破産した通関士は復権を得ないと業務に就けません。
官報で破産者情報を検索する方法は大きく分けて3つあります。
参考)官報で自己破産者の名前検索が可能?調べ方・何年名簿に載るか解…
まず、インターネット官報での無料閲覧です。国立印刷局が運営する公式サイト(https://www.kanpo.go.jp)では、発行から90日以内の官報を誰でも無料でPDF形式で閲覧・ダウンロードできます。会員登録は不要で、スマートフォンやパソコンから簡単にアクセス可能です。ただし、プライバシーに配慮が必要な破産・再生などの記事は、90日を経過すると非公開となり閲覧できなくなります。
参考)301 Moved Permanently
次に、図書館での検索があります。図書館では紙面の官報を保管しているほか、PC端末から「官報情報検索サービス」にアクセスできる施設もあります。このサービスでは昭和22年5月3日から直近までの官報をキーワードや日付で検索・閲覧できます。ただし、紙面版の保管方法や期間は各図書館によって異なるため、事前の確認が必要です。
参考)サービス内容 - 官報情報検索サービス
3つ目は、有料の専門検索サービスです。企業向けには日本ソフト株式会社の「官報破産者情報検索サービス」など、過去の情報も含めて網羅的に検索できる商用データベースがあります。これらは訂正や削除までメンテナンスされた情報を提供しており、与信審査システムに組み込むこともできます。利用には審査と費用が必要ですが、業務で頻繁に確認が必要な場合は効率的です。
参考)https://www.nipponsoft.co.jp/solution/kanpou/
通関業務で取引先の信用調査を行う際、90日以内の情報なら無料サイトで十分対応できます。一方、過去の履歴まで遡って確認する必要がある場合は、図書館の検索サービスか有料の専門サービスを検討すると良いでしょう。
自己破産の手続きでは、官報への掲載は通常2~3回行われます。
参考)自己破産すると官報に載る!官報の掲載期間や見る人、載る回数、…
具体的なタイミングは以下の通りです。1つ目は破産手続開始決定時で、裁判所に破産の申立てを行い破産手続開始決定がされた後、約2週間後に初回の掲載があります。この時点で破産者の氏名、住所、事件番号、決定日時などが公告されます。
参考)自己破産で名前が官報に載る?掲載内容・期間・検索方法を解説 …
2つ目は破産手続終了時です。破産管財人による財産の処分や配当が終了した際に掲載されます。ただし、同時廃止の場合(財産がほとんどなく管財人が選任されない場合)は、開始決定と終了決定が同じ日に出され、同じ日の官報にまとめて掲載されることもあります。
参考)https://nakama-law.jp/saimuseiri/jikohasan-kanpou/
3つ目は免責許可決定時で、債務の支払い義務が免除される決定が出た段階で再度掲載されます。同時廃止の場合は掲載回数がおおむね2回にとどまるのが特徴です。
裁判所が決定を出してから実際に官報へ掲載されるまでには、数日から1週間程度のタイムラグがあります。決定が出たその日に直ちに掲載されるわけではなく、段階を踏んで公告が行われる仕組みです。
通関業務で取引先の破産情報を確認する際は、複数回の掲載タイミングがあることを理解しておくと、情報収集の精度が上がります。特に手続の初期段階で把握できれば、与信管理の判断を早期に行えるメリットがあります。
官報に掲載される破産者情報には、事件番号、氏名、住所、決定の日時が含まれます。
事件番号は裁判所から割り当てられる固有の番号で、同姓同名の人物を区別する重要な手がかりになります。氏名は申立てをした人の名前がそのまま記載され、住所は自己破産の申立書に記載している住所が掲載されます。決定の日時は裁判所から決定が出た日時が明記されます。
参考)https://lapi-lapi.com/saimuseiri/jikohasan/entry757.html
検索時の注意点として、表記ゆれへの対処が挙げられます。官報に掲載された氏名に旧字体や異体字が含まれる場合、通常の漢字で検索してもヒットしないことがあります。商用の検索サービスでは、関連字を自動的にカバーする機能があり、例えば「高橋」を「○橋」と掲載された場合でも「タカハシ」とカナで検索できる仕組みを持つものもあります。
