アメリカ 関税免除 制度と申請方法の最新動向

アメリカの関税免除制度について最新情報をまとめました。トランプ政権下での政策変更や北米貿易協定に基づく免除条件など、通関業務に役立つ情報を解説。あなたのビジネスに影響する関税免除の申請方法とは?

アメリカ 関税免除 制度と申請

アメリカの関税免除制度の重要ポイント
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北米貿易協定(USMCA)対応

USMCAに準拠した製品は関税免除の対象となり、特に自動車産業では重要な役割を果たしています

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製品別適用除外申請

迅速な申請が重要で、適切なHTSコードの使用と手続きの理解が必須です

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トランプ政権の政策変更

2025年の政策では中国からの輸入品への追加関税やデミニミスルールの変更が実施されています

アメリカ 関税免除 USMCAに基づく北米製品の特例

2025年3月の最新動向として、トランプ政権下のホワイトハウスは、カナダとメキシコに対する25%の関税について重要な発表を行いました。特に注目すべきは、北米で製造された自動車に関して1カ月間の関税免除が適用されることです。この措置は米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)に準拠した製品を対象としています。

 

USMCAは以前のNAFTA(北米自由貿易協定)に代わる貿易協定で、北米地域内での貿易を促進するための枠組みを提供しています。この協定に基づく関税免除を受けるためには、製品が65%以上の北米域内調達比率を満たす必要があります。

 

この免除措置は特に自動車産業に大きな影響を与えており、ゼネラル・モーターズ、フォード、ステランティスなどの米国自動車メーカーだけでなく、ホンダやトヨタなど米国に大規模な生産拠点を持つ外国企業にも恩恵をもたらしています。ただし、USMCAに準拠していない企業は依然として25%の関税を支払う必要があります。

 

また、エネルギー分野においても、USMCAの原産地規則に基づくカナダからのエネルギー輸入に関して、10%の関税が撤廃される可能性も示唆されています。

 

アメリカ 関税免除 申請手続きと迅速対応の重要性

アメリカへの輸出において関税免除を受けるためには、適切な申請手続きを理解し、迅速に対応することが極めて重要です。特に製品別適用除外の申請においては、タイミングが重要な要素となります。

 

2025年現在、製品別適用除外が認められた場合、申請後にパブリックコメントに付された日以降に支払った関税が払い戻し対象となります。つまり、可能な限り多くの関税の払い戻しを受けるためには、対象製品を輸入する米国内事業者は迅速に適用除外の申請を行う必要があります。

 

申請手続きにおいては、以下の点に注意が必要です:

  1. 正確なHTSコード(関税番号)の特定
  2. 適用除外の条件を満たしていることの証明
  3. 必要書類の完全な準備
  4. 申請のタイミング(できるだけ早く)

特に輸入申告時には、通常の関税コード(HTS)に加えて、特別な関税コードの記載も必要となる場合があります。例えば、鉄鋼製品の場合は「9903.80.01」、アルミニウム製品の場合は「9903.85.01」などの追加コードが必要です。

 

米国税関・国境警備局(CBP)のHTSコード最新情報

アメリカ 関税免除 デミニミスルールと小口貨物の扱い

デミニミスルールとは、一定額以下の小口貨物への関税を免除し、輸入申告も簡素化する特例措置です。このルールの本来の目的は通関手続きにかかる政府の負担軽減にあり、アメリカでは2016年に基準額が200ドルから800ドルに引き上げられました。

 

しかし、2025年2月の重要な政策変更として、トランプ政権は中国からの輸入品に10%の追加関税をかける大統領令に署名し、同時にこれまで非課税だった輸入申告額800ドル以下の小口貨物も追加関税の対象に含めました。

 

アメリカ税関・国境警備局(CBP)は2025年2月3日、中国(香港を含む)からの輸入品に対して2月4日からデミニミスルールの適用を停止すると発表しました。この変更は特に越境ECビジネスに大きな影響を与えており、TemuやSHEINなどの中国発のEコマースプラットフォームにとって大きな試練となっています。

 

日本からアメリカへの輸出においては、中国からの輸入品とは異なる扱いを受けますが、今後の政策変更に注意が必要です。現在の日米関係における小口貨物の扱いについては、最新の情報を常に確認することをお勧めします。

 

アメリカ 関税免除 品目別の特例と簡易税率の活用

アメリカの関税制度において、品目によって異なる関税率や免除条件が設定されています。通関業務を効率的に行うためには、これらの品目別特例を理解し、簡易税率を適切に活用することが重要です。

 

アメリカの関税における品目分類は「HTSコード」により行われます。最初の4桁が基本品目分類番号であり、その後の6桁の詳細分類ごとに関税率が設定されています。課税価格が20万円以下の場合は、7種類に大別された簡易税率を利用することができます。

 

主な品目別の簡易税率は以下の通りです:

品目カテゴリー 関税率
酒類(ワイン) 70円/リットル
酒類(焼酎等の蒸留酒) 20円/リットル
トマトソース、氷菓、毛皮製品等 20%
コーヒー、茶(紅茶を除く)等 15%
衣類及び衣類附属品 10%
プラスチック製品、ガラス製品、家具等 3%
ゴム、紙、陶磁製品、鉄鋼製品 無税

ただし、ハムの食肉調製品、たばこ、革製品、ニット製衣類、履物などは簡易税率が適用できず、一般税率が適用されることに注意が必要です。

 

また、課税価格1万円以下の場合は免税となり、関税も消費税もかかりません。輸入目的が「個人使用」の場合、課税価格は実際の商品価格の6割(60%)になるため、16,666円以下の商品は税金がかからないことになります。

 

アメリカ 関税免除 業界団体の要請と今後の展望

関税政策は様々な業界に影響を与えるため、業界団体からの要請や交渉が政策決定に重要な役割を果たしています。2025年2月には、全米レストラン協会がトランプ政権に対して食品・飲料に対する追加関税の適用免除を要請する書簡を送付しました。

 

この要請の背景には、米国への輸入品に対する追加関税が適用された場合、外食業界全体で120億ドル以上の損失が生じるという懸念があります。同協会は、食材費は売上高1ドル当たり約33セントを占め、平均的な小規模レストラン経営者の利益は約30%減少する可能性があると推定しています。

 

業界の利益率は平均3~5%とすでに厳しい状況であることから、追加関税が実施されれば企業は値上げせざるを得ないとしています。このような業界団体からの要請は、特定セクターへの関税免除の可能性を示唆しています。

 

今後の展望としては、以下の点に注目する必要があります:

  1. 米中貿易関係の変化と関税政策への影響
  2. USMCAの運用状況と北米域内貿易の動向
  3. 業界別の関税免除要請とその結果
  4. 小口貨物に対するデミニミスルールの今後の変更
  5. 環境や安全保障に関連した新たな関税政策の導入可能性

通関業務に携わる専門家は、これらの動向を常に注視し、クライアントに最適なアドバイスを提供することが求められています。特に、関税免除の申請においては、適切なタイミングと正確な手続きが重要となります。

 

ジェトロ(日本貿易振興機構)の米国関税情報
通関業務においては、最新の政策変更や特例措置を理解し、適切に対応することが重要です。特に関税免除の申請においては、正確な情報と迅速な対応が不可欠であり、専門家のサポートを受けることも検討すべきでしょう。アメリカの関税政策は今後も変化し続けると予想されるため、継続的な情報収集と柔軟な対応が求められます。