航空貨物運送状 FedExのAWB基礎と関税の仕組みと注意点

FedExの航空貨物運送状(AWB)とは何か、作成方法から関税の請求先設定まで徹底解説。AWBに請求先を記載しないだけで想定外の費用が発生することも。関税トラブルを防ぐために知っておくべきことは?

航空貨物運送状とFedEx AWBの関税の仕組みと注意点

AWBの請求先欄を空白のままにすると、関税が丸ごとあなたに請求されます。


📦 この記事でわかること
📄
AWB(航空貨物運送状)とは?

FedExのAWBは単なる「送り状」ではなく、運送契約・受領書・関税請求先の指定書など複数の役割をもつ重要書類です。

💰
関税は誰が払う?

AWB作成時に請求先を正しく設定しないと、荷送人・荷受人のどちらかが意図せず全額負担させられるリスクがあります。

⚠️
2025年以降の変化に注意

米国向けでは2025年8月29日にデミニミス免税(800ドル以下)が廃止。小口貨物にも関税が発生するようになり、AWBへの正確な記載がより重要になっています。


航空貨物運送状(AWB)とFedExにおける役割とは

AWBとは「Air Waybill(エアウェイビル)」の略で、航空貨物を輸送するときに必ず必要になる書類です。FedExの公式定義によれば、「航空貨物運送状は、一般的にフェデックスの出荷ラベルまたは追跡番号として知られており、すべてのパッケージ情報・バーコード・貨物の追跡に使用する12桁の追跡番号が含まれる」とされています。つまり、FedExを使う際に発行する出荷ラベルそのものが、AWBとしての機能を兼ねているのです。


AWBは見た目は一枚の書類ですが、実際にはさまざまな役割を同時に担っています。具体的には、荷送人と運送業者の間の「運送契約の証拠」、貨物を預かったことを証明する「受領書」、輸送コストを請求する「運賃の請求書」、航空会社への「貨物取扱指示書」、そして「貨物引き渡しの指示書」という5つの機能が一体化しています。これは航空輸送が「スピード重視」だからこそ生まれた仕組みです。


海上輸送の「B/L(船荷証券)」と大きく異なる点もここにあります。


B/Lは有価証券であり、原本を持っている人だけが貨物を受け取れます。一方、AWBは有価証券ではないため、荷受人であることを証明さえすれば原本がなくても貨物を引き取ることができます。この特性があるからこそ、航空貨物は出発から到着まで短時間で手続きを完了できるわけです。紛失した場合も、B/Lのような保証状の手続きが不要なのは覚えておきたいポイントです。


FedExのAWBにはもう一つ重要な特徴があります。AWBは「記名式」であり、荷受人の名前が固定されているため、第三者への譲渡や担保として使用することができません。信用状(L/C)取引を航空輸送で行う場合、荷受人欄にL/C開設銀行の名前を記載することで、銀行を介した決済コントロールを実現するという独特の方法が採られます。これを知らないと、信用状取引で思わぬリスクを負う可能性があります。


FedExのAWBに含まれる12桁の追跡番号は、貨物管理のすべての基点になります。フォワーダー通関業者との連絡時も、この番号を伝えることで話が格段にスムーズになります。


参考:AWBとB/Lの詳細な違いについてはJETROが詳しく解説しています。


航空貨物運送状(Air Waybill)と船荷証券(B/L)の違い|JETRO


FedEx AWBのMAWBとHAWBの違い、関税申告での使い分け

FedExを含む国際航空輸送では、AWBには「MAWB(マスターAWB)」と「HAWB(ハウスAWB)」の2種類があります。この区別を理解しておくことで、関税申告時のトラブルを防げます。


MAWBは航空会社が発行するAWBです。フォワーダー(貨物代理業者)が荷送人として航空会社から発行を受けるため、一般の荷主がMAWBを直接目にすることはほとんどありません。一方、HAWBはフォワーダーや混載業者が個々の顧客向けに発行するAWBです。普段、輸出入で「AWBを受け取った」と感じているのは、このHAWBがほとんどです。


