船積依頼書テンプレートの書き方と通関実務

船積依頼書(S/I)のテンプレートをどう作ればいい?記載ミスがあればB/L修正料が発生し、最悪は貨物の引き取り遅延も。通関業従事者が知っておくべき正確な書き方と実務ポイントを解説します。

船積依頼書テンプレートの書き方と通関実務完全ガイド

フォーマットが自由だからこそ、記載ミス1か所でB/L修正料と貨物遅延の二重損失が発生します。


📋 この記事の3ポイント
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S/Iはフォーマット自由だが記載必須項目がある

船積依頼書(S/I)には法定様式がなく、フォワーダーや社内独自のテンプレートが使えます。ただし、Consignee・運賃支払区分・B/L種別など「変えると後工程が崩れる」必須項目があります。

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記載ミスはB/L修正料と貨物遅延に直結する

B/Lにスペルミスや情報相違があると、船会社にL/G(保証書)を差し入れて訂正料を支払う必要があり、荷受人側での貨物引き取りも停止します。

インボイス・P/Lとの整合性確認が最重要工程

S/I、インボイス(I/V)、パッキングリスト(P/L)の3書類は記載内容を完全に一致させる必要があります。特にL/C(信用状)取引では代金受取にも影響します。


船積依頼書(S/I)とは何か:通関業での位置づけ



船積依頼書(S/I=Shipping Instruction)とは、貨物を輸出する際に輸出者フォワーダーに対して発行する「通関手続きと船積手配を指示するための書類」です 。通関業の現場では、このS/Iを受け取った時点からすべての船積手配が実質的にスタートします 。 tanocimo(https://tanocimo.com/shipping-instruction)


S/IはB/L(船荷証券)の作成指示書としても機能します。船会社やフォワーダーはS/Iの記載内容をベースにB/Lを発行するため、S/Iに誤りがあればB/Lにもそのまま誤りが転記されます 。つまりS/Iは「輸送書類の源泉」です。 exportbiz(https://exportbiz.jp/index.php/ja/knowledge/basic/shipping-instruction)


JETROの公式資料によれば、輸出通関を依頼する通関業者への提出書類として、仕入書包装明細書とともに船積依頼書が明記されています 。通関業従事者がS/Iの記載内容を正確に把握していることは、業務遂行の基本中の基本といえます。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010812.html)


参考:JETROによる輸出通関必要書類の公式説明
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010812.html


船積依頼書テンプレートの必須記載項目一覧

S/Iは法定様式がなく、フリーフォーマットで作成できます 。ただしこれは「何でも自由」ではなく、「記載すべき情報が決まっている」ということです。以下が通関実務で必要とされる主要項目です。 exportbiz(https://exportbiz.jp/index.php/ja/knowledge/basic/shipping-instruction)


英語項目名 日本語名 注意点
Shipper 荷送人 インボイス上のシッパーと一致させる
Consignee 荷受人 L/C取引では「To Order」表記に注意
Notify Party 着荷通知先 省略すると輸入者に通知が届かないリスクあり
Ocean Vessel / Voy No. 本船名・航海番号 Booking確認書と照合必須
Port of Loading 船積港 実際の積込港と一致させること
Port of Discharge 荷揚港 最終仕向地と混同しない
Booking No. 船腹予約番号 船会社との照合キー
Description of Goods 商品明細 インボイスと完全一致が原則
Freight Prepaid/Collect 運賃支払区分 売買契約条件(FOB/CIF等)と整合させる
B/L Type B/Lの種類 Original / Waybill / Surrenderedを明記


記載項目は18項目以上になることもあります 。見落としが多いのは「Notify Party」と「B/Lの種類」の2つです。これは輸出者しか正確に把握できない情報で、通関業者側では補完できません 。 lab.pasona.co(https://lab.pasona.co.jp/trade/word/166/)


参考:S/Iの主要項目と記載例の詳細解説
https://lab.pasona.co.jp/trade/word/166/


テンプレート作成時の4つのよくある記載ミスと対策

通関実務でS/Iの記載ミスが起きやすい箇所は、大きく4つに絞られます。痛いですね。


① ConsigneeとNotify Partyの混同
L/C(信用状)取引では、ConsigneeをShipperの指示を仰ぐ「To Order of Shipper」と記載するケースがあります 。ここを誤って実際の輸入者名を書いてしまうと、B/Lが流通証券として機能しなくなる可能性があります。 lab.pasona.co(https://lab.pasona.co.jp/trade/word/166/)


② Freight Prepaid / Collectの誤記
FOB取引なのにPrepaid(輸出者払い)と記載する、またはCIF取引なのにCollect(輸入者払い)と書くミスは実際の運賃回収に直結します 。売買契約書のインコタームズ条件と必ず照合してからテンプレートを確定してください。 blog.conocer(https://blog.conocer.jp/haga-overseas-sales39/)


③ Description of Goodsの不一致
S/IとインボイスのGoods Descriptionが1文字でも異なると、B/LとI/Vの不一致として問題になります 。コピー&ペーストではなく、最終確定インボイスの文言を原文のまま転記するのが基本です。基本が原則です。 illogs(https://illogs.com/shipping-documents-flow-export-basic/)


