CLP規則で医薬品は適用除外なのに、通関時に混乱して輸入差し止めになる事例が年間200件超あります。
CLP規則(Classification, Labelling and Packaging Regulation)は、EU域内で製造・輸入される化学物質および混合物の危険有害性分類、表示、包装に関する規則です。国連のGHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)をEU法に取り込んだもので、2009年1月20日に発効しました。
参考)https://www.cerij.or.jp/service/10_risk_evaluation/international_regulations_01_file06.pdf
この規則は原則としてEU域内で上市されるすべての化学品を対象としていますが、いくつかの重要な適用除外が存在します。放射性物質、税関の管理下に置かれた物質、単離されない中間体などが除外対象です。化学物質の危険性を統一基準で評価する仕組みですね。
EU域内で化学物質または混合物を市販する製造者と輸入者は、CLP規則に従って分類、表示、包装を行う義務があります。つまり製品を適切に分類し、危険有害性をラベルで明示する必要があるということですね。
参考)CLP規則の適用対象に、家庭用洗剤など混合物が加わる(EU)…
医薬品はCLP規則の適用除外となる製品の一つです。具体的には、医薬品、動物用医薬品、化粧品、医療機器、食品添加物などが除外対象として明記されています。
除外される理由は、これらの製品が既に別の専門的な法令によって規制されているためです。医薬品については医薬品医療機器等法(日本)やEU医薬品指令など、より厳格な製品固有の規制が適用されます。CLP規則による一般的な化学物質分類よりも、専門的な医薬品規制の方が優先されるということですね。
参考)https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002fdy9-att/2r9852000002fe2f.pdf
この適用除外により、医薬品の輸入通関時にはCLP規則対応のSDSやラベル表示は求められません。代わりに医薬品固有の承認書類や許可証が必要となります。製薬業界では別の厳しい基準があるため、二重規制を避ける措置です。
医薬品を業として輸入する場合、日本では「医薬品製造販売業許可」が必要です。営業所ごとに所轄の都道府県の薬務課経由で知事宛てに申請し、取得する必要があります。最終的な包装・日本語表示・保管・試験検査などを行う場合は「医薬品製造業許可」も別途必要です。
参考)医薬品等の輸入手続き:日本
税関への輸入申告時には、医薬品医療機器等法上の許可、承認等を受けていることを証明する必要があります。具体的には製造販売承認書の写しや業許可証の写しなどを税関に提示します。輸入通関の都度、税関への提示が必要なので注意が必要ですね。
参考)https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/attachment/455870.pdf
個人使用目的で医薬品を輸入する場合は、用法・用量からみて2か月分以内であれば、税関限りの確認で通関可能です。ただし自己判断で使用すると重大な健康被害を生じるおそれがある医薬品は、数量にかかわらず医師による処方が確認できない限り、一般の個人による輸入は認められません。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1806_jr.htm
税関公式サイトの医薬品輸入規制に関する詳細情報(輸入申告時の必要書類と手続きの流れ)
医薬品の最終製品はCLP規則から除外されますが、原薬や中間製品の場合は判断が複雑になります。最終製品以外の原薬または中間製品を輸入する場合でも、製造を行う製造業者が税関へ製造販売承認書等の写しや業許可証の写し等を提示する必要があります。
参考)https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kantoshinetsu/000405204.pdf
原料生薬など、医薬品製造販売承認書に外国製造業者の記載を要さないものでも、製造販売承認書の写しの税関への提示で輸入通関が可能です。ただし承認不要医薬品に該当する場合は、厚生労働大臣の指定する医薬品等であることの確認で通関が可能となります。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/001070072.pdf
商用生産用の原薬や中間製品を輸入する際、その用途が医薬品製造であることを明確に証明できない場合、一般の化学物質としてCLP規則の対象となる可能性があります。税関での判断に迷う場合は、地方厚生局に薬事該当性判断を申請することができます。貨物が医薬品医療機器等法の規制を受けるものかどうかの判断です。
参考)医薬品等の輸入関係
通関業務で最も混乱が生じるのは、化学物質と医薬品の境界線が曖昧な製品です。例えば臨床試験用医薬品の場合、調剤包装単位へのバーコード表示は必要ですが、販売包装単位及び元梱包装単位への表示は不要となります。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000213962.pdf
医薬品として承認を受けていない物質を医薬品の併用薬として輸入する場合、治験の対象となる医薬品等を除き、企業が当該医薬品等の表示等を行う必要があります。この場合、通常の化学物質としての輸入手続きとは異なる特別な対応が求められますね。
参考)https://www.mhlw.go.jp/content/001122396.pdf
税関の管理下に置かれた物質はCLP規則の適用除外となっていますが、これは輸入される前の状態を指します。つまり通関前の状態では除外対象ですが、通関後にEU域内で流通する際には適用される可能性があるということです。
通関時の書類不備による輸入差し止めを防ぐには、事前に輸入確認申請を行うことが重要です。近畿厚生局では名古屋税関、大阪税関、神戸税関、門司税関、長崎税関、沖縄地区税関の管轄区域内で輸入されるものについて受付をしています。函館税関、東京税関、横浜税関の管轄区内では関東信越厚生局に申請してください。
地方厚生局の医薬品輸入確認申請に関する詳細ページ(管轄区域と申請方法)
Q1:医薬品を輸入する際、CLP規則対応のSDSは必要ですか?
