懲戒免職になる前に依願退職すれば退職金は満額もらえます
懲戒免職は、公務員に対する懲戒処分の中で最も重い処罰です。民間企業における懲戒解雇に相当する処分といえます。人事院が公表している指針では、正当な理由のない21日以上の欠勤、故意による秘密の漏えい、入札談合への関与、悪質な犯罪行為などが懲戒免職相当とされています。
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この処分を受けると、職員としての身分を完全に失います。つまり公務員でなくなるということです。
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飲酒運転で他人を死傷させた場合や、飲酒運転以外でも交通事故で人を死亡させたり重傷を負わせたりした場合には、懲戒免職の対象となります。さらに事故後に被害者の救護を怠る措置義務違反があった場合も、停職や懲戒免職が科されることがあります。
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懲戒免職処分を受けて退職した国家公務員に対しては、退職手当等の全部または一部を不支給とする処分が行われることがあります。国家公務員退職手当法12条1項に基づく措置です。すでに支払われた退職手当等についても、返納が命じられることがあります。
国家公務員退職手当法の運用方針では、非違の発生抑止の目的から一般の退職手当等の全部を支給しないことを原則としています。原則として全額不支給です。
ただし、すべてのケースで完全に不支給となるわけではありません。一部支給が認められたケースも存在します。地方公務員の退職金については、条例で定められるため、自治体によって取り扱いが異なる可能性があります。
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停職以上の懲戒処分(免職を含む)を受けた公務員に対しては、支給される年金のうち、職域年金相当部分の額の一部が5年間不支給となります。これは退職手当とは別の不利益措置です。
年金については全額が不支給になるわけではありません。職域年金相当部分のみが対象です。
この措置は5年間という期限があります。ですから、5年経過後は通常通りの年金受給が可能になるということですね。
不祥事を起こした公務員が依願退職すると、退職金を受給するための逃げ道として批判されることがあります。しかし、制度上は依願退職によって懲戒免職や退職手当の不支給を免れることはできません。
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公務員の場合、辞職の実現には任命権者の行政行為を待たなければなりません。つまり行政が承諾しない限り辞められない建て付けになっています。依願退職の場合、退職手当は支給されますが、懲戒免職処分の場合は原則として支給されません。
不祥事を起こした公務員が依願退職を申し出ても、行政は懲戒免職が相当だと判断すれば、辞職承認をせず懲戒手続を開始することになっているのです。したがって、タイミングをずらして依願退職することで退職金を受け取ろうとする試みは、制度上は防がれる仕組みです。
ただし実際には、依願退職が承認されて退職金を受け取るケースも報道されることがあります。この場合は、懲戒免職に至らない程度の事案と判断されたか、または組織の判断として依願退職を選択したケースと考えられます。
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通関士が通関業法や関税法その他関税に関する法令の規定に違反した場合には、各法令の罰則とは別に、通関業務への従事禁止等の行政処分が行われます。この行政処分のことを「懲戒処分」といいます。
参考)https://ameblo.jp/rlvvisole/entry-12374574994.html
通関士に対する懲戒処分の種類は以下の3つです。
参考)通関業者に対する「監督処分」と通関士に対する「懲戒処分」とは…
戒告は最も軽い処分です。一方、通関業者に対しては「監督処分」という別の行政処分が存在します。監督処分の種類には、1年以内の期間を定めた通関業務の全部もしくは一部の停止処分、通関業の許可の取消し処分などがあります。
参考)監督処分と懲戒処分
通関業務従事者として、これらの処分を受けると、キャリアに重大な影響が出ます。特に業務禁止や許可取消しは、仕事を続けられなくなるリスクがあるということですね。
通関業務従事者が懲戒処分を避けるためには、関税法や通関業法を含む関連法令の遵守が絶対条件です。特に以下のような行為は厳に慎むべきです。
法令違反につながる行為の具体例:
これらの行為は、通関士個人への懲戒処分だけでなく、所属する通関業者への監督処分にもつながります。会社全体に迷惑がかかります。
日常業務では、申告内容の正確性を常に確認し、疑問があれば上司や税関に問い合わせることが重要です。また、最新の法令改正情報を定期的にチェックし、知識をアップデートすることも必要です。人事院や税関のウェブサイトには、最新の法令情報が掲載されています。
人事院による退職手当の支給に関する公式情報(懲戒処分と退職手当の関係を確認できる資料)
業務上のミスを防ぐために、ダブルチェック体制を構築することも有効です。一人で判断せず、複数人で確認する仕組みを作れば、重大な違反を未然に防げます。
公務員と民間の通関業務従事者では、懲戒処分の制度が異なりますが、法令違反に対して厳しい処分が科される点は共通しています。自身のキャリアを守るためには、予防的な対策が不可欠です。
まず、コンプライアンス研修に積極的に参加しましょう。多くの通関業者では、定期的に法令遵守に関する研修を実施しています。研修で学んだ内容を業務に活かすことで、違反リスクを大幅に減らせます。
次に、業務マニュアルを常に最新の状態に保つことが重要です。法令改正があった場合は、速やかにマニュアルを更新し、全従業員に周知する必要があります。古いマニュアルに従って業務を行うと、知らず知らずのうちに違反してしまう危険性があります。
さらに、内部通報制度の活用も検討すべきです。もし職場で法令違反の疑いがある行為を発見した場合、見て見ぬふりをすると共犯とみなされる可能性があります。適切なルートで報告することで、自身を守ると同時に組織全体のコンプライアンス向上にも貢献できます。
最後に、業務上の判断に迷った際は、必ず上司や専門家に相談することです。独断で処理して後から問題が発覚すると、取り返しのつかない事態になりかねません。相談は恥ずかしいことではありません。
通関業者に対する監督処分と通関士に対する懲戒処分の違いを詳しく解説した専門記事
プロフェッショナルとして、常にリスク意識を持って業務に臨むことが、長期的なキャリアの成功につながります。