仕組みを整理するとこうなります。フォワーダーは複数の顧客から受け取った貨物をまとめてULD(航空機に搭載するコンテナのような機材)に積み込み、航空会社へブッキングします。このとき航空会社からMAWBが発行され、個々の顧客向けにはHAWBが対応する形になります。HAWBとMAWBはセットで機能しているのです。


FedExは自社で運送手続きのすべてを一貫して行うクーリエ(宅配便業者)なので、FedEx Ship Manager™上で作成する出荷ラベル(AWB)はFedEx独自の仕組みに則って発行されます。これが一般のフォワーダー経由のHAWBとの最大の違いです。


通関申告においては、AWBはオリジナルの原本が不要で、コピーで手続きができます。これも海上輸送のB/Lとは異なる重要な点です。B/Lでは原本の提出が必要な場面が多いのに対し、AWBではコピーが有効なため輸入手続きがスムーズに進む場面が多いです。これは使えそうです。


なお、HAWBとMAWBのどちらも使用せず、航空会社へ直接予約してMAWBだけを発行するケースを「ストレートAWB(シングルAWB)」と呼びます。ただし現実的にはフォワーダー経由でHAWBを発行するケースが大多数であり、FedExを直接利用するビジネスシーンでもFedEx独自のAWBが標準的な選択肢です。


参考:AWBの2種類と役割の違いを詳しく解説しています。


AWB(Air Waybill)について解説!航空輸送の貿易で使われる書類の種類と役割|HPS CONNECT


FedEx航空貨物運送状における関税の請求先設定と注意すべきトラブル

FedExでAWBを作成する際、見落としやすいのが「関税・税金・手数料の請求先」の設定です。この一項目を正しく理解しておかないと、意図しない費用請求というトラブルが起きます。


FedEx Ship Manager™では、AWB作成時に以下の2つの請求先を別々に設定できます。



















請求項目 選択肢 注意点
運送料金 荷送人 / 荷受人 / 第三者 未指定の場合は荷送人に請求
関税・税金・手数料 荷送人 / 荷受人 / 第三者 未指定の場合は輸入者(荷受人)に請求


FedEx公式の説明によれば「航空貨物運送状に請求額が明記されていない場合、運送料金の請求は荷送人に対して行うのが常であり、関税その他の該当する税金の請求は荷受人もしくは輸入者に対して行われます」とされています。請求先の設定は原則です。


さらに重大なリスクがあります。荷受人が関税の支払いを拒否した場合、未払い金額は荷送人に直接請求されます。つまり、「荷受人払い」で設定したとしても、荷受人が払わなければ最終的に荷送人の責任になるわけです。越境EC事業者がこのケースで予期せぬ追加費用を負担させられるトラブルは珍しくありません。


荷受人払いや第三者払いを指定する場合は、その相手方のFedExアカウントナンバー(9桁)が必要になる点も重要です。アカウントナンバーがなければ設定が完了しないか、エラーになります。事前に相手先のアカウント情報を確認しておくことが条件です。


関税・諸税の請求書が届いた場合、FedExが定める支払い期限は受領日から7日以内です。運送料金の請求書(30日以内)よりも期限が大幅に短い点に注意が必要です。期限を過ぎると追加手数料が発生する可能性があるため、請求書の確認は速やかに行いましょう。


参考:FedExの請求先設定についての公式説明はこちらから確認できます。


誰が料金を支払うか、どのように指定すればいいですか?|FedEx 日本


FedEx Ship Managerを使った航空貨物運送状の作成手順と関税設定の実務ポイント

FedExのAWBは、FedEx Ship Manager™(オンライン出荷ツール)を使って作成します。以下に作成の大まかな流れと、関税に関わる実務的なポイントを整理します。