参考)官報ネット e官報ネット 官報データベース 与信、審査業務に…
また、同姓同名の誤認を防ぐために、氏名だけでなく住所や事件番号も照合することが重要です。検索結果から該当号を開いてPDFやテキストで公告を確認し、裁判所名・事件番号・債務者の氏名・住所が一致するか丁寧に確認します。
改姓への対処も必要です。結婚などで姓が変わった場合、旧姓で掲載されていることがあるため、複数の氏名パターンで検索すると見落としを防げます。
通関業務で取引先の信用調査を行う際、氏名の表記ゆれや同姓同名の可能性を考慮した慎重な確認が求められます。特に重要な取引では、複数の検索条件を組み合わせて照合すると確実です。
通関業法では、破産者であって復権を得ない者は通関業の許可を受けることができない欠格事由に該当します。
これは通関業者だけでなく、通関士の確認を受ける場合にも同様に適用されます。つまり、破産手続開始決定を受けた状態では、新たに通関業を始めることも、通関士として業務に従事することもできません。
参考)通関業法 |Lawzilla(迷わない法令データベース)
ただし、破産者であっても復権を得れば欠格事由に該当しなくなります。復権とは、破産手続が終了し免責許可決定が確定することで、破産者としての法的制限から解放される状態を指します。復権を得た後は、通関業の許可申請や通関士の確認を受けることが可能になります。
参考)通関業法 欠格事由と許可基準の重要ポイント
既に通関業の許可を持つ法人が、役員の一人が破産して欠格事由に該当した場合、財務大臣はその許可を取り消すことができます。ただし、該当する役員を更迭し、変更等の届出を行った場合には、許可取消しの通知書を送付することなく許可の存続が認められることがあります。これは「通関業法基本通達11-3」に基づく措置です。
通関業務の現場では、従業員や役員の破産情報を把握することが会社の許可維持に直結します。官報検索を定期的に行い、早期に状況を把握して適切な人事対応を取ることで、業務停止などの重大なリスクを回避できます。
通関業務では輸入者や輸出者の信用リスク管理が重要ですが、官報検索だけではリアルタイムの経営状況を把握できないという限界があります。
官報への掲載は破産手続開始決定から約2週間後に行われるため、その間に取引を開始してしまうリスクが存在します。さらに、90日を経過した破産情報は無料サイトでは閲覧できなくなるため、過去の破産歴を持つ企業との取引判断には有料サービスや図書館の検索機能を併用する必要があります。
実務上の工夫として、帝国データバンクや東京商工リサーチなどの倒産情報と組み合わせる方法が効果的です。大手法人の破産情報は、官報よりも先にこれらの民間信用調査会社によって伝わることが多く、速報性に優れています。官報検索は公的な裏付けを取る手段として位置づけると良いでしょう。
参考)会社破産すると官報に載る?どこまでの内容が掲載されるか
また、通関業者自身が社内規程で定期的な官報チェック体制を構築することも検討に値します。例えば月1回、主要取引先の氏名や社名で検索を行い、破産情報がないか確認する運用です。特に高額案件や継続取引の相手先については、チェック頻度を上げることでリスクを最小化できます。
金融機関では、与信審査のために信用情報機関のデータベースを参照しますが、個人の破産情報は最長10年間登録されます。通関業者が個人輸入者を相手にする場合、官報だけでなくこうした信用情報の仕組みも理解しておくと、より総合的な判断が可能になります。ただし、信用情報機関のデータに直接アクセスできるのは加盟金融機関に限られるため、通関業者としては官報と民間信用調査会社の情報を組み合わせる方法が現実的です。
日本ソフト株式会社 - 官報破産者情報の検索サービス
通関業務で頻繁に破産者情報を確認する必要がある場合、過去の官報情報も含めて検索できる専門サービスの導入例が紹介されています。
国立印刷局 - 官報情報検索サービス
昭和22年から直近までの官報を検索できる公式の有料サービスで、図書館のPC端末からアクセスできる施設もあります。
日本関税協会 - 通関業法関係(解答・解説)
通関業法における破産者の欠格事由について、試験問題の形で具体的な適用例が解説されています。