「来料加工ならどこでも免税で安心」と思っていると、地域差で増値税コストが年間数百万円単位でズレて赤字決算になることがあります。
進料加工・来料加工はいずれも中国における加工貿易形態ですが、最大の違いは「原材料の調達方法」と「所有権の持ち方」です。 nacglobal(https://www.nacglobal.net/cn/processing-with-imported-materials-and-processing-with-customers-materials/)
進料加工では中国側企業が原材料を有償購入し、自社名義で輸入・在庫計上し、完成品の輸出売上も自社に計上します。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
来料加工では海外企業が原材料を無償提供し、中国側企業は原材料・製品の所有権を持たず、加工賃のみを請求します。 nacglobal(https://www.nacglobal.net/cn/processing-with-imported-materials-and-processing-with-customers-materials/)
つまり、在庫も売上も誰のものかが真逆ということですね。
もう少し具体的に見ると、進料加工では中国企業が仕入先へ外貨で対価を支払い、完成品を第三国や親会社へ輸出して外貨売上を得ます。 logiyougo(https://logiyougo.com/yougo/shinryourairyou/)
来料加工の場合、原材料は海外企業が準備し、中国企業は輸入時にその材料に対して外貨を支払わず、加工完了後に全量を海外企業へ返送し、加工費のみを請求します。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
この違いにより、貸借対照表に載る資産規模や売上高の見え方が大きく変わり、金融機関や本社の評価にもダイレクトに影響します。 nacglobal(https://www.nacglobal.net/cn/processing-with-imported-materials-and-processing-with-customers-materials/)
つまり所有権の線引きが企業評価まで左右する構造です。
通関実務の観点では、進料加工は「自己勘定の保税在庫」、来料加工は「委託加工の保税在庫」という位置づけになり、帳簿・管理義務の重さも変わります。 logiyougo(https://logiyougo.com/yougo/shinryourairyou/)
とくに進料加工では、保税材料と非保税材料の交換が一定条件下で税関承認のもと可能とされており、同一企業内・同種同規格・同数・非営利といった細かい条件が付されています。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
来料加工側はそもそも在庫の所有権を持たないため、在庫評価損や滞留在庫リスクは軽い反面、加工契約に縛られた柔軟性の低さがネックになります。 nacglobal(https://www.nacglobal.net/cn/processing-with-imported-materials-and-processing-with-customers-materials/)
結論は、通関設計段階で所有権と決済の流れを図に落とすことが前提条件です。
このような構造リスクを踏まえると、社内の国際税務・経理と連携したスキーム設計が不可欠になります。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
リスクを減らす狙いであれば、案件ごとに簡易フローチャートを作り、「誰が、どのタイミングで、どの品目の所有権を持つか」を1枚にまとめておくと、税関照会時の説明コストを下げることができます。 logiyougo(https://logiyougo.com/yougo/shinryourairyou/)
この作業はスプレッドシートや図表ツールがあれば十分で、特別なシステムがなくても対応できます。
こうした可視化が基本です。
税務面で誤解が多いのが、来料加工と進料加工の「免税」や「免抵退税」の違いです。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
来料加工では、原材料が全量輸入かつ製品が全量輸出される場合、増値税は免税扱いとなり、中国での一時加工のために持ち込まれた材料として取り扱われます。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
一方で進料加工は、原材料輸入時の関税・増値税について保税(猶予)措置を受けつつ、中国内で発生した付加価値部分に対して増値税が課税され、免抵退税のスキームが適用されます。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/20190930-others.pdf)
つまり同じ「加工貿易」でも課税ロジックが異なるということですね。
数値感覚として、標準税率17%時代には、来料加工は理論上増値税コストがゼロとされる一方、進料加工では標準税率17%から13%の還付しない税率を差し引いた4%が「還付の欠け目」とされる説明が一般的でした。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
2019年4月の税率調整で、多くの品目で13%税率が適用されるようになり、進料加工では仕入控除と還付の関係から、特定の品目では増値税コストがほぼゼロ、あるいは来料加工よりも有利になるケースが出ています。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/20190930-others.pdf)
例えば、年間仕入1,000万元・付加価値率20%といった典型的な製造モデルでは、税率13%品目の場合、来料加工より進料加工の方が還付メリットを享受しやすく、税コスト差が数十万元規模になることもあります。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/20190930-others.pdf)
つまり税率改正後は「来料加工=常に税務有利」とは言えません。
