アポスティーユ申請の必要書類と正しい手順を解説

アポスティーユ申請に必要な書類は何か、公文書と私文書で手順はどう違うのか、通関業務に関わる方なら一度は直面する疑問ではないでしょうか?

アポスティーユ申請の必要書類と正しい手順

私文書は外務省に直接持ち込んでも、アポスティーユを取得できずにそのまま差し戻されます。


この記事の3つのポイント
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公文書と私文書で手順が全く異なる

公文書は外務省への直接申請でOKですが、私文書は「公証役場 → 法務局 → 外務省」の3ステップが必要です。書類の種類を最初に確認することが最重要です。

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発行から3か月以内の原本が条件

外務省に申請できるのは、発行日より3か月以内の原本のみ。コピー不可。発行日を見誤ると書類を取り直す羽目になるため、取得後は速やかに申請することが重要です。

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外務省への申請手数料は無料

外務省のアポスティーユ申請自体は無料です。ただし私文書の場合は公証役場手数料(日本語文書:6,500円、外国語文書:12,500円)が別途発生します。


アポスティーユ申請の必要書類一覧:公文書の場合

アポスティーユの申請書類は、対象書類が「公文書か私文書か」によって大きく異なります。まずは通関業務の現場でも扱いやすい、公文書の申請に絞って整理します。


外務省への窓口申請・郵送申請に共通して必要なものは次のとおりです。






























書類 窓口申請 郵送申請
証明が必要な公文書(発行日より3か月以内の原本) ✅ 必須
申請書(アポスティーユまたは公印確認) ✅ 必須
身分証明書(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードなど) ✅ 必須 ❌ 不要
委任状(代理人申請の場合のみ) △ 条件付き
返送用封筒(レターパックライトなど・返送先を記入済み) ✅ 必須


郵送申請では身分証明書が不要という点は意外と見落とされやすいです。窓口申請と郵送申請で必要書類が異なることをしっかり把握しておきましょう。


公文書とは、国や地方自治体などの公的機関が発行した書類のことです。具体的には、登記簿謄本・戸籍謄本・住民票・納税証明書・犯罪経歴証明書・医薬品登録証明書などが該当します。これらは外務省に直接申請が可能です。


申請書は外務省ホームページからダウンロードできますが、窓口にも備え付けがあります。記入例も公式サイトで確認できるため、初めての申請でも迷わず記入できます。


返送用封筒はレターパックライトが推奨されていますが、認証済み書類が入るサイズの封筒であれば問題ありません。ただし、切手の貼り付けや宛先記入は申請者自身が行う必要があります。準備忘れに注意です。


申請先は外務本省(東京)または外務省大阪分室の2か所のみです。都合のよい方に送付できます。なお、申請手数料は無料です。


参考:アポスティーユ申請方法・必要書類の公式案内はこちら
申請手続きガイド 3 申請方法・必要書類|外務省


アポスティーユ申請の必要書類一覧:私文書の場合(3ステップの注意点)

通関業務に携わっていると、海外の取引先から「会社の定款や契約書にアポスティーユを付けてほしい」と依頼されることがあります。これは私文書に分類されるため、外務省に直接申請しても受け付けてもらえません。つまり、外務省だけで完結しないということです。


私文書へのアポスティーユ取得は、次の3ステップが必要になります。
























ステップ 手続き場所 手数料目安(2025年10月改定後)
① 公証役場で「私署証書の認証」を取得 全国の公証役場 日本語:6,500円 / 外国語:12,500円
② 公証人が属する(地方)法務局で「公証人押印証明」を取得 各地方法務局 無料
③ 外務省でアポスティーユを取得 外務本省 or 大阪分室 無料


3ステップの合計でも外務省への手数料は無料です。ただし公証役場のコストは実費発生します。


注意すべきポイントが1点あります。公証役場はどこで利用してもよいように見えますが、STEP②の法務局は「STEP①で認証した公証人が所属する法務局」に限られます。たとえば東京都内の公証役場でSTEP①を終えた場合は、東京法務局でのみSTEP②が可能です。遠方の公証役場でSTEP①を行うと、STEP②のために再び遠方に赴く必要が生じます。同じ都道府県内の公証役場を選ぶのが原則です。


2025年10月1日より公証人手数料が改定されています。従来は日本語文書5,500円・外国語文書11,500円でしたが、日本語文書6,500円・外国語文書12,500円に引き上げられました。委任状の認証手数料も日本語4,000円・外国語10,000円に改定されています。費用感をあらかじめ押さえておきたいところです。


なお、一部の公証役場(北海道・宮城・東京・神奈川・静岡・愛知・大阪・福岡の各都道府県内)では「ワンストップサービス」が利用可能です。このサービスを使うと、公証人認証・法務局の公証人押印証明・外務省のアポスティーユを1か所の公証役場で一括取得できます。法務局と外務省へ別途出向く必要がなくなるため、時間コストを大幅に圧縮できます。これは使えそうです。


