米国向けインボイスに誤った6桁コードを記載するだけで、最大3.6億ドルの追徴課税を受ける可能性があります。
アメリカで使用される関税分類コードは「HTSUS(Harmonized Tariff Schedule of the United States)」と呼ばれ、世界共通のHSコード6桁を基礎としながらも、米国独自の4桁を追加した10桁構成になっています。
参考)アメリカのHSコード(HTSコード)の調べ方とは?HTSU(…
HSコードの最初の6桁は国際的に統一されており、日本を含む世界各国で共通です。しかしアメリカでは、この6桁をさらに細分化し、7〜8桁目で米国独自の品目分類、9〜10桁目で統計や管理目的の識別番号を設定しています。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/world/17281.php
例えばヘッドホンの場合、国際共通のHSコードは「8518.30」ですが、米国向けのHTSコードは「8518.30.20.00」のように10桁で表記されます。この追加された4桁によって、より詳細な関税率や規制要件が決定されるため、正確な分類が必要です。
つまり10桁すべてが必須です。
日本の輸出者がインボイスに記載する際は、輸入国であるアメリカのHTSコード(10桁)を使用する必要があります。日本のHSコード(9桁)をそのまま使用すると、通関時に遅延や訂正要求が発生するリスクがあります。
参考)HSコードとは?調べ方を画像付きで徹底解説 - アラウンド・…
通関業務に携わる方は、この構造の違いを理解し、米国向け貨物には必ず10桁のHTSコードを確認・記載する習慣をつけることが重要です。
参考)アメリカの輸入関税の調べ方と最新税率・注意点まとめ
米国のHSコードを調べる最も正確な方法は、アメリカ国際貿易委員会(USITC)が提供する公式HTS検索ツールを使用することです。このツールは無料で利用でき、スマートフォンからもアクセス可能です。
検索手順は以下の通りです。
商品名の入力時は「laptop」「notebook」「toothbrush」など、シンプルな英語の一般名称が効果的です。
検索結果には複数の候補が表示されることが多いため、自社製品の材質・用途・構造を正確に把握した上で、最も適合する分類を選ぶ必要があります。
参考)https://hongocean.com/ja/how-to-look-up-hts-codes-and-calculate-import-tariffs/
関税率の確認では「General」列を見ると通常税率が表示されます。「Special」列にはFTA適用時の優遇税率が示されますが、日本は対象外です。
類似製品間のわずかな違いでも分類や関税率が異なる場合があるため、細部まで注意深く確認することが求められます。
自社で判断が難しい場合は、通関業者や貿易コンプライアンス専門家に相談することで、分類ミスのリスクを軽減できます。
参考)米国HSコード誤分類による追徴課税事例:最大3.6億ドルの罰…
HSコードの誤分類は、想像以上に深刻な経済的・法的リスクを引き起こします。米国税関・国境取締局(CBP)は、2025年2月の1ヶ月間だけで28件の監査を実施し、約290万ドルの未払い関税を発見しました。
実際の事例として、ある大手自動車メーカーは貨物バンの誤分類により、最大3.6億ドルの追徴課税を受けました。同様にソーラーパネル輸入業者も、HSコードの誤った申告により高額な罰金を科されています。
これは他人事ではありません。
米国では法律上、輸入者に対し「合理的な注意」をもって申告の正確性を期す義務(Informed Compliance)が課されています。適切な情報提供や確認プロセスを経ずに誤分類が行われた場合、「合理的注意義務違反」と見なされ高額な制裁の対象となります。
誤ったコードを選択すると、通関の遅延、罰金、または関税の過払いにつながる可能性があります。特に意図的に税率の低いコードを適用しようとしたと見なされると、過少申告加算税や重加算税等の懲罰的な税を課せられる可能性があります。
通関トラブルを未然に防ぐために、初めて輸入する品目や類似品目では、分類ミスが起こりやすいことを認識する必要があります。海外の取引先が提供するHSコードをそのまま使用せず、必ず米国の税関基準で確認することが重要です。
分類判断が難しい製品については、米国税関・国境取締局(CBP)に事前教示(Advance Ruling)を申請することで、正式なHTSコードの確認を受けられます。この制度を利用すると、通関時のトラブルを大幅に減らせます。
参考)アメリカ合衆国におけるHSコードの事前教示 – …
申請は電子ポータル「eRulings」を通じてオンライン提出するか、郵送でも可能です。
申請時には以下の情報が必要になります。
申請者の見解として、自身が考えるHTSUSの分類候補(10桁)とその根拠を明記することが求められます。
これが承認の鍵です。
審査期間は原則30暦日以内ですが、ラボ分析や他機関との協議が必要な場合は90日以内かかることもあります。機密情報は角括弧で特定し、公開版も用意する必要があります。
事前教示で得られた裁定番号は通関申告書類に反映することで、通関時の照会時間を大幅に短縮できます。また、公開済みの先例はCBPの公開データベース「CROSS」で事前調査が可能です。
特に新規取引や高額商品、複雑な構造の製品を扱う場合は、この制度を積極的に活用することで、誤分類による高額な追徴課税リスクを回避できます。
HTSコードが確定したら、次に確認すべきは関税率と原産地規則です。米国の関税率は品目ごとに大きく異なり、同じ製品でも原産国によって適用税率が変わります。
関税率の確認は、USITCのHTS検索結果に表示される「General」列で基本税率を、「Special」列でFTA適用時の優遇税率を確認できます。ただし日本は米国とFTAを締結していないため、基本的には通常税率が適用されます。
2025年のトランプ政権下では、特定品目に対する追加関税が段階的に導入されており、従来の関税率に加えてリストごとに追加課税がされる可能性があります。例えば「List 4A」などの指定を受けた品目は、通常税率に追加関税が上乗せされます。
参考)アメリカ向け関税の調べ方 いくらから発生?越境ECでの関税は…
原産地証明(C/O)やFTA申請時には、条件を満たすHTS分類かどうかの確認が必要です。また、特定HTSコードに対してはFDAやEPAなどの関連規制により、ライセンスや検査が必要になることもあります。
関税計算の手順は次の通りです。
この計算を正確に行うことで、予期せぬ追加コストを回避できます。商業送り状や税関申告書などの通関書類には、必ずHTSコードを記載する必要があります。
ジェトロの米国関税制度解説ページには、最新の関税動向や制度変更の情報が掲載されています
通関業務では、単なるコード選定だけでなく、関税計算・原産地規則・追加規制の有無まで総合的に確認する姿勢が求められます。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/united_states/17598.php