さらに、来料加工で中国国内原材料を調達した場合、その仕入時に負担した増値税は控除も還付もできず、原価に算入されるため、量が増えるほど税コストが積み上がります。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/20190930-others.pdf)
一方進料加工では、中国国内仕入で発生した増値税のうち、還付率を超えた部分について輸出還付を受けられるため、調達構造次第で実効税率を下げることができます。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
このため、農産品のように仕入税率9%・販売税率13%となるケースでは、進料加工を選択した方が増値税負担を圧縮できる、という逆転現象も起こります。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/20190930-others.pdf)
増値税の設計が条件です。
こうした税務リスクを避けるには、「原材料調達比率」「国内販売比率」「適用税率」の3項目を案件ごとにシミュレーションすることが有効です。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
シンプルなExcelでも、輸入原材料・国内原材料・付加価値・還付率を入力すれば、来料・進料どちらが有利かを一目で比較できます。
ツールは単純でも、前提条件の整理が重要です。
通関業者の立場から見ると、進料加工と来料加工の違いは、申告区分だけでなく、その後の在庫管理・転廠・国内販売の手続き難易度に直結します。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
来料加工は原材料全量輸入・製品全量輸出が前提であり、原則として国内販売は想定されていませんが、例外的に国内転売や設備・材料の国内移転が発生する際には、関税・増値税の追徴や追跡管理が極めて煩雑になります。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
進料加工では、国内調達材料や一部国内販売が制度上想定されているため、その分だけ税関との事前相談や内部コントロールが求められます。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
つまり制度の柔軟性が管理の重さとして跳ね返る構造です。
特に注意すべきは、転廠(工場間移転)や所在地区を跨ぐ移転の場面です。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
進料加工では、転廠によって税務局の管轄を跨ぐことが多く、各地域の増値税課税方針の違いにより、同じスキームなのに片方では課税、片方では免税という事例も報告されています。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
来料加工でも、加工先変更や設備移転の際に、保税資産の評価と税負担の扱いが問題となり、処理を誤ると数百万元規模の追徴や、統計通関データの修正案件に発展するリスクがあります。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
つまり地域差に注意すれば大丈夫です。
コンプライアンス面では、進料加工の保税材料と一般輸入材の混在が最も典型的なリスク源です。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
中国税関は、同一企業内で保税材料と非保税材料の交換を一定条件で認めていますが、「同じ種類・同じ規格・同じ数量・非営利で税関承認」といった条件を満たさない場合、不正な保税逃れと見なされる可能性があります。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
実務では、原材料コードの桁違い・規格記号の差・ロット管理の甘さなど、通関側から見ると些細な誤差が重大な指摘につながることもあります。 blog.goo.ne(https://blog.goo.ne.jp/kaizencpa/e/c5023bbe97fc56c4bdecb3732987f770?fm=entry_awp)
厳しいところですね。
リスク低減のためには、加工貿易台帳と社内在庫システムの品目コードを統一し、保税・非保税の属性をフィールドとして明示管理することが有効です。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/ext_images/world/asia/cn/kanan/pdf/20190930-others.pdf)
そのうえで、転廠や国内販売などイレギュラー処理が発生するたびに、事前に通関業者と税関担当者で処理方針をすり合わせておくと、後日の追加資料要求や査察対応の負荷を抑えられます。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
日々の運用では、月次での数量突合・損耗率のチェックと、制度変更時のスキーム見直しが最小限の行動になります。
結論は地道な突合が基本です。
進料加工・来料加工の選択は、単なる税務・通関スキームにとどまらず、企業の利益構造や中国拠点の位置づけに直結します。 kansaigaidai.repo.nii.ac(https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/record/6189/files/r090_06.pdf)
来料加工は、理論上は在庫リスクゼロ・販売リスクゼロであり、加工賃ビジネスとしての安定性が高い反面、利益率は加工賃分に限られ、数%台のマージンに抑えられるケースが一般的です。 kansaigaidai.repo.nii.ac(https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/record/6189/files/r090_06.pdf)
進料加工は、仕入から販売までを自社で担うため、市場リスクを負う代わりに、設計次第では2桁%の粗利を狙える構造になり得ます。 bk.mufg(https://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/106070101.pdf)
