通関業務で複数の証明書を揃えるのに慣れていても、意外な事実が隠れています。
放射線検査証明書は、東京電力福島第一原子力発電所事故以降、日本からの食品・農産物輸出時に輸出先国が要求する証明書類です。
参考)日本からの輸入食品の産地証明と放射性物質検査証明の添付義務化…
通関業務では、輸出申告時に添付書類として提出します。
証明書がない場合、輸出先国の税関で通関が拒否されるリスクがあります。マレーシアでは適切な証明書が添付されていない場合、実際に通関が拒否されており、例外的措置は認められていません。
参考)日本からの輸入食品に放射線検査証明書を義務付け(マレーシア)…
つまり必須書類です。
輸出者は輸出前に指定検査機関で放射性物質検査を受け、その結果をもとに政府機関(農林水産省など)から証明書を取得します。検査では放射性セシウムやヨウ素などの放射性物質の濃度を測定し、輸出先国の基準値を下回っていることを確認します。
参考)輸出食品等に対する放射性物質に関する検査の実施機関について:…
輸出先国によって証明書の要求内容が大きく異なります。
参考)https://www.maff.go.jp/j/export/e_shoumei/pdf/qa_set.pdf
台湾向けでは、ほぼすべての食品で原産地証明書が必須で、特定地域(福島、群馬、栃木、茨城、千葉)の特定品目(乳製品、乳幼児食品、飴、ビスケット、穀類調製品など)には放射性物質検査証明書の添付が必要です。これらの措置は2015年以降実施されています。
参考)台湾への食品輸出の方法は?規制や原産地証明書についても解説
中国向けでは、10都県以外の野菜、果実、茶葉及び乳(各々の加工品を含む)の放射性物質検査証明書について、検査項目が合意されていないため発行できません。水産物については別途対応が進められており、検査報告書は初回輸出日からさかのぼって2年以内(令和5年8月24日以降)に検査機関から発行されたものが使用できます。
有効期限に注意が必要ですね。
一方、アルゼンチンなど中南米7カ国は輸入規制を解除し、放射性物質検査証明書は不要となっています。EU向けは、原料ではなく最終製品を検査して政府機関による放射性物質検査証明を添付すれば輸入が認められます。
参考)日本産食品・飼料の輸入規制を解除−放射性物質検査証明書は不要…
証明書の発行は農林水産省が行います。
輸出者はまず厚生労働大臣に登録している検査機関で放射性物質検査を実施します。検査機関は食品衛生法に基づき登録されており、一般財団法人日本食品検査(JFIC)などが該当します。
参考)放射性物質検査(輸出用)|JFIC 一般財団法人 日本食品検…
検査結果を受け取ったら、農林水産省の輸出証明書発行システム(NACCS経由でもオンライン申請可能)で証明書を申請します。申請時には検査結果報告書、輸出契約書、インボイスなどの確認書類一式の提出が必要です。
内容に変更がない場合でも申請の都度、確認書類一式の提出が必要となります。
加工品であって製造ロットが確認できる商品は、同一ロットの放射性物質検査で複数回の申請に対応できる場合があります。証明書受取は、指定した植物防疫所や地方農政局などで行います。
検査日の3日前までに申請する体制を整えておくとスムーズです。
東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う輸入規制への対応として必要となる放射性物質検査証明書については、証明書発行手数料は不要です。
参考)農林水産物・食品の輸出証明書の発行手数料について:農林水産省
これは原発関連証明書が特例として扱われるためです。
通常の輸出証明書は令和7年4月1日以降、申請1件あたり870円の発行手数料が必要ですが、産地証明書や放射性物質検査証明書などの原発関連証明書は除外されています。
参考)食品等に係る諸外国への輸出に関する証明書発行について:関東農…
ただし放射性物質検査自体には費用がかかります。検査料金は検査機関によって異なり、検査申込者の負担となります。
参考)https://dl.ndl.go.jp/view/prepareDownload?itemId=info%3Andljp%2Fpid%2F6016884amp;contentNo=1
国の補助事業を活用できる場合があります。
貿易円滑化補助事業(輸出品放射線量検査事業)では、一部の検査機関で検査費用の補助が受けられますが、各検査機関において交付された予算額が無くなった時点で補助は終了します。中国輸出向け水産物の場合、水産庁の委託費を活用した無料検査の募集が実施されることもあります。
参考)中国輸出向け水産物の放射性物質検査の検体募集について (令和…
送料は着払いで対応可能ですね。
通関実務では証明書の有効性確認が重要です。
輸出先国の基準値を確認し、検査結果が基準を下回っていることを事前に確認します。日本国内の基準値を上回っていても、輸出先国の基準値を下回っていれば証明書は発行されます。
基準が国ごとに異なるということです。
輸出申告時には、放射線検査証明書、原産地証明書、インボイス、パッキングリストなどの書類を揃えて提出します。特に台湾向けでは原産地に都道府県名を明記する必要があります。
参考)輸出に必要な通関書類一覧と提出時のポイントとは?海外輸送時の…
証明書の記載内容に誤りがあると通関で問題になるため、輸出者名、品名、数量、検査結果などが正確に記載されているか確認してください。
記載ミスは通関遅延につながります。
工業製品については、放射線量の証明書の添付を求められた場合でも国が検査および証明書を発行することはありません。輸出コンテナの放射線測定については、国土交通省のガイドラインに基づきコンテナターミナルで測定を実施し、証明書を取得できる仕組みがあります。
参考)https://www.eilconsulting.com/sanchishomei.html
証明書不備は輸出業務に深刻な影響を与えます。
マレーシアのように証明書なしで通関拒否される国では、貨物が現地で留め置かれ、追加費用が発生します。留め置かれた貨物の保管料、再輸出費用、取引先への損害賠償などのコストが発生する可能性があります。
痛いですね。
対策として、輸出前に輸出先国の最新規制情報をJETROや農林水産省のウェブサイトで確認します。国によって規制が頻繁に変更されるため、出荷の都度確認する習慣をつけてください。
検査機関との連携も重要です。
登録検査機関のリストを手元に用意し、検査所要日数、料金、対応可能な検査項目を事前に把握しておくと、急な輸出案件にも対応できます。同一ロット製品を複数回輸出する場合は、検査結果の使い回しが可能か確認しておくとコスト削減につながります。
電離放射線健康診断個人票や放射線管理状況報告書など、放射線関連の他の証明書類と混同しないよう注意してください。これらは労働安全衛生法や電離放射線障害防止規則に基づく別の書類で、輸出通関では使用しません。
書類の種類を正確に把握しましょう。
植物防疫法や家畜伝染病予防法に基づく検疫証明書も、放射線検査証明書とは別に必要となる場合があります。必要な検査を受けずに農産物や畜産物を海外に持ち出そうとすると、法律違反となり罰則の対象になります。
参考)https://www.mlit.go.jp/kankocho/tax-free/pdf/pdf07.pdf

A&D 赤外線放射温度計 AD5613A 一般(ISO)校正付(検査成績書+トレサビリティ体系図) ※体温計ではありません