AWB作成の基本ステップ



  1. fedex.com にログインし、「出荷」→「今すぐ出荷」をクリックする

  2. 荷送人・荷受人の住所と連絡先を入力する

  3. 貨物の内容(品名・重量・個数・価額)を具体的に入力する

  4. サービス(プライオリティ or エコノミー等)を選択する

  5. 運送料金と関税・税金・手数料の請求先をそれぞれ設定する

  6. インボイスなどの必要書類をアップロードする

  7. 「出荷の確定」をクリックしてAWBを印刷する


特に気をつけたいのが、ステップ5の請求先設定です。ここを省略したり誤ったりすると、前のセクションで説明した想定外の請求が発生します。


品名の記載にも実務上の重要なポイントがあります。FedExの公式アナウンスでは「曖昧な商品説明は受け付けることができません」と明記されています。2025年9月以降、米国向け貨物については通関申告書への詳細情報提供が義務化されており、「雑貨」「衣類」などの大まかな記載では通関が止まる可能性があります。製品の正確な説明・価額・通貨・荷送人と荷受人の詳細をAWBとインボイスに漏れなく記載することが原則です。


FedExのAWBデータは発行後90日間保持されます。そのため、書類の紛失トラブルが起きても一定期間は再取得が可能です。ただし90日を過ぎるとデータが消えるため、重要な取引のAWBは手元にも保管しておくことをおすすめします。


また、FedExでは1件のAWBにつきフェデックス・ボックスを最大40個まで含めることができます。複数口の出荷でも1枚のAWBでまとめて管理できる仕組みです。これは効率的ですね。


FedEx Ship Managerには「ステップモード」と「一画面モード」の2種類の入力方式があり、初めて使う方にはステップモードが手順を追って進められるため取り組みやすいです。公式のハウツー動画でも確認できます。


参考:FedEx公式の輸入用AWB作成方法ガイドです。


オンラインでの出荷方法|FedEx 日本


2025年以降のデミニミス廃止がFedEx AWBと関税に与える独自視点の影響

関税に関心を持つ方に見落とされがちな変化が、2025年から進行している「デミニミスルールの廃止」です。これはFedExのAWB作成と関税実務に直結する話です。


デミニミスとは、一定金額以下の輸入品に対して関税・申告手続きを免除する制度です。米国では従来、800ドル以下の輸入品が免税の対象でした。しかし2025年8月29日(現地時間)をもって、米国税関および国境警備局はすべての国際貨物に対するデミニミス免除を停止しました。これにより、800ドル以下の小口貨物にも関税が課されるようになっています。


この変化がFedExのAWB実務に与える影響は大きく2点あります。


まず、AWBへの記載情報がより詳細である必要が生じた点です。2025年9月15日以降、荷送人は低価額貨物の通関申告書を作成する際にも、これまで以上に詳細な情報提供が義務付けられています。FedExも公式アナウンスで確認している内容です。曖昧な品名や価額の記載だと申告が弾かれ、貨物が通関で止まるリスクが高まっています。


次に、荷受人への事前説明が不可欠になった点です。これまで800ドル以下の貨物を受け取っていた米国の消費者や取引先は、突然関税請求が発生することを知らないケースがあります。荷受人が関税の存在を知らずに拒否した場合、最終的な請求は荷送人であるあなたに回ってきます。これは痛いですね。


EU向け貨物でも同様の動きがあります。EU理事会は2026年7月1日から150ユーロ以下の関税免除(デミニミス)を廃止する規則を採択しています。FedExで欧州向けに発送しているビジネス利用者も影響を受けます。


こうした変化に対応するために、FedExはDDP(Delivered Duty Paid:関税込み配送)オプションを活用する方法があります。AWB作成時に荷送人が関税を前払いする選択をすることで、荷受人側の関税トラブルによる受け取り拒否リスクを大幅に下げられます。受け取り拒否が発生した場合、日本への返送費用+再輸入税という二重の出費が荷送人に発生するため、事前の費用対効果を考えると検討する価値があります。


参考:デミニミス廃止の最新状況はジェトロが詳しく解説しています。


米国の非課税基準額(デミニミス)ルール、2027年7月1日で廃止|JETRO


参考:FedEx公式のデミニミス廃止に関するアナウンスです。


米国による輸入品に対するデミニミス措置の廃止|FedEx Developer