CYに搬入された医療機器は温度管理義務が発生する
CY(コンテナヤード)は、海上コンテナの集積・保管・受け渡しを行う港湾ターミナル内の施設です。輸入される医療機器は、船から降ろされた後、まずCYに搬入され、輸入通関が完了するまで一時保管されます。
参考)https://service.shippio.io/glossary/cy
CYは関税法上の「指定保税地域」に該当し、輸入手続きの許可前でも貨物の蔵置が認められています。つまり未通関の医療機器をCY内で保管できるということですね。
参考)【知っていると安心・納得!】『CY搬入』とは? - D2D海…
通関業者が通関業務を行う際は、医薬品医療機器等法(薬機法)に基づき、輸入者の「医療機器製造販売業許可証」や「製造販売承認書」の写しを税関に提示する必要があります。医療機器はクラスⅠ(一般医療機器)からクラスⅣ(高度管理医療機器)までリスク分類され、それぞれ異なる規制が適用されます。
輸入申告は原則として貨物がCYに搬入された後に行いますが、迅速な通関を目的として、入港前や保税区域到着前の申告も認められています。
税関カスタムスアンサー:医薬品医療機器等法に基づく輸入規制の詳細が確認できます
医療機器の保管では、厳格な温度管理が最重要課題です。医薬品の適正流通(GDP)ガイドラインでは、倉庫や保管施設を使用する前に温度マッピングを実施し、施設内の温度分布を把握することが義務付けられています。
参考)医薬品物流の特徴と温度管理|医薬品・医療機器・治験薬の保管ポ…
温度基準は以下のように定められています。
これらの温度帯を維持できない場合、医療機器の品質劣化や変質のリスクが発生します。例えば、精密機器や生体適合材料を使用した医療機器は、温度変動に敏感なため、CY保管中も適正温度の維持が必要です。
参考)清和海運
医療機器を扱う物流業者は、空調設備の整った倉庫を使用し、遮光ガラスや二重シャッターを設置するなどのハード面の強化を行っています。CY内でも同様の温度管理体制が求められるということですね。
温度センサーの配置やリスク評価も必須です。通関業者としては、CY搬入後の温度管理状況を確認し、輸入者に報告する体制を整えておくことが重要です。
CYに搬入されたコンテナは、必要に応じてデバン(コンテナからの取り出し)作業が行われます。LCL(混載貨物)で輸入する場合、CYからCFS(コンテナフレイトステーション)へコンテナが保税運送され、そこでデバンニングや仕分け、輸入通関が実施されます。
参考)コンテナヤード(CY)とは?CFSやターミナルとの違い、保税…
税関検査が指定された場合、CYまたはCFS内で現物確認が行われます。医療機器の場合、全数の外観チェックや、製品の変質がないかの確認が実施されることがあります。
デバン時の注意点として、医療機器は衝撃や振動に敏感なため、適切な梱包や緩衝材の確認が必要です。検査時に梱包が破損していた場合、輸入者への速やかな報告が求められます。
コンテナ自体のコンディションチェックも重要です。汚染や水濡れの痕跡がある場合、医療機器の品質に影響する可能性があります。異物混入や製品の変質を防ぐため、毎回のコンテナチェックが推奨されています。
医療機器の輸入物流ガイド:通関から物流まで詳細な解説があります
保税地域内での医療機器の管理責任は、通関業者と輸入者の双方にあります。CYは指定保税地域として、外国貨物の積み卸しや運搬、一時的な保管(原則1ヶ月以内)が認められていますが、長期間の蔵置は認められていません。
保税運送を利用する場合、CYから別の保税地域へ未通関のまま輸送できます。医療機器を温度管理が可能な倉庫へ移動させる際、保税運送申告を行うことで通関前の移動が可能です。
参考)【やさしく解説】外国貨物を保税地域に入れる理由
保税地域での貨物管理には、以下の責任が発生します。
デマレージ(コンテナ超過保管料)の回避も重要な課題です。CY内での保管期間が長引くと、追加料金が発生するため、迅速な通関手続きが求められます。通関業者は輸入者と密に連絡を取り、必要書類の早期提出を促すことが大切です。
医療機器の通関では、一般貨物にはない独特のリスクが存在します。
まず、薬機法違反のリスクです。
製造販売業許可や承認書がない状態での輸入は違法となり、税関で貨物が差し止められます。
該当性判断の難しさも課題です。健康増進や美容を目的とする製品でも、効能効果が明確に謳われている場合は医療機器に該当する可能性があります。輸入計画の段階で、製品の使用目的や宣伝内容を慎重に確認する必要があります。
通関業者としては、以下の対策が有効です。
✅ 輸入者への事前確認:製造販売業許可の有効期限と承認書の品目一致を確認
✅ 温度記録の保持:CY搬入からデバンまでの温度履歴を記録
✅ 迅速な申告体制:書類不備による遅延を防ぐチェックリストの活用
NACCSシステムを活用した電子申告では、医薬品医療機器等申請業務との連携が可能です。標準通関予定報告書の事前提出により、通関手続きの迅速化が図れます。
参考)海上業務輸入
品目データベース(DB)の登録内容と実際の輸入品目の一致確認も重要です。不一致があると、通関が遅延するだけでなく、法令違反となるリスクがあります。