145.60円でした。この換算レートが大きく変化すると、課税価格が大きく変化し、関税額や消費税額に影響することになります。
前々週の平均値が基準です。
急激な為替変動があった場合、申告タイミングをずらすことで関税額を調整できる可能性があります。ただし、これは適切な在庫管理と輸入計画が前提となります。税関の公示レートは関税協会のウェブサイトで毎週確認できるため、定期的にチェックする体制を整えましょう。
関税協会の週間為替相場ページ
換算レートの詳細な計算方法と最新の公示レートが確認できます。
換算レートの変動は通関業務の財務計算に直接影響します。豪ドル建てのインボイスで商品を輸入する場合、円高になれば課税価格が下がり関税や消費税が減少し、円安になれば逆に増加します。
具体的な例を見てみましょう。100万豪ドルの商品を輸入する場合、換算レートが1豪ドル=100円なら課税価格は1億円ですが、1豪ドル=105円なら1億500万円になります。関税率が5%なら関税だけで25万円の差が生まれます。さらに消費税(10%)も加わるため、総額では50万円以上のコスト差になる可能性があります。
50万円差は無視できません。
この影響を最小限に抑えるには、為替予約の活用や輸入タイミングの調整が有効です。特に大量輸入を行う企業では、為替変動リスクをヘッジする仕組みを導入することで、予算管理の精度を高められます。経理部門と連携して、期末時点での外貨建て債務を適切なレートで換算する体制も重要です。
参考)【輸出売上・輸入仕入のケース】経理処理に使う為替レートと仕訳…
2026年の豪ドル/円相場は、専門家の間で85円から105円のレンジで推移すると予想されています。これは円安から円高への転換が想定されているためです。ただし、オーストラリアと日本の金利差が維持されれば、100円台を維持する可能性もあります。
参考)【為替】2026年の豪ドルを予想する
トランプ政権の関税政策も影響要因の一つです。2025年2月にはカナダとメキシコに25%、中国に10%の追加関税が発動されましたが、豪州は対米貿易が通常赤字のため厳しい関税措置を受けにくいと予想されています。
参考)オーストラリア 2025年の豪ドル相場の注目点(金利・米ドル…
予測レンジは約20円です。
通関業務担当者としては、この予測レンジを念頭に置いて輸入計画を立てることが賢明です。為替が予想レンジの上限(105円)に近づいた時期は輸入を控え、下限(85円)に近づいた時期に集中させるといった戦略が考えられます。ただし、在庫リスクや納期の制約も考慮する必要があります。
為替情報ツールとしては、金融機関が提供する為替アラートサービスの利用が便利です。設定したレートに到達した際に通知を受け取れるため、タイムリーな意思決定が可能になります。
豪ドルは2020年3月のコロナショック時に1週間で約10円下落するなど、急激な変動を見せることがあります。このような急変時には、前々週の換算レートを使う通関制度の特性が予想外の影響を及ぼす可能性があります。
急変動への備えとして、複数週にわたって輸入申告を分散させる方法があります。これにより、特定の週の不利な換算レートの影響を平準化できます。ただし、分散させすぎると事務負担が増加するため、バランスが重要です。
分散申告で平準化できます。
もう一つの対策は、為替予約と通関タイミングの連動です。財務部門が行う為替予約のレートと、実際の通関時の換算レートに大きな乖離が生じると、想定外の損益が発生します。両部門が定期的に情報共有し、予約タイミングと輸入タイミングを調整する体制が理想的です。
エクセルやスプレッドシートで換算レート推移を記録し、過去のパターンから変動の傾向を把握しておくことも有効です。特に豪ドルは資源価格と連動しやすいため、鉄鉱石や石炭の価格動向もあわせて追跡すると精度が上がります。
参考)資源価格・中国景気に目配り 豪ドル占う重要指標 - 日本経済…
| 対策手法 | メリット | 実施の難易度 |
|---|---|---|
| 輸入申告の分散 💼 | レート変動の影響を平準化 | 低 |
| 為替予約の活用 📈 | コストの確定と予算管理 | 中 |
| 財務・通関部門の連携 🤝 | 全社的なリスク管理 | 高 |
| 換算レート履歴の記録 📊 | 傾向分析と予測精度向上 | 低 |