④ B/L種別(Original / Waybill / Surrendered)の未記入
これを空欄にしてフォワーダーに投げると、慣例でOriginalが発行されることがあります。ただし輸入地でOriginalが届いていないと貨物が引き取れません 。B/L種別は必ず明記することが条件です。 rubiconem(http://www.rubiconem.com/blog/cat10/000206.html)


B/L修正が必要になった場合は、L/G(保証書)を船会社に差し入れて訂正料を支払う手続きが発生します 。この訂正作業が貨物引き渡しの遅延にも直結するため、S/I作成段階での確認が損失ゼロへの唯一の手段です。 optec-exp(https://optec-exp.com/handcarry/column/454/)


参考:B/Lの記載ミスが引き起こす問題の詳細
https://hps-connect.com/column/trade-column/p8024/


実務で使える船積依頼書テンプレートの構成例

テンプレートを自社作成する場合、構成は以下の3ブロックで整理すると抜け漏れが防げます。これは使えそうです。


ブロック1:ヘッダー情報(書類管理)
- 作成日
- シッパー社名・住所・担当者名
- フォワーダー名・請求先


ブロック2:輸送手配情報(船会社への指示)
- 本船名・航海番号(Vessel / Voy No.)
- 船腹予約番号(Booking No.)
- 船積港・荷揚港・荷渡地
- 出港予定日(ETD)


ブロック3:貨物・書類情報(B/L作成の根拠)
- Shipper / Consignee / Notify Party
- Description of Goods
- 数量・重量・梱包形態
- Freight Prepaid or Collect
- B/L種別・発行部数・発行地


貿易事務の実務上、このS/IはI/V・P/Lと同時に提出するのが一般的です 。そのため、テンプレートにはI/V番号の記載欄を設けておき、3書類のリンクを明示しておくとあとの照合作業が大幅に効率化します。 jetro.go(https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010812.html)


参考:S/Iの書き方を貿易プロが解説した記事
https://blog.chukyo-juki.co.jp/blog/trade-professionals-will-teach-you-how-to-create-shipping-instruction


通関業従事者だけが知るS/IとS/Oの違いと使い分け

「S/I(Shipping Instruction)」と「S/O(Shipping Order)」は似た名前ですが、提出先と性質がまったく異なります。意外ですね。


S/Iはフォワーダー(海貨業者)に提出する「通関・船積依頼書類」です。対してS/Oはフォワーダーが船会社に提出する「積荷指示書」で、S/Iをもとにフォワーダーが作成します 。 mol-service(https://www.mol-service.com/ja/glossary/si-so)


つまり実務の流れは以下のようになります。


  • 輸出者 → フォワーダーへ S/I を提出(通関・船積を依頼)
  • フォワーダー → 船会社へ S/O を提出(積載を指示)
  • 船会社 → B/Lを発行


通関業従事者がS/Iを受け取る立場の場合、そのS/IをチェックしてS/Oを作成するのが主要業務になります。このフローを理解していないと、S/IとB/Lの情報差異がどこで生じたかの切り分けができなくなります。つまり差異の原因特定が条件です。


また、S/IはMOL(商船三井)などの大手船会社グループが用語集でも公式に「荷主が記載・作成するもの」と定義しています 。通関業者がS/Iを作成することは、本来は輸出者の業務を代行していることになります。この点の責任区分は委任状との関係とあわせて整理しておくことが重要です。 mol-service(https://www.mol-service.com/ja/glossary/si-so)


参考:S/IとS/Oの違いを船会社グループが解説
https://www.mol-service.com/ja/glossary/si-so


船積依頼書テンプレートの提出フローと書類連携を整理する

S/Iの記載を完成させただけで終わりではありません。正確な提出フローを理解することで、ミスの発生ポイントと責任範囲が明確になります。


輸出書類の作成・提出フローをまとめると以下のとおりです 。 illogs(https://illogs.com/shipping-documents-flow-export-basic/)


  • ① インボイス(I/V)を確定させる — 売買内容・価格の根拠書類
  • ② パッキングリスト(P/L)を作成 — 梱包ごとの重量・個数
  • ③ S/Iを作成してフォワーダーへ提出 — ①②の内容と整合させる
  • ④ フォワーダーがB/L draftを作成・確認依頼
  • ⑤ B/L draftの内容をS/IおよびI/Vと照合して最終確認
  • ⑥ B/L発行・船積完了


④のB/L draftの照合は、通関業従事者にとってもっとも重要な確認工程のひとつです。確認すべき項目はShipper名・Consignee名・数量・重量・船名・Voyageです 。この5点をS/Iと突き合わせるだけで、重大なミスの8割以上を発見できます。 illogs(https://illogs.com/shipping-documents-flow-export-basic/)


また、L/C(信用状)取引の場合、B/LのDescriptionがL/Cの文言と1語でも異なるとDiscrepancy(不一致)が発生し、代金の受け取りが拒否されることがあります 。S/Iを作成する段階でL/C原本のDescriptionをそのままコピーする習慣をつけておくことが、金銭的リスクを防ぐ最も確実な手段です。 service.shippio(https://service.shippio.io/glossary/terms-iv-sl-pl/)


参考:輸出書類の流れを初心者向けに解説
https://illogs.com/shipping-documents-flow-export-basic/






週プレNo.23 6/8号 [雑誌]