環境基準 施策と通関業務の関係性

通関業務従事者が知るべき環境基準と施策の実務への影響とは?国際貿易における環境規制の最新動向、輸入承認手続きの要件、具体的な対応策まで詳しく解説。知らないと通関トラブルになる重要ポイントは何でしょうか?

環境基準 施策と通関業務

環境基準を満たしていても輸入承認は下りないことがあります。

この記事の3ポイント要約
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環境基準と貿易規制の関係

環境基準を満たしても、別途輸入承認や事前確認が必要な物品が存在し、通関手続きが複雑化しています

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国際条約による輸入規制

ワシントン条約やバーゼル条約など、環境関連の国際条約が通関業務に直接影響を与える具体的なケースを解説

実務対応のポイント

環境証明書の取得から税関手続きまで、通関業務従事者が押さえるべき手続きの流れと注意点

環境基準 施策の基本的枠組み


環境基準とは、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音などについて、人の健康保護と生活環境保全のために維持すべき基準のことです。環境基本法では「維持されることが望ましい基準」と定義されており、政府はこの基準確保のため施策を講じる義務があります。
参考)https://www.pref.saga.lg.jp/kiji00313906/index.html


国際貿易においては、各国が独自の環境基準や施策を導入することで、その差異が貿易障壁となるケースが増えています。特にカーボンプライシングや環境対策の制度差異は、ビジネスにとって必要以上の障壁になるおそれがあります。​
通関業務従事者は、単なる国内の環境基準だけでなく、国際条約や輸出国の規制内容も把握する必要があります。輸入品が環境基準を満たしていても、別の法規制により輸入承認が必要になる場合が少なくありません。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/external_economy/trade_control/02_exandim/02_haiki/haiki_im.html

つまり二重の確認が必要です。

環境基準 施策と貿易の接点

貿易と環境の関係は1972年のストックホルム会議で初めて認識されました。その後20年間で、膨大な数の国際環境協定が締結され、その中には貿易規制を含むものも存在します。
参考)https://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h07/9625.html


代表的な例がモントリオール議定書で、オゾン層破壊物質について非締約国との貿易を禁止しています。このような環境関連の多国間協定(MEAs)とWTO協定が衝突する場合、WTO紛争解決機関は国際法の認められたルールを考慮して解決する必要があります。
参考)http://thescipub.com/pdf/10.3844/ajebasp.2009.257.262

炭素国境調整措置など、最近では環境政策と貿易政策が密接に絡み合うケースが増加中です。輸入品に対する賦課の算定方式や均衡性が、WTOルールとの整合性で核心的な検討事項となっています。​
貿易実務では常に変化を追う必要があります。
特に注目すべきは、環境関連物品・技術への補助金に対する相殺関税の扱いです。太陽電池など環境外部便益が大きい製品については、生産補助金への相殺関税は認めるべきでないとする見解があります。消費の外部性(限界外部便益)が高いほど、相殺関税率は低く設定されるべきことが分析で明らかになっています。
参考)RIETI - 環境関連物品への相殺関税−WTOルールへの政…

環境基準 施策に基づく輸入規制の実務

通関業務で最も頻繁に遭遇する環境関連規制が、ワシントン条約とバーゼル条約です。ワシントン条約規制対象の動植物等を輸入する場合、輸出国のCITES管理当局が発行する「CITES輸出許可書等」を取得し、さらに日本の経済産業省から「輸入承認証」または「事前確認書」の発給を受ける必要があります。
日本では、ワシントン条約該当物品の輸入について通関できる税関官署が限定されています。これは知らずに通関手続きを進めると、税関で止められる原因になります。​
通関前に必ず限定税関を確認することが基本です。
廃棄物の輸入も複雑な手続きが必要です。再生資源などの貨物が「廃棄物処理法」に規定する「廃棄物」に該当する場合、環境大臣の確認または許可と、経済産業大臣の承認が必要になります。輸入承認申請の際は、環境大臣による廃棄物輸入許可証が必須です。​
原則として、輸出入に用いる港等の所在地にある地方環境事務所に問い合わせる必要があります。使用済み鉛蓄電池については、先進国向けの輸出であっても環境大臣による確認対象となる予定です。
参考)バーゼル条約規定の廃棄物の輸出入手続き


承認基準は明確です。
申請が必要書類に従って行われ、審査の結果適当と認められた場合に、申請数量の範囲内で承認されます。承認には条件が付され、「廃棄物輸入許可証に基づく輸入であること」「許可証の内容に変更があった場合は経済産業大臣に届け出ること」などが輸入承認証の条件欄に記載されます。​

環境基準 施策による事故時対応義務

水質汚濁防止法の改正により、事故時の措置が大幅に強化されました。改正前は「有害物質」のみが対象でしたが、改正後は「指定物質」を含む水の公共用水域への排出も事故時の措置対象に追加されました。
参考)https://www.env.go.jp/council/content/i_07/900428932.pdf

指定物質については排出規制は適用されませんが、「事故時の措置」のみが適用されます。この規定は指定施設にのみ適用され、指定施設には指定物質の取扱いに係る義務が課されます。​
環境基準項目(有害物質を除く)や要監視項目、水道水の水質基準項目等に指定されていない金属化合物についても、同様の扱いとすべきとされています。事故時の影響から保護する視点では、定常的な排出規制はなくても、事故時の措置だけが課される物質が存在します。​
爆発性は物質選定で考慮されません。
意図的な放流は水濁法の「事故」の概念に馴染まないため、原則として他法令等で対応されます。指定事業場における事故時には、新たに特定事業場と同等の応急措置と届出義務が課されることになりました。​

環境基準 施策と通関業務の今後

環境省が策定した第六次環境基本計画では、「ウェルビーイング」を環境政策の最上位に置きました。これはGDPなど市場的価値だけでなく、非市場的価値も同時に追求する姿勢の表れです。2030年はSDGsの目標達成年でもあり、環境・経済・社会すべてにおいて「勝負の2030年」と位置づけられています。
参考)なぜ環境省はウェルビーイングを政策の最上位に置いたのか - …

通関業務においても、環境配慮型の貿易管理がさらに強化される見込みです。炭素国境調整措置のように、輸入品の製造過程で排出された炭素量に応じて課金する仕組みが検討されており、WTOルールとの整合性が議論されています。​
日本のSDGs検索数は世界1位で、ジンバブエの3.6倍、韓国の20倍となっています。一方、欧米主要先進国ではSDGsの存在感が薄く、ESGという用語が多く検索されています。この差異は、各国の環境施策アプローチの違いを示しており、通関業務でも地域ごとの対応が必要になります。
参考)SDGsは「検索数世界一」の日本、欧米投資を呼び込むESGの…

電子申請の活用が推奨されています。
廃棄物輸入承認申請など、環境関連の手続きでは電子申請が利用可能になっており、手続きの効率化が図られています。通関業務従事者は、これらのデジタルツールを積極的に活用することで、複雑化する環境規制に対応できます。​
貿易と環境の相互支持化に向けた取り組みでは、GATT25条のウェーバー(免除)条項を適用してケース・バイ・ケースで例外を認める方法と、予めGATT/WTO協定に抵触しないための条件を定めておく方法の二つがあります。今後も国際的な環境基準と貿易ルールの調和が進むことが予想され、通関業務の専門性がさらに求められるでしょう。​
経済産業省の廃棄物輸入手続きページでは、環境大臣による許可申請から輸入承認までの詳細な手順が解説されています。
環境省の環境白書には、貿易活動が環境へ及ぼす負荷と必要な環境政策対応について包括的な情報が掲載されています。




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