附帯税損金不算入とは?通関業務の税負担を軽減する方法

附帯税は原則損金不算入ですが、知っておくべき例外や計算方法を通関業務従事者向けに詳しく解説します。あなたの会社の税負担を減らす方法をご存じですか?

附帯税損金不算入の基本

社会保険料の延滞金は損金算入できます。

この記事の3ポイント
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附帯税は原則損金不算入

関税の加算税・延滞税は法人税計算で経費にできず税負担が増加する

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例外的に損金算入できる延滞金がある

社会保険料の延滞金や地方税の納期限延長に係る延滞金は損金算入可能

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重加算税は最大35%のペナルティ

通関業務で隠蔽や仮装があれば過少申告税額の35%が課される

附帯税とは何か?基本的な定義


附帯税とは、関税や国税の本税に付帯して納付しなければならない税のことです。通関業務では、輸入申告における過少申告や無申告に対して課される罰則的な税金を指します。
参考)関税に付帯する税:日本


附帯税には4つの種類があります。延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、重加算税がこれに該当します。延滞税は納期限までに税金を納付しなかった場合に課される利息相当のペナルティです。加算税は申告が適正に行われなかった場合に課される追加的な税金です。
参考)延滞税・加算税って何?附帯税の種類と課せられる条件まとめ


これらの附帯税は、会計上は租税公課として処理します。しかし罰則的意味を持つため、法人税法上は原則として損金に算入されません。つまり経費として認められないということですね。
参考)損金不算入の延滞金等と損金算入となる延滞金

附帯税が損金不算入となる法的根拠

法人税法第55条第3項が附帯税の損金不算入を定めています。この規定では、国税に係る延滞税等と地方税法の規定による延滞金は損金不算入と明記されています。​
損金不算入とされる租税公課は限定列挙されています。具体的には延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税、過怠税、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、延滞金(社保を除く)、罰金、科料、過料、課徴金です。
参考)労働保険料・社会保険料の延滞金は損金算入

この法的根拠により、通関業務で発生した附帯税は法人税計算において所得金額に加算されます。結果として会社の税負担が増加するという仕組みです。損金不算入は申告書別表四で加算調整を行います。
参考)租税公課で損金にできるもの、できないものは何か | 東京クラ…


附帯税の種類と損金不算入の対象範囲

関税の附帯税には4つの種類がありますが、すべて損金不算入です。延滞税は法定納期限の翌日から納付日までの日数に応じて課されます。過少申告加算税は修正申告や更正により増加した税額の10%が基本です。
参考)加算税や延滞税など5つの附帯税の違い│法人税・相続税 申告お…


無申告加算税は申告期限までに申告しなかった場合に課されます。納付すべき税額の15%が原則ですが、50万円を超える部分には20%が課されます。重加算税は隠蔽や仮装があった場合の最も重いペナルティです。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1307_jr.htm


重加算税の税率は過少申告の場合35%、無申告の場合40%です。通関業務で意図的に申告内容を偽った場合、過少申告加算税に代えて基礎税額の35%が課されます。痛いですね。
参考)https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010728.html?_previewDate_=nullamp;revision=0amp;viewForce=1amp;_tmpCssPreview_=0%2F


さらに過去5年以内に重加算税を課されたことがある場合、追加で10%が加算されます。過少申告の重加算税なら35%+10%=45%、無申告なら40%+10%=50%になります。
参考)https://www.tsukangyo.or.jp/files/libs/1474/20230605095146591.pdf

附帯税の損金不算入が会社に与える影響

附帯税を支払っても経費にできないため、実質的な税負担が大きくなります。例えば100万円の関税延滞税を支払った場合、会計上は費用ですが法人税計算では損金不算入です。
参考)付帯税について|経理部員お役立情報!|経理部の悩み・課題を解…


この100万円は申告書別表四で加算され、課税所得が100万円増加します。法人税率を30%とすると、100万円×30%=30万円の法人税が追加で発生します。つまり100万円の延滞税に加えて30万円の法人税負担が生じるということですね。
参考)0からわかる損金とは?損金算入と損金不算入をわかりやすく簡単…

通関業務で重加算税35%を課された場合、影響はさらに深刻です。例えば過少申告による増差税額が1,000万円なら、重加算税は350万円です。この350万円は損金不算入なので、さらに350万円×30%=105万円の法人税が追加されます。
資金繰りへの影響も見逃せません。附帯税の支払い自体が大きな負担となり、さらに損金不算入による追加の法人税が発生するためです。無駄な出費を防ぐには納税期限の厳守が必須です。
参考)税金の納税が遅れてしまい、延滞税や加算税を支払いましたが、こ…


附帯税損金不算入の例外的なケース

すべての延滞金が損金不算入というわけではありません。地方税の納期限延長に係る延滞金は損金算入が認められています。これは納税者が災害等により納期限の延長を申請し、承認された場合に発生する延滞金です。
参考)No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算…


この延滞金は「利子税」と呼ばれ、罰則的意味ではなく利息的性質を持つため損金算入できます。具体的には災害や資金繰りの困難を税務署が認めた場合に適用されます。損金算入できるのは例外です。
参考)http://www.ohnishikaikei.jp/newsletter202109.html

社会保険料の延滞金も損金算入が可能です。法人税法第55条で列挙される損金不算入項目に社会保険料の延滞金は含まれていないためです。労働保険料、厚生年金保険料、健康保険料の延滞金はすべて損金算入できます。
参考)http://www.fujimori-tax.com/column40.html


通関業務では直接関係しませんが、知っておくと他の税務処理で役立ちます。社会保険料の延滞金は督促があった場合に年14.6%の割合で課されますが、これは全額損金算入可能です。​

通関業務における附帯税発生の実例

輸入申告で課税価格を過少に申告した場合、修正申告や更正により附帯税が発生します。例えば当初申告で関税100万円を納付したが、実際には150万円が正しかった場合、増差税額は50万円です。​
この場合、税関の調査通知前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税は課されません。しかし調査通知後に修正申告した場合、増差税額50万円の5%=2.5万円が過少申告加算税として課されます。​
増差税額が当初申告税額と50万円のいずれか多い額を超える場合、計算が複雑になります。当初申告が100万円なので、100万円を超える増差税額はありません。したがって基本の5%計算のみとなります。​
重加算税が課されるのは隠蔽や仮装があった場合です。例えばインボイスの金額を意図的に改ざんして輸入申告した場合、過少申告加算税に代えて基礎税額の35%が重加算税として課されます。50万円の増差税額なら35%で17.5万円です。これは違反になりません。
参考:JETRO「関税に付帯する税:日本」
関税に付帯する税:日本
通関業務における附帯税の詳細な計算方法と適用事例が掲載されています。

附帯税のリスクを最小化する実務対応

通関業務で附帯税のリスクを避けるには、正確な輸入申告が最優先です。課税価格、関税分類、原産地表示などを慎重に確認し、誤りのない申告書を作成します。社内チェック体制を整えることが基本です。
税関の事前教示制度を活用すると、申告前に関税分類や課税価格の算定方法を確認できます。これにより過少申告のリスクを大幅に減らせます。つまり予防策ということですね。
万が一申告誤りに気づいた場合、税関の調査通知前に自主的に修正申告すれば過少申告加算税は免除されます。調査通知を受けた翌日以降でも、更正予知前なら5%の過少申告加算税で済みます。早期発見・早期対応が原則です。​
納期限管理も重要です。延滞税は法定納期限の翌日から自動的に課されるため、納付期限を厳守する必要があります。資金繰りが厳しい場合でも、税金の支払いはあらゆる債務に優先されます。
社内の納税カレンダーを作成し、担当者が納期限を見逃さない仕組みを構築しましょう。通関業務で発生する関税・消費税の納期限を一覧表にし、リマインダー設定するなどの工夫が有効です。納期限の厳守に注意すれば大丈夫です。

損金算入できる租税公課との違い

法人税法では損金不算入の租税公課を限定列挙しており、それ以外は損金算入できます。損金算入できる主な租税公課として、事業税、特別法人事業税、固定資産税自動車税、不動産取得税などがあります。
参考)損金算入・不算入の考え方とは?損金・費用の違いも分かりやすく…


関税も原則として損金算入が可能です。輸入品に課される関税は事業活動に必要な支出として認められ、外国税として損金算入できます。これは附帯税とは異なる扱いです。
参考)租税公課とは?損金に算入できる・できないものと計上時期、仕訳…

印紙税も損金算入できる租税公課の一つです。通関業務で使用する各種契約書や手形に貼付する収入印紙の費用は全額損金算入できます。いいことですね。
消費税の扱いは会計処理方法によって異なります。税抜経理方式なら仮払消費税として資産計上し損金不算入ですが、税込経理方式なら仕入原価や経費に含まれ損金算入されます。通関業務で輸入消費税を支払う場合も同様の処理となります。
損金算入できる租税公課は事業に直接関連する税金です。一方、附帯税は本来支払う必要のない罰則的な税金のため、損金不算入とされています。この違いを理解しておけばOKです。

附帯税損金不算入の会計処理方法

附帯税を支払った時は、会計上は租税公課として費用計上します。例えば関税の延滞税10万円を支払った場合、借方に「租税公課10万円」、貸方に「現金預金10万円」と仕訳します。
決算時には法人税の申告書別表四で加算調整を行います。別表四の「加算」欄に「損金不算入の附帯税」として10万円を記載し、所得金額に加算します。これにより会計上の費用が法人税計算では除外されるということですね。
申告書別表五(二)「租税公課の納付状況に関する明細書」にも記載が必要です。期首現在未納額、当期発生額、当期納付額、期末現在未納額を記入し、損金算入額と損金不算入額を区分します。​
通関業務で複数の附帯税が発生した場合、それぞれを別表四と別表五(二)に記載します。過少申告加算税、延滞税、重加算税は別々に集計し、合計額を加算調整します。会計ソフトによっては自動で別表作成する機能もあるため、設定を確認しましょう。
参考:国税庁「No.5300 租税公課等の損金算入の可否と租税の損金算入時期」
No.5300 損金の額に算入される租税公課等の範囲と損金算…
損金算入できる租税公課と損金不算入の租税公課の詳細な一覧と処理時期が記載されています。

附帯税を避けるための通関業務チェックリスト

輸入申告の正確性を確保するため、以下の項目を事前にチェックします。まずインボイス記載の商品名、数量、金額が実際の取引内容と一致しているか確認します。インボイス金額の改ざんは重加算税の対象です。
HSコード(関税分類番号)の選択が正しいか検証します。分類を誤ると過少申告になるリスクがあります。事前教示制度で税関に確認すると安全です。
課税価格の算定方法も重要です。運賃、保険料、手数料などの加算要素を漏れなく含めているか確認します。原産地証明書の有無や特恵関税の適用条件も再確認しましょう。
申告期限と納期限を管理表で一元管理します。輸入許可後の納期限を見逃すと延滞税が自動的に課されます。リマインダー機能を活用し、期限の2日前にアラートを設定すると効果的です。​
税関からの照会や調査通知には迅速に対応します。調査通知を受けた後でも、更正予知前に自主修正すれば加算税率が軽減されます。社内の連絡体制を整え、税関からの連絡を見逃さないようにします。​
定期的な社内監査で申告内容の正確性を検証すると、誤りの早期発見につながります。過去の申告書類を抽出してサンプルチェックし、問題があれば速やかに修正申告を行います。これで大丈夫でしょうか?

✅ 申告前チェック項目


  • インボイス記載内容と実際の取引内容の照合

  • HSコードの正確性確認と事前教示制度の活用

  • 課税価格算定における加算要素の漏れチェック

  • 原産地証明書と特恵関税適用条件の確認

  • 社内承認プロセスの完了確認

📅 期限管理チェック項目


  • 輸入申告期限の管理表への記載

  • 関税・消費税納期限のリマインダー設定

  • 納期限2日前のアラート通知

  • 税関からの照会・調査通知の迅速な確認体制

  • 修正申告が必要な場合の即座の対応手順

🔍 事後チェック項目


  • 四半期ごとの申告内容サンプル監査

  • 前年同期比での申告内容の整合性確認

  • 税関事後調査の指摘事項の社内共有

  • 申告誤りを発見した場合の修正申告手順

  • 附帯税発生事例の分析と再発防止策

参考:税関「1307 加算税制度の概要について(カスタムスアンサー)」
https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1307_jr.htm
通関業務における加算税制度の詳細と、調査通知後の対応方法が解説されています。




附帯税の事例研究