通関業者本人が破産したら取消しではなく消滅です。
通関業者が破産手続開始の決定を受けた場合、その通関業の許可は「直ちに消滅」します。つまり消滅が基本です。
参考)https://ameblo.jp/rlvvisole/entry-12281191993.html
これは通関業法第10条に規定される「許可の消滅事由」に該当するためです。
参考)https://www.agaroot.jp/wp-content/uploads/2025/09/26tsukanshi_chujyokyu_gyouhou_kyoka_kato_v2.pdf
消滅事由には、通関業の廃止、法人の解散、破産手続開始の決定などが含まれます。消滅事由に該当した場合、財務大臣による取消しという行政処分を待つことなく、その時点で許可の効力が失われます。
参考)通関業の「許可の消滅」と「許可の取消し」
これは「許可の取消し」とは異なる概念です。取消しは財務大臣が行政処分として行うものであり、例えば通関業者の役員が破産手続開始の決定を受けた場合は消滅ではなく「取消し事由」に該当します。
役員の破産と通関業者本人の破産の違い
| 項目 | 通関業者本人の破産 | 役員の破産 |
|---|---|---|
| 法的効果 | 許可の消滅(自動) | 許可の取消し事由(財務大臣の判断) |
| 発動要件 | 破産手続開始決定により自動発生 | 財務大臣が取消処分を行う必要あり |
| 届出義務者 | 破産管財人 | 通関業者 |
この区別は通関業法の運用上、極めて重要です。通関業者自身が破産した場合、事業継続は基本的に不可能となるため自動消滅としていますが、役員個人の破産については財務大臣が個別に判断する余地を残しています。
通関業者が破産手続開始の決定を受けて許可が消滅した場合、「破産管財人」が遅滞なくその旨を財務大臣に届け出なければなりません。これは破産管財人です。
この届出義務は通関業法施行令第3条第3号に明確に規定されています。
参考)e-Gov 法令検索
破産管財人は、破産手続において破産財団の管理・換価・配当などの権限を持つ者として裁判所によって選任されます。通関業の許可が消滅したという重要な法的事実を行政機関に報告する義務も、この破産管財人が担うことになります。
「遅滞なく」という表現は、正当な理由がない限り速やかに届け出るべきことを意味します。具体的な日数は明示されていませんが、破産手続開始決定から数日から1週間程度で届出を行うことが実務上求められます。
消滅事由別の届出義務者
このように消滅事由ごとに届出義務者が異なるため、実務では誰が届出責任を負うのかを正確に把握する必要があります。
財務大臣は、通関業の許可が消滅したときは、遅滞なくその旨を公告しなければなりません。公告により、取引先や依頼者などの利害関係者に対して許可消滅の事実が周知されます。
通関業者が破産手続開始の決定を受けて許可が消滅した場合でも、その時点で「現に進行中の通関手続」があるときは、破産管財人が引き続き当該許可を受けているものとみなされます。これは特例規定です。
参考)通関士の過去問 第54回(令和2年) 通関業法 問14 - …
この規定により、破産手続開始決定の時点で税関に申告済みの貨物などについては、破産管財人が通関業務を継続して完了させることができます。
これは依頼者や荷主の保護を目的とした規定です。突然許可が消滅して通関手続が中断されると、貨物が税関で留め置かれたり、輸出入業務に重大な支障が生じる恐れがあります。
「進行中の通関手続」とは、具体的には輸出入申告が税関に提出され、まだ許可が下りていない段階の手続などを指します。破産管財人はこれらの手続を完了させる権限と義務を有することになります。
ただし、この規定はあくまで「進行中の手続」に限定されます。新たな通関業務を受託することはできません。
破産管財人の役割
破産管財人は通関業務の専門家ではないため、実務上は元の通関業務従事者に協力を求めながら手続を進めることになります。しかし法的責任は破産管財人が負います。
破産手続開始の決定を受けた者は、「復権を得ない限り」通関業の許可を受けることができません。復権を得た場合であっても、とされています。
参考)通関士の過去問 第56回(令和4年) 通関業法 問33 - …
これは通関業法第6条に規定される「欠格事由」の一つです。通関業は税関業務と密接に関連し、関税の徴収や貿易管理に重要な役割を果たすため、経済的信用が要求されます。
「復権」とは、破産法によって破産者に課された資格制限などが解除されることを意味します。復権は主に次の場合に生じます:
しかし重要なのは、通関業法上は「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」が欠格事由とされている点です。つまり復権を得れば、この欠格事由からは外れることになります。
破産関連の欠格事由の正確な理解
❌ 誤解:「通関業者が破産手続開始の決定を受けたときは、その通関業の許可は取り消される」
⭕ 正解:「消滅する」が正しい
❌ 誤解:「法人である通関業者の役員が破産手続開始の決定を受けた場合には、通関業の許可は消滅する」
⭕ 正解:「取消し事由」であり、消滅ではない
通関士試験においても、この「消滅」と「取消し」の違いは頻出論点です。実務においても、許可が自動的に失効するのか、それとも財務大臣の判断を待つのかによって、対応が大きく異なります。
通関士個人が破産手続開始の決定を受けた場合、その者は「通関士の資格を喪失」します。これは通関士でなくなるものとされています。
通関士試験に合格していても、破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者は、通関士として業務に従事することができません。
通関士の資格喪失事由には以下が含まれます:
復権を得れば、再び通関士として業務に従事できる可能性が開かれます。ただし、通関業者は通関業法第31条の規定により、通関士試験に合格した者を通関士としてその通関業務に従事させようとする場合、財務大臣の確認を受けなければなりません。
破産手続開始決定後の実務的な影響
🔹 通関業者の場合
🔹 通関士個人の場合
通関業者が個人事業主の場合、売掛金・事業設備・在庫品などが換価処分の対象になり、少なくとも一時的に営業が困難になります。従業員との雇用契約も清算処理されるため、従業員は解雇される可能性が高くなります。
これらの影響は、通関業界で働く方々のキャリアにとって極めて深刻です。したがって、財務管理や経営状況の把握は、通関業者にとって最重要課題の一つといえます。
破産手続開始決定の詳細な効果や条件についての参考情報
破産手続の法的な流れや破産者に生じる義務については、上記リンク先で詳しく解説されています。破産手続開始決定から破産手続終結決定までのプロセスを理解することで、通関業許可への影響をより深く把握できます。