グループA向けでも許可申請が必要になる可能性があります。
2025年2月現在、日本政府が輸出管理上の優遇措置を適用するグループA(旧称ホワイト国)は27カ国です。これらの国は輸出貿易管理令別表第3に掲げられた地域として正式に指定されています。
参考)ホワイト国とは?該当国の一覧や除外事例、輸出管理について解説…
具体的には以下の国々が該当します。
🌎 北米・南米
🌏 オセアニア
🌍 ヨーロッパ(EU加盟国を中心に22カ国)
🌏 アジア
韓国は2004年にアジアで唯一のホワイト国に認定されましたが、2019年8月に除外され、2023年7月21日に約4年ぶりに復帰しました。これは日韓関係の改善と韓国側の輸出管理体制の実効性が確認されたためです。
参考)https://www.digima-japan.com/knowhow/south_korea/17046.php
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各国際輸出管理レジームに参加し、輸出管理を厳格に実施している国がグループA指定の条件です。つまり、安全保障上の観点から信頼できる輸出管理体制を持つ国ということですね。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/guidance/guidance.pdf
グループA国向けの輸出では、キャッチオール規制が原則として適用除外となり、輸出手続きが大幅に簡素化されます。キャッチオール規制とは、食料品や木材などの一部を除くほぼすべての貨物が対象となる包括的な輸出規制のことです。
参考)ホワイト国とは何か?海外進出に有利なホワイト国と非ホワイト国…
具体的なメリットは以下の通りです。
✅ 手続き面の優遇
✅ 業務効率の向上
ただし、リスト規制(輸出令別表第1の1~15項)に該当する貨物は、グループA国向けでも輸出許可が必要です。これは兵器や核関連技術など、特に厳格な管理が求められる品目が対象です。
参考)輸出許可申請における該非判定の方法
非該当証明書は経済産業省に提出する書類ではなく、税関での確認用に輸出者が自ら用意する書類です。該非判定は輸出者の責任で行う必要があります。
参考)https://www.meti.go.jp/policy/anpo/apply04.html
通関業務では、グループA国向けであっても該非判定を適切に実施し、根拠資料を整備しておくことが重要です。税関で該非判定の妥当性を問われるケースがあるためです。
2025年10月9日から施行されるキャッチオール規制の改正により、通関業務の実務に大きな変化が生じます。最大のポイントは、グループA国向けでも輸出許可申請が必要になる可能性が出てきたことです。
参考)安全保障貿易管理ってナニ?
インフォーム要件の新設
従来キャッチオール規制の対象外だったグループA国向けに「インフォーム要件」が追加されました。これは経済産業大臣から通知があった場合に輸出許可申請が義務付けられる制度です。
参考)【キャッチオール規制が見直されます】グループA国(27か国)…
この改正の背景には、グループA国経由でロシアに迂回輸出される懸念があります。ロシアのウクライナ軍事侵攻以降、西側諸国の製品が兵器の部品としてロシアで使用されている報道があり、現行の外為法では規制できなかったためです。
通常兵器キャッチオール規制の拡大
2025年10月からは、キャッチオール規制の対象が「大量破壊兵器関連」だけでなく、通常兵器関連にも広がります。輸出令別表第1の16の項に該当する貨物・技術が規制対象です。
参考)302 Found
これはグループA国以外の地域への迂回防止の観点から導入されました。つまり、通常兵器に転用可能な汎用品の管理が一層厳格化されるということです。
参考)https://www.cistec.or.jp/nintei/251209-catchall-sankomondai.pdf
実務対応のポイント
📌 需要者確認・用途確認の強化
迂回輸出リスクを見極めるため、取引先の調査を定期的に実施する必要があります。取引開始時だけでなく、継続的な確認がコンプライアンス意識の高い企業の証になります。
📌 HSコード管理の精度向上
どの品目が新たな規制対象になるか判断するため、HSコード(商品分類コード)の管理精度を高める必要があります。分類の誤りが規制違反につながる可能性があるためです。
📌 インフォーム通知の確認体制
経済産業省からの通知がないか、社内で確認する仕組みを整備しましょう。通知があれば即座に輸出許可申請手続きに移行できる体制が求められます。
逆に言えば、インフォーム要件の通知がなければ輸出許可申請は不要です。通関業務では、この新制度を正しく理解し、過剰な対応と対応不足の両方を避けることが大切です。
経済産業省の公式ガイド「補完的輸出規制の見直しについて」では、改正内容の詳細と実務上の取り扱いが解説されています。通関業務に携わる方は必ず確認しておきましょう。
日本の輸出管理制度では、グループA以外にもB・C・Dの3つの区分があり、それぞれ規制の厳格度が異なります。通関業務では輸出先のグループ分類を正確に把握することが必須です。
グループB(15カ国・地域)
国際輸出管理レジームに参加しており、一定要件を満たす国・地域です。具体的には以下の国々が該当します。
グループB向けの輸出では、キャッチオール規制が適用されます。用途確認と需要者確認が必要です。
グループC(上記以外の大半の国)
グループA・B・Dに該当しない国・地域がグループCです。中国、インド、東南アジア諸国、中南米諸国、アフリカ諸国の大半が含まれます。
グループC向けの輸出では、より厳格なキャッチオール規制が適用され、輸出許可申請のハードルが高くなります。
グループD(11カ国)
武器輸出禁止措置がとられている国々です。2025年現在、以下の11カ国が指定されています。
グループD向けの輸出は原則として禁止または極めて厳しい制限が課されます。通関業務でこれらの国向け貨物を扱う際は、特に慎重な確認が必要です。
各グループの差異を理解することで、輸出先に応じた適切な手続きを選択できます。これが通関業務の効率化とコンプライアンス確保の両立につながりますね。
ホワイト国(グループA)向けの輸出だからといって、すべての手続きが簡素化されるわけではありません。通関業務の現場では、以下の点に特に注意が必要です。
該非判定の責任は輸出者にある
経済産業省は該非判定を行いません。輸出者が自ら判定する責任を負います。製造者から該非判定書を入手して使用することも可能ですが、その内容を輸出者が責任を持って確認する必要があります。
グループA国向けだからと安易に非該当と判断すると、実はリスト規制該当品だったというケースがあります。どういうことでしょうか?
リスト規制(輸出令別表第1の1~15項)に該当する貨物は、輸出先がグループA国であっても許可申請が必要です。例えば、半導体製造装置や高性能コンピュータなど、軍事転用可能な技術・製品は該当する可能性が高いです。
2025年5月の規制対象品目追加
2025年5月に施行された輸出貿易管理令改正では、重要・新興技術の軍事転用防止を目的に、新たな品目が規制対象に追加されました。
🔧 新規制対象品目の例
これらの装置は民生用途でも広く使われますが、軍事転用の懸念から規制が強化されました。つまり、従来は非該当だった製品が該当品になっている可能性があるということです。
通関業務では最新の規制情報を常にチェックし、該非判定を定期的に見直す必要があります。古い該非判定書をそのまま使い続けるのは危険です。
グループA国経由の第三国輸出
2025年10月以降は、グループA国に輸出した後、そこから懸念国(ロシアなど)に再輸出される迂回輸出のリスクに対応する必要があります。
参考)https://www.cistec.or.jp/export/jisyukanri/modelcp/202508_cpminaoshi.pdf
インフォーム要件の通知は、こうした迂回調達の懸念がある取引に対して発出されます。最終需要者が誰なのか、用途は何かを慎重に確認しましょう。
取引先が信頼できる企業であっても、その先の転売先まで管理することが求められる時代です。厳しいところですね。
安全保障貿易情報センター(CISTEC)の解説資料では、補完的輸出規制見直しに関するコンプライアンス・プログラムの見直しポイントが詳しく説明されています。社内の輸出管理体制を整備する際の参考になります。
通関業務の現場では、グループA国向けだからといって油断せず、常に最新の規制動向を把握し、適切な確認プロセスを維持することが求められます。これがリスク管理の基本です。