秘密保持条項の例文と通関業務での活用法

通関業従事者が知っておくべき秘密保持条項の例文を徹底解説。NDA締結時の落とし穴や通関業法第19条との関係、退職後の義務まで、実務で使える知識を網羅しています。あなたの職場では正しく運用できていますか?

秘密保持条項の例文と通関業務での注意点

退職後に何もしなければ、秘密保持義務は法律上なくなります。


参考)5分で分かる!秘密保持義務に違反した退職社員へ損害賠償請求す…


📋 この記事の3つのポイント
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通関業法第19条の義務と契約条項は別物

通関業法には守秘義務が規定されているが、民事上の損害賠償まで担保するには別途NDA条項が必要です。

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例文を使う前に「秘密情報の定義」を確認

例文をそのまま流用すると、対象範囲が曖昧になり、いざ漏洩が起きたときに条項が機能しないリスクがあります。

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退職後の義務は明文化しないと消滅する

在職中の守秘義務は退職と同時に原則消滅します。継続させるには契約書や誓約書への明示が必須です。

秘密保持条項の例文:通関業法第19条との関係

通関業法第19条は、通関業者通関士・その他の通関業務従業者に対して「正当な理由がなく、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない」と定めています。 この義務は退職後も継続します。 つまり法律上の義務は残るということですね。


参考)通関業法|条文|法令リード


しかし、この規定だけでは民事上の損害賠償額が自動的に確定するわけではありません。 秘密が漏れても、損害賠償を確実に受け取るためには、契約書の中で賠償額や違約金の金額を具体的に定めておく必要があります。 例えば「情報漏洩が発生した場合、受領者は300万円を上限に損害を賠償する」という形式が一般的です。note+1
通関業従事者が取り扱う荷主の輸出入情報・関税申告内容・取引先情報は、漏洩した場合に荷主に直接的な経済損失をもたらします。契約書の中で秘密情報の範囲を明確に定義しておくことが、実務上の第一歩です。


参考)NDA(秘密保持契約)で注意すべきことは? - 中堅~大手会…


以下は実務でよく使われる秘密保持条項の基本例文です。


条項タイプ 例文(概要) 主な用途
片務型 「受領者は開示者から開示された秘密情報を第三者に開示・漏洩してはならない」 荷主→通関業者への情報開示
双務型 「甲乙双方は、相互に開示した秘密情報を第三者に開示してはならない」 通関業者間・業務委託先との契約
違約金付き 「本条項に違反した場合、違反者は●●円の違約金を支払う」 損害立証が困難な場合の抑止力

秘密保持条項の例文で必須の「秘密情報の定義」

例文を使う際にまず確認すべきなのが「秘密情報」の定義です。 法律には「秘密情報」という言葉の定義がなく、各契約で明確にする必要があります。 定義が曖昧なことが原因です。


定義の方法には主に2つのアプローチがあります。


  • 包括指定型:「開示者が秘密である旨を表示した情報すべて」を秘密情報とする
  • 列挙型:「顧客リスト、関税申告データ、仕入先情報」など具体的な情報を列挙する

包括指定型は範囲が広い半面、秘密である旨の表示を忘れると保護されなくなるリスクがあります。 重要な情報に「社外秘」「CONFIDENTIAL」のスタンプを押し忘れただけで、NDAが機能しなくなるケースがあります。 これは痛いですね。

通関業の現場では、INVOICEや梱包明細・B/L番号・HSコードなど、荷主ごとに異なる輸出入ビジネスのコアデータが日常的に行き来します。こうした情報は列挙型で明示しておくと、いざというときに条項が有効に機能しやすくなります。

NDA(秘密保持契約)で注意すべき7つのポイント(吉田総合法律事務所)

秘密保持条項の例文に盛り込む「例外規定」の書き方


秘密保持条項には、義務を課すだけでなく「例外となる場合」も必ず明記します。 これを書き忘れると、業務上当然必要な情報共有まで禁止してしまうことになりかねません。 例外規定が条項の原則です。houmu.nagasesogo+1
一般的に認められる例外は以下の通りです。gyoumuitakukeiyakusho+1

