通関業務で輸送管理を軽視すると保管料が月10万円以上増えます。
輸送管理とは、商品が倉庫から配送先に届くまでの流れを効率的に管理するプロセスです。具体的には、配送計画の立案、運送業者の選定と予約、最適ルートの選択、配送進捗のリアルタイム追跡、納品完了までの一連の業務を管理します。
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物流管理全体の中で、輸送管理は「倉庫の外」を担当する領域です。倉庫内の在庫管理や入出庫作業を扱うWMS(倉庫管理システム)とは異なり、輸送管理は出荷後の配送業務に特化しています。両者が連携することで、物流全体のムダを削減し、スムーズな供給体制を構築できます。
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輸送管理は単なる荷物の移動ではありません。顧客のニーズに応じて商品を適切なタイミングで、最適な量とコストで届けるための戦略的な管理活動です。
TMS(輸送管理システム)は、輸送プロセスを効率化・最適化する専門システムです。主要機能として、運送業者のレート比較や予約の自動化があります。航空・海上・トラック・鉄道など多様な輸送方法から最適なルートを選定し、積載効率を高める機能も備えています。
参考)https://www.sap.com/japan/products/scm/transportation-logistics/what-is-a-tms.html
運送業者のシステムと連携し、運送業者に関する詳細情報の取得・保存・比較を行います。これにより、企業は最適な輸送経路や輸送モードを選択でき、配送の進捗をリアルタイムで追跡できます。
配送計画をデータに基づいて高度に計算し、無駄のないトラック活用を推進します。積載率が少ない状態で走行するトラックを減らすことが可能です。複雑で多様な条件下でも、ムリのない配送計画を短時間で立案でき、配送遅延などのトラブルを抑制します。
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国際物流において、輸送管理と通関業務は密接に連携する必要があります。通関業務は、国境を越える貨物が国内および国際規制に準拠していることを保証する専門サービスです。必要な書類の提出、税金の計算と支払い、適切な関税コードによる貨物の分類、政府機関との連絡などが含まれます。
運送業者は輸送と物流を管理し、貨物スペースの予約、出荷品の統合、保険の手配、発送元から目的地までの配送の追跡を行います。一方、税関貨物取扱人は商品の法的通関、書類手続き、関税の支払い、輸出入規制の遵守を専門としています。
通関締切ミスが発生すると、港到着後に通関処理が間に合わず、保管料・滞船料の発生、納期遅延につながります。つまり輸送管理の一環として通関スケジュールを適切に管理することが、コスト削減と納期遵守の両立に不可欠です。
輸送管理の業務フローは、配送計画の立案から始まります。物流が持つ6つの機能(輸送・保管・荷役・包装・流通加工・情報)の中で、輸送は荷物を運ぶ中核機能です。
参考)物流の流れや業務フローはどうなっている?知っておきたい仕組み…
配送計画では、配送先の情報、荷物の量と特性、納期などを考慮してルートを設計します。次に車両手配を行い、自社車両または外部運送業者を選定します。不要な傭車依頼が減ることで、1台あたりの稼働率が向上します。
配送実行中は、リアルタイムでの貨物追跡が重要です。配送状況の可視化により、遅延やトラブルが発生した際に迅速な対応が可能になります。納品完了後は、配送実績データを収集・分析し、次回の計画改善に活用します。
このサイクルを繰り返すことで、配送効率は継続的に向上します。車両あたりの収支が15%改善した事例もあります。
通関業務従事者にとって、輸送管理の最大の課題は国際輸送特有の不確実性です。悪天候、自然災害、通関遅延などの予期しない出来事により、荷物が時間どおりに配送されなくなる配送例外が発生します。
吹雪、ハリケーン、山火事などの悪天候により配送ルートが乱れ、出荷が遅れる場合があります。悪天候により飛行機が着陸できず、道路が封鎖され、地域の配送センターが閉鎖される可能性もあります。国際貨物の通関手続きで予期せぬ遅延が発生することもあります。
対処法としては、納期に余裕を持ったスケジュール設計が基本です。最低でも+5営業日を見込むことが推奨されます。納期リスクを契約書で明確化し、不可抗力条項を設定することも重要です。
スケジュール管理ツールや航路追跡(トラッキング)サービスを活用し、緊急代替輸送手段を確保しておくことで、トラブル時の対応力が向上します。通関業者との密な連携により、書類不備やHSコードミスを未然に防ぐ体制を構築できます。
輸送管理の最適化により、大幅なコスト削減が実現できます。伊藤ハム物流株式会社(現アイエイチロジスティクスサービス株式会社)は、2002年より同業他社や異業種企業との物流センター共同化、配送の共同化を実施しました。その結果、輸送コストは最大40%削減、月間配送費は事例により20万〜90万円改善しています。
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タイ北部の工場30社を対象にした調査では、輸送管理への介入により最大25%のコスト削減と配送パフォーマンスの改善が確認されました。
輸送方法の見直しだけでも効果があります。
高額なチャーター便を使用していた顧客の輸送方法を検討し直すことで、無駄な超過分のコストを削減できます。
参考)https://www.mdpi.com/2305-6290/8/3/88
地場会社と協力した結果、往復の定期輸送を低コストで実施できるようになった事例もあります。日本通運株式会社は、自動化設備を活用し、深夜時間帯に約270パレットを自動搬送することで、残業時間を1〜2時間/人/日削減しました。これは年間約3,000時間、人件費約1,000万円削減に相当します。
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輸送管理の効率化には、保管・在庫管理との連携が欠かせません。在庫管理システムを導入し、入出荷の管理や保管場所の管理を専用システムで行うことで、紛失や返品を減らすことに成功した事例があります。
参考)https://brulo.jp/blogs/logistics-knowhow/logistics-cost-reduction-ideas
手動で行っていた棚卸や保管場所の管理をシステム上で行えるようになり、人件費も削減されました。物流拠点の数や立地を見直すことも、コスト削減の有効な手段です。現状3ヵ所ある拠点を1ヵ所に集約できれば、拠点の賃料や管理費、光熱費を削減できます。
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ただし、拠点数を減らすと配送距離が長くなり、運賃が増加する可能性があるため、総合的な判断が必要です。倉庫内の在庫を適正レベルに保つことで、保管コストと輸送頻度のバランスを最適化できます。
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在庫切れによる緊急輸送や、過剰在庫による保管料増加を防ぐには、輸送計画と在庫計画を統合的に管理することが重要です。リードタイムを短縮することで、在庫回転率が向上し、キャッシュフローも改善します。
通関トラブルは輸送遅延とコスト増加の主要因です。通関ミスは単なる書類上の誤りではなく、遅延、追加費用、法的問題を引き起こす可能性があります。
経済的損失として、追加の保管料や倉庫料の発生、関税の追徴課税、罰金や過料の支払い、商品の価値低下や劣化による損失があります。時間的損失として、通関手続きの遅延、配送スケジュールの乱れ、生産計画への影響、顧客への納期遅延が発生します。
予防策としては、書類の事前チェックリスト(英語・日本語)を整備することが基本です。通関業者(通関士)との密な連携も不可欠です。通関時に求められる特定商品の輸入規制を事前に確認し、必要に応じて専門家(貿易コンサルタント、行政書士)に相談します。
貨物の内容と書類が違う場合、パッキングリストと現物の数量が不一致になると、税関検査が実施され通関が停止します。社内でダブルチェック体制を構築し、もう1人の目を通す仕組みをつくることで、書類不備を防げます。通関業者・フォワーダーとの契約範囲を明確化しておくことも重要です。