つまりどちらを選ぶかで、中国拠点の役割が「受託工場」か「収益センター」か大きく変わります。
産業構造の高度化という視点では、中国政府は加工貿易の中でも、単純な来料加工から、より付加価値の高い進料加工・一般貿易への移行を促してきました。 bk.mufg(https://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/106070101.pdf)
資料によれば、2000年代以降、沿海部の来料加工比率は低下し、進料加工や一般輸出へのシフトが進んでおり、地方政府のインセンティブも進料加工側に寄る傾向が出ています。 kansaigaidai.repo.nii.ac(https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/record/6189/files/r090_06.pdf)
その結果、同じ製品でも、来料加工を前提としたスキームでは税優遇や補助金が受けにくく、進料加工・一般輸出に切り替えることで、研究開発費の加算控除やその他優遇にアクセスできるケースが増えています。 bk.mufg(https://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/106070101.pdf)
これは使えそうです。
通関業者としては、単に制度の違いを説明するだけでなく、「どのスキームなら今後の政策動向と企業戦略にフィットするか」を提示できると、提案価値が大きく上がります。 kansaigaidai.repo.nii.ac(https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/record/6189/files/r090_06.pdf)
例えば、短期的には来料加工で設備投資リスクを抑え、一定の売上規模が見えたタイミングで進料加工への移行を設計する、といった二段階のスキームも考えられます。 bk.mufg(https://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/106070101.pdf)
この際、輸出還付・増値税率・国内販売比率・ローカルインセンティブを一覧にした「制度マップ」を社内で共有しておくと、経営層への説明もスムーズになります。
結論は制度を戦略の一部として見ることです。
最後に、通関業従事者として、進料加工と来料加工の違いを踏まえたうえで、荷主・顧客にどう確認・提案していくかを整理します。 logiyougo(https://logiyougo.com/yougo/shinryourairyou/)
実務上ありがちなのは、「とりあえず来料で始めておけば安全」という前提でスキームが組まれ、後から国内仕入比率や国内販売比率が増えて、増値税コストやコンプライアンスリスクが顕在化するパターンです。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
また、進料加工・来料加工の選択が、営業部門の希望や現地パートナーの「慣れ」で決まってしまい、税関・税務の視点が後追いになるケースも少なくありません。 nacglobal(https://www.nacglobal.net/cn/processing-with-imported-materials-and-processing-with-customers-materials/)
つまり最初のヒアリング設計が重要ということですね。
提案・確認の場面では、少なくとも次のような質問をチェックリスト化しておくと有効です。 logiyougo(https://logiyougo.com/yougo/shinryourairyou/)
これらの回答をもとに、来料加工・進料加工・一般貿易の選択肢を並べ、税コストと通関手続きの難易度を簡単な表にして提示すれば、経営層や現場担当者にもイメージが伝わりやすくなります。 chasechina(https://chasechina.jp/reports/chinabiz/tax/390.html)
リスク面が大きい案件では、現地の会計事務所やコンサルティング会社のニュースレター・レポートを参考にしつつ、最新の増値税制度や地域ごとの運用差を必ず確認しておくことがポイントです。 mizuno-ch(https://www.mizuno-ch.com/cnvnmag/14)
つまり情報更新に注意すれば大丈夫です。
このような提案型の動きを支えるためには、社内で「加工貿易スキームの簡易ガイド」や「制度変更チェックリスト」を用意し、新人や他部署にも共有しておくと、属人化を防げます。 kansaigaidai.repo.nii.ac(https://kansaigaidai.repo.nii.ac.jp/record/6189/files/r090_06.pdf)
また、荷主向けセミナーや社内勉強会の題材として、「進料加工と来料加工の違いと最新税制」というテーマを扱うことで、通関業者としての付加価値をアピールしやすくなります。 bk.mufg(https://www.bk.mufg.jp/report/chi200401/106070101.pdf)
最終的に、通関業者が税関・税務・ビジネスモデルの橋渡し役になることが、長期的な取引継続とコンプライアンス確保の鍵になります。
結論は通関業者がハブになることです。
中国における加工貿易制度全体と、来料加工・進料加工の実務イメージをつかむ参考として有用です。
NAC Global「進料加工と来料加工」
増値税の課税方式、還付・免税の考え方、税率改正後の影響をより詳しく整理した資料として参考になります。
JETRO 華南関連レポート(加工貿易と増値税)
進料加工・来料加工の制度概要と実務上の留意点、企業のスキーム選択に関する税務・会計の視点がまとまっています。
Kaizen啓源会計事務所「中国で企業は加工貿易を行う方法」
加工貿易の実務用語集として、進料加工・来料加工の定義や保税の考え方を確認する際に役立ちます。
ロジ用語辞典「進料加工・来料加工」
加工貿易の産業構造高度化や政策動向を押さえるための学術的な背景資料として参照できます。
「中国における加工貿易の産業構造高度化と課題」
あなたの実務では、いま検討している案件は「既存の来料加工スキームの見直し」か「新規進料加工案件の立ち上げ」のどちらに近いですか?