由来はかつて右舷に舵板があったこと。
portとの混同による書類ミスが輸入遅延を招くケースも。正しく理解できていますか?
通関書類に右舷左舷を逆に記載すると貨物の積卸位置が変わり数時間の遅延リスクが発生
starboard sideは船舶用語で「右舷側」を意味します。船首(進行方向)を向いた状態で右手側にある船体の側面を指す専門用語です。通関業務では船荷証券(B/L)や船積依頼書(Shipping Instructions)に頻繁に記載される重要な用語の一つです。
英語の定義では"The side of a ship or aircraft that is on the right when one is facing forward"(船首を向いたときに右側にある船や航空機の側面)と説明されます。
参考)「ſtarboard」の意味や使い方 わかりやすく解説 We…
つまり右舷側ということですね。
この用語は通関書類だけでなく、貨物の積卸位置の指定や船舶検査の報告書、海上輸送における損傷箇所の特定など、幅広い場面で使用されます。右舷と左舷を正確に区別することは、船員間での混乱を避け、正確なコミュニケーションを可能にするために不可欠です。
参考)新世紀海運株式会社
通関業務従事者にとっては、B/Lに記載された"starboard side"の情報から、貨物がどちら側に積載されているかを把握し、荷役計画や検査の段取りを調整する際の基礎情報となります。
starboardという言葉の由来は、古英語の"steorbord"(ステアボード)に遡ります。これは「操縦板」を意味する言葉で、昔の船では舵板(steering board)が船体の右舷側に取り付けられていたことに由来します。
なぜ舵を右舷側に取り付けたかというと、右利きの人が舵を操作するのに右側にあった方が便利だったためとされています。
歴史的な理由があるんですね。
現代の船の舵板は船尾の中央にありますが、昔は右舷舷側に付いていました。そのため右舷側をSteering Board Sideと呼んでいたのが、訛ってStarboard Sideになったとされています。この歴史的な名残が現代の船舶用語として定着し、国際的な海事用語の標準となりました。
参考)タイタニック なんでハード・スターボードなの?(ふなむしのひ…
一方、左舷を意味する"port"は、舵が右舷側にあったため港に着ける際は左舷側を使用したことに由来します。かつて左舷は「ラーボード(larboard)」とも呼ばれていましたが、「スターボード(starboard)」と音が非常に似ていたため、航海中のやりとりで聞き間違いが頻発しました。これは命に関わる重大なミスにつながる恐れがあるため、19世紀ごろを境に「ラーボード」は廃止され、「ポート(port)」が正式に採用されるようになりました。
参考)https://www.portservice.jp/businessblog/yokohama/20250522170.html
通関業務でstarboard sideを正確に把握するには、船舶の方向性を理解することが基本です。船首(進行方向)に向かって右側がstarboard side、左側がport sideです。
船に乗って前を見たときの右手側が右舷です。
夜間の識別方法として、starboard side(右舷)には緑色の航海灯、port side(左舷)には赤色の航海灯が表示されます。この色分けは国際的な海事規則で定められており、船舶同士の位置関係を把握する際の重要な視覚情報となります。
参考)ポートとスターボード (Port and Starboard…
通関書類での記載確認においては、船荷証券(B/L)や船積依頼書(S/I)にstarboard sideと記載されている場合、貨物が右舷側に積載されていることを意味します。通関業者が書類をチェックする際は、申告書記載の貨物と実際の貨物が同一であるかを確認しますが、積載位置の情報も重要な照合項目です。
実務では、救命艇やタンク、ポンプなどの船舶設備にも番号が付けられます。日本の船では右舷側からNO.1、NO.2と順番に番号を付けるのが原則ですが、国によっては左舷から番号を付ける国もあります。
参考)右舷と左舷、ともとおもて、どちらが優先?
欧米仕様の船では左舷優先のケースもあります。
starboard sideとport sideの混同は、通関業務において深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。通関書類の不備や記入ミスは貨物の遅延を招き、余計な手続きが発生する主要な原因の一つです。
具体的には、船荷証券(B/L)にstarboard sideと記載すべきところをport sideと誤記した場合、荷役作業員は左舷側で貨物を探すことになります。
数時間の遅延が発生する可能性があります。
実際の貨物は右舷側に積載されているため、発見までに時間がかかり、港湾での作業スケジュールが狂います。特に大型コンテナ船では、数百個のコンテナが積載されているため、位置情報の誤りは致命的です。
通関書類の品目の記載ミスやHSコードの誤り、価格の相違などは税関で厳しくチェックされますが、積載位置の情報も同様に重要です。書類の不備を指摘された場合、まずは税関の指示を確認し、速やかに修正書類を提出する必要があります。
また、音声による指示の場合、starboardとportを聞き間違えるリスクがあります。かつて左舷を意味した「ラーボード(larboard)」が廃止された経緯も、この聞き間違いが命に関わる重大なミスにつながる恐れがあったためです。
通関業務では書面での記載が基本ですが、電話やオンライン会議で確認する際は、必ず"S for starboard, P for port"のように頭文字を明示して伝える工夫が有効です。
通関業務従事者が知っておくべき独自の視点として、船舶の右舷左舷の優先順位があります。日本の船では右舷優先が原則で、救命艇、各種ポンプ、タンク等全て原則として右舷側からNO.1、NO.2と順番に番号を付けます。
右舷から番号を付けるのが日本の習慣です。
この習慣は日本海軍の時代からの伝統と考えられていますが、国によっては左舷から番号を付ける国もあるため、国際輸送を扱う際は相手国の慣習を確認する必要があります。
また、航空機や鉄道車両でも右舷・左舷の概念は同様に使われます。航空機では機首を前方とした場合の「右側・左側」を、右舷・左舷と呼びます。通関業務で航空貨物を扱う際も、この知識が役立つ場面があります。
さらに、海上での船舶の優先順位を定めた「スターボード艇優先の原則」という国際ルールがあります。これは、進行方向の左側にある船に対しては優先権があるので直進して良い、進行方向の右側にある船に対してはこちらが避けるという原則です。
通関業務で直接関係する場面は少ないですが、港湾での船舶の動きを理解する上で有用な知識です。
書類作成時のミス防止策としては、通関業者が用意したフォーマットを使用し、starboard/portの記載欄にはプルダウンメニューで選択できる仕組みを導入するのが効果的です。手入力を減らすことで、タイプミスや誤記のリスクを大幅に削減できます。
また、書類提出前のダブルチェック体制を整えることも重要です。誤記が発生した原因を特定し、再発防止のための対策を講じることで、通関業務の品質を高めることができます。
デジタルツールの活用も選択肢の一つです。
最近では、船舶の積載情報を視覚的に確認できるアプリやシステムも登場しています。こうしたツールを活用することで、starboard sideとport sideの位置関係を直感的に理解でき、書類作成時のミスを防げます。