参考:私文書への公証人認証の手順と公証役場の所在地
公証役場一覧|日本公証人連合会


アポスティーユ申請で却下される書類の条件と事前チェック

申請を行ったものの書類不備で差し戻されると、3開庁日分のリードタイムが丸々無駄になります。書類の確認が最重要です。


外務省がアポスティーユを付与できない書類の代表例を以下にまとめます。



  • 📌 発行日から3か月を超えた公文書:原則受付不可。「一度しか発行されない学位記など、提出先が特に求めている場合」のみ例外的に認証される場合があります。

  • 📌 公印(役所の公式印)ではなく、個人の署名・個人の印鑑のみの文書:学校長のサインのみで公印がない卒業証明書などは対象外です。

  • 📌 コピー(写し)の書類:原本のみが対象です。コピーは一切認証されません。

  • 📌 ホチキスを外したり、加筆した文書:受け付け不可です。

  • 📌 私立大学・私立専門学校が発行した書類(教育機関向け規定あり):私立大学の卒業証明書などには直接アポスティーユを付与できません。公証役場を経由した私文書の認証手順が必要です。

  • 📌 会社が作成した定款・決算書・商工会議所発行の書類:私文書扱いのため直接申請不可です。

  • 📌 特殊法人・独立行政法人・財団法人・社団法人が発行した書類:公印確認は可能でもアポスティーユは付与不可のケースがあります。


見落としやすいのが「大学の種別による違い」です。国公立大学が発行する書類であってもアポスティーユの対象外になる場合があります。「国立大学法人〇〇大学」に法人化した後に発行された証明書は、アポスティーユ対象外です。一方、法人化前に発行された学位記や、法人化していない国公立大学の証明書は対象になります。


具体例を挙げると、「公立高校の卒業証明書」はアポスティーユ可能ですが、「私立大学の卒業証明書」は不可(公証役場を経由すれば可能)です。このように学校の種別で判断が変わることを念頭に置いてください。


迷った場合は、申請前に外務省のよくあるご質問ページで確認するか、外務省のビザ・インフォメーション(0570-011000)に電話で問い合わせるのが確実です。


参考:どの書類が認証できるか一覧で確認できる公式リソース
申請手続きガイド 1 証明できる書類|外務省


アポスティーユ申請の流れ:郵送申請と窓口申請の比較

申請には「郵送」と「窓口」の2つの方法があります。外務省は可能な限り郵送での申請を推奨しています。どちらを選ぶかで必要書類と受取方法が変わります。

































項目 郵送申請 窓口申請
身分証明書 不要 必要
受取方法 郵送のみ 郵送 or 窓口(要受領票)
証明済み書類の返送 受領後3開庁日後に発送 郵送:3開庁日後発送 / 窓口:4開庁日後
申請時間帯 発送時間による 14:00〜16:00(東京本省)
海外からの申請 ❌ 不可


窓口での受取を希望する場合は、申請時に渡される「受領票」を4開庁日後以降に持参する必要があります。受取時間は9:30〜12:00(東京本省)のみです。忘れずにメモしておきましょう。


郵送申請の場合、返送先は申請者(差出人)の住所に限られます。「海外に直接送ってほしい」「大使館に送ってほしい」といった希望には対応していません。海外在住で手続きが必要な場合は、日本在住の家族・知人や行政書士などの専門家に代理申請を依頼することになります。


また、書類に不備があった場合は電話連絡が入ります。申請書には必ず日中に連絡が取れる電話番号を記入しておくことが重要です。連絡が取れない場合は差し戻しになる可能性があります。これは痛いですね。


窓口申請では予約は不要ですが、外務省構内では封筒・切手の販売がないため、事前に準備が必要です。レターパックライトは大阪分室の庁舎内コンビニで購入できます。


通関業従事者が知っておくべき:アポスティーユと公印確認の実務的な使い分け

アポスティーユと公印確認はよく混同されますが、どちらを取得すべきかは「書類の提出先の国がハーグ条約(外国公文書の認証を不要とする条約)の締約国かどうか」で決まります。この判断を誤ると、取得した証明書が現地で使えないという事態になります。



  • 🌏 ハーグ条約締約国(2025年時点で約120か国)→ アポスティーユでOK

  • 🌍 ハーグ条約非締約国(中国・UAE・サウジアラビアなど)→ 公印確認+在日大使館・領事館の領事認証が必要


通関業の現場では、輸出入に関連した書類認証の依頼を受けることがあります。たとえば、日本の農林水産物の輸出に際して求められる「植物検疫証明書」「食品衛生証明書」や、貿易取引上の「居住者証明書」「法人登記簿謄本」などがその代表例です。


貿易書類の場合、商工会議所が発行する「原産地証明書」にはアポスティーユが付与できません。外務省の証明対象外である点に注意が必要です。貿易書類特有の落とし穴といえます。


一方で、国が発行する「登記簿謄本」「犯罪経歴証明書」「医薬品・農薬登録証明書」「居住者証明書」などは、アポスティーユ・公印確認ともに対象です。提出先の国がどちらの条約加盟状況にあるかを事前に調べておくことが、手戻りを防ぐ最も効果的な方法です。


提出先の国がハーグ条約に加盟しているかどうかは、外務省の公式リストで確認できます。このリストで確認するのが最速です。


また、複数の書類を複数の国へ提出する場合、国ごとに申請書が1枚必要です。ただし「提出国が同一で、書類の当事者および公印名も同じ」であれば、申請書1枚に対して複数通の公文書をまとめて申請できます。申請書の数が多くなる場合は、この条件に当てはまらないか確認してみてください。


参考:ハーグ条約の締約国・地域リスト(外務省公式)
「外国公文書の認証を不要とする条約(ハーグ条約)」の締約国(地域)|外務省