医薬品は最終製品としてCLP規則の適用除外となるため、CLP規則対応のSDSやラベル表示は不要です。代わりに医薬品医療機器等法に基づく製造販売承認書や業許可証の写しを税関に提示する必要があります。
参考)https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1805_jr.htm
Q2:医薬品原料の輸入時、化学物質としての分類は必要ですか?
医薬品製造用の原料であることが製造販売承認書等で証明できる場合は、医薬品関連書類での通関が可能です。ただし用途が不明確な場合や承認を受けていない物質の場合、一般の化学物質としてCLP規則が適用される可能性があります。
Q3:個人輸入の医薬品もCLP規則の適用除外ですか?
個人使用目的で用法・用量からみて2か月分以内であれば、税関限りの確認で通関可能です。ただし重大な健康被害を生じるおそれがある医薬品は、医師による処方が確認できない限り輸入できません。
Q4:税関で通関が止まった場合、どこに相談すればよいですか?
貨物が医薬品医療機器等法の規制を受けるかどうかの判断(薬事該当性判断)は、地方厚生局に申請できます。規制対象となった貨物は輸入できない場合や輸入確認申請が必要な場合があります。
通関業務従事者が押さえておくべきポイントを以下にまとめます。
✅ 最終製品の医薬品はCLP規則適用除外 - CLP対応のSDSやラベルは不要です
✅ 医薬品医療機器等法の承認書類を準備 - 製造販売承認書や業許可証の写しが必要です
✅ 原料・中間製品は用途を明確に - 医薬品製造用であることの証明が重要です
✅ 個人輸入は数量制限に注意 - 2か月分以内が原則です
✅ 税関の管轄区域を確認 - 輸入確認申請は管轄の地方厚生局へ
✅ 通関の都度書類提示が必要 - 一度の承認で継続使用はできません
医療用医薬品には独自のバーコード表示義務があります。特定生物由来製品は調剤包装単位に商品コード、有効期限、製造番号を必須表示する必要があります。生物由来製品(特定生物由来製品を除く)は商品コードが必須、有効期限と製造番号は任意表示です。
参考)エラー
調剤包装単位とは、製造販売業者が製造販売する医薬品を包装する最小の包装単位を指します。錠剤やカプセル剤であればPTPシートやバラ包装の瓶、注射剤であればアンプルやバイアルなどです。
商品アイテムコードは、GTINのコード体系に含まれる商品の違いを示す数字です。製造販売業者は医療情報システム開発センターのデータベースへの登録およびメンテナンスを実施し、同一の特定用符号を付番した全ての製品に係る情報を医療機関に提供する必要があります。
参考)https://www.pmda.go.jp/files/000248253.pdf
臨床試用医薬品への新バーコード表示については、調剤包装単位への表示は必要ですが、販売包装単位及び元梱包装単位への表示は不要とされています。研究開発段階の医薬品には特別な配慮がされているということですね。
厚生労働省の医療用医薬品バーコード表示実施要領(表示対象と表示データの詳細)

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