  • 受領時点ですでに公知になっていた情報
  • 受領後、受領者の帰責なく公知になった情報
  • 秘密保持義務を負わない第三者から合法的に入手した情報
  • 受領者が独自に開発した情報
  • 法令・行政機関・裁判所の命令による開示(税関調査等)

ここで重要な点があります。 税関の輸入事後調査において通関士が税務当局に開示した情報は、例外条項に基づき秘密情報でなくなる場合があります。 理論上は他の第三者に開示できる状態になってしまうため、例外規定の文言を慎重に絞り込むことが必要です。

参考)秘密保持義務と例外の条項とは?第三者の範囲はどこまで?

実務上よく使われる例外規定の例文は次のとおりです。


  • 「受領時点において受領者が既に保有していた情報」
  • 「法令または権限ある官公署の命令により開示が義務付けられた情報(ただし、開示前に開示者へ速やかに通知すること)」
  • 「第三者から秘密保持義務を負うことなく正当に入手した情報」

秘密保持義務と例外の条項とは?第三者の範囲はどこまで?(業務委託契約書.com)

秘密保持条項の例文における「有効期間」と退職後の義務

契約の有効期間は、秘密保持条項の中で最も見落とされがちな規定のひとつです。 一般的に「何年」という定めはなく、情報が陳腐化するまでの期間を開示者が見積もって設定します。 期間には目安があります。


参考)秘密保持契約書の重要点 期間と損害賠償


通関業従事者が注意すべき最重要ポイントがあります。在職中の守秘義務は退職と同時に原則として消滅します。 退職後も義務を継続させるためには、就業規則の明示または秘密保持誓約書への署名が必要です。 明文化が条件です。


退職後の秘密保持義務に関する例文として以下が一般的に使われます。


  • 「本契約の終了後も、●年間は本条項の定める秘密保持義務を負うものとする」
  • 「従業員は退職後においても、在職中に知り得た顧客情報・申告情報を第三者に開示してはならない」

ただし、期間や範囲が広すぎる場合は公序良反(無効)と判断されるリスクもあります。 大阪地裁の平成25年9月27日判決(マツイ事件)では、秘密保持義務の範囲が広すぎる場合に公序違反として無効とされた事例があります。 合理的な範囲に絞り込むことが重要です。


退職後の秘密保持義務の有効性(弁護士法人長瀬総合法律事務所)

秘密保持条項の例文に通関業特有の視点を加える独自アレンジ法

通関業の秘密保持条項が一般的なNDAと異なる最大のポイントは、「荷主情報の二重構造」にあります。通関業者は荷主から情報を受け取るだけでなく、税関・運送会社・倉庫業者・銀行など複数の第三者との間で情報を流通させる立場にあります。この流通経路を想定した例文アレンジが必要です。


具体的には、以下の条項を追加することで実務上のリスクを大幅に減らせます。


参考)秘密保持契約書(NDA)の作成・チェックの留意点


  • 再委託先への開示規定:「受領者は、業務遂行上必要な限度において、再委託先に秘密情報を開示できる。ただし、再委託先に対し同等の秘密保持義務を課すこと」
  • 目的外使用の禁止:「受領した秘密情報は、本契約に定める目的以外には使用してはならない」

    参考)秘密保持契約書(NDA)の実践的雛形と重要ポイント|法務コラ…


  • 情報の返還・廃棄:「契約終了後、秘密情報を記録した資料・電子データはすべて返還または廃棄し、その完了を書面で通知すること」

目的外使用の禁止は特に重要です。 一度渡った情報を荷主側から監視するのは実質不可能であり、条項の文言による抑止と、万一の場合の損害賠償根拠として機能させることが現実的な対策です。


実務では、秘密保持に関する書面として税関が公開している「機密保持に関する誓約書」の書式も参考になります。 これは税関調達における雛形ですが、官公署との取引が多い通関業者にとって文言の参考になります。


参考)https://www.customs.go.jp/kyotsu/chotatsu/seifu/s_tokyo/20260202_No2_kimitsu.docx


通関業と秘密保持契約の関係(有森